2017年06月12日-06月16日
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中国の量子衛星実験、各国の専門家が称賛

2017年06月19日

 中国の量子科学実験衛星「墨子号」の重大科学研究成果が16日、中国科学技術大学で発表された。中国科学院院士、中国科学技術大学教授、量子科学実験衛星首席科学者の潘建偉氏はその席で、「墨子号」の軌道上飛行期間に予定されている科学実験任務が、順調に実施されていると説明した。これまでに世界に先駆け1000キロ級の衛星・地球双方向量子もつれ配送を実現し、これを踏まえた上で空間スケール下でアインシュタインの「量子の非局所性」を備える量子力学非局所性検証を実現し、宇宙量子物理研究において重大な進展を手にしている。参考消息網が伝えた。
 潘氏によると、墨子号は青海省徳令哈基地と雲南省麗江基地という2つの地上基地と光リンクを構築した。衛星から2つの地上基地の量子もつれ光子の平均距離は2000キロに達し、追跡照準の精度は0.4μradに達した。これは1000キロ級の量子もつれが、世界で初めて実現されたことになり、量子号科学応用システムチーフデザイナーの彭承志氏は「これは量子衛星の打ち上げ以降としては最大の成果だ」と述べた。
 米サイトは15日「中国人科学者、初の量子衛星ネットワークを構築」と題した記事の中で「中国の量子衛星は1200キロ離れた基地間のもつれ光子配送に成功した。この実験結果は、史上最長距離の量子もつれ、地球・宇宙間の初の量子伝送となる。今回の実験は実用的な量子通信技術と基本量子光学実験の新たな分野を切り拓いた」と報じた。
 BBCは16日「躍進中の中国量子衛星」と題した記事で「墨子号という量子衛星には前例がない。これは新型ネットワークを推進する取り組みの一部で、このネットワークは我々が現在使用しているものの安全性をはるかに上回る。量子の不確定性により、秘密通信に関わる人員は、自分が盗聴されているかを知ることができる。盗聴者の行為は、量子通信をかき乱すからだ」と報じた。
 数学者のアルトゥール・エカート氏は取材に対し、「中国の実験は優れた技術の成果だ」と意欲的に語った。オックスフォード大学で90年代、量子情報学を専攻していたエカート氏は、対をなす光子をパスワードに用いる構想を打ち出し、「この構想を打ち出した時は、これほど進展するとは思わなかった」と語る。
 カナダ・ウォータールー大学量子計算研究所のノバート・ルトケンハウス教授は、「衛星と地上の間で実際に使用できる量子ルートが構築されたのはこれが初めてだ。人々は長年に渡りこの実験を行うと話してきたが、今回は本当に実現された。これは偉大なる技術の成果だ」と語った。

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