2017年08月21日-08月25日
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火星村が青海省で設立へ、その意義とは?

2017年08月17日

 中国初の火星村(模擬火星基地)が、青海省海西モンゴル族チベット族自治州大柴旦紅崖地区で設立されることになった。その独特なカルスト地形、自然風景、気候条件など、専門家にとって「中国で最も火星に似ている場所」となっている。ところで、火星村を建設するのはなぜだろうか、これは火星の研究と深宇宙探査にどのような影響をもたらすのだろうか。科技日報が伝えた。
 宇宙事業専門家、「国際太空」雑誌社編集長の厖之浩氏によると、国内外では火星探査に関する模擬実験が行われているという。
 中国人志願者の王躍氏らを含む6人が2011年11月4日、任務を終え閉鎖型キャビンの外に出た。これにより、有名な「MARS500」実験が終了した。厖氏によると、同実験は欧州宇宙機関とロシア医学生物学研究所が協力し、250日をかけ火星に向かって飛行し、そして火星で30日滞在し、さらに240日をかけ地球に帰還する過程をシミュレートした。この実験は主に宇宙飛行士が狭いキャビン内で長期生活することによる心理的反応を研究し、同時に地球・火星間の距離による通信の遅れ、火星探査機の生命維持システムに関する実験を行った。
 米国は2015年、ハワイのマウナロア火山で1年間の火星生存実験を行った。この実験では宇宙飛行士の火星基地での生活をシミュレートした。厖氏によると、同地域には動物がいなく、植物が少なく、火星の環境に似ているという。志願者6人は直径11メートル、高さ6メートルの円形のキャビン内で暮らし、外界からほぼ隔絶され、20分遅れのEメールで連絡することしかできなかった。生活物資は不足した状態で、4ヶ月ごとに補給された。食料は缶詰、脱脂粉乳、冷凍食品などだ。また、水の補給は2ヶ月に1回の頻度。志願者には船外活動の任務があり、重い宇宙服を着用しなければならない。さらに使える酸素も限られている。実験ではさらに、いくつかの緊急事態をシミュレートした。例えば停電、工具の故障、高放射線による緊急撤退などだ。厖氏は、この実験は「MARS500」よりもリアルであり、志願者のストレスに耐える能力と緊急対応能力が試されたと述べた。また国内でも「月宮365」、「太空180」などの実験が行われ、宇宙での長期生活がシミュレートされた。
厖氏は人類の未来の火星探査計画について、実験により解消しなければならない多くの問題が残されていると指摘した。例えば宇宙船が火星に着陸する際の「恐怖の7分間」や、長期的な宇宙飛行により火星にやってきた宇宙飛行士が、微重力から低重力に慣れる際の体液の移動、骨、筋肉への影響などだ。
 また、厖氏によると、中国の月探査機「嫦娥3号」の月面ローバーの地上実験を行う際に、実験場では月の土壌環境を想定し、かつ横向きと縦向きにけん引することで月の重力環境をシミュレートした。未来の火星ローバー開発も、このような過程を経ることが必要だという。

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