2017年09月04日-08月31日
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世界ロボット大会に注目、ロボットが私たちの生活にもたらす変化とは?

2017年08月28日

 クラゲロボット、変臉ロボット、窓拭きロボット、宅配ドローン、ロボット書道家などさまざまなロボットが、北京で開催中の2017世界ロボット大会(World Robot Conference 2017)に集まった。これらのロボットたちはロボット産業の急成長と、人工知能(AI)が人類の生産と生活にもたらす巨大な変化を人々に見せつけた。新華社が伝えた。

◆産業規模が急拡大し、ロボットが至る所に
 医師が操作台に座り、顕微鏡を覗き込みながらレバーを操ると、4本のロボットアームが上下に移動する。展示エリアで、人々はこのようなデモンストレーションを目にした。手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」により、医師はより正確かつ巧みに腫瘍を切除できる。
 展示スタッフによると、手術支援ロボットは医師の「手」と「目」になる。今までならば30センチ切開する必要があった手術も、このロボットを使用すれ切開する大きさはわずか数センチのみになり、正確で傷の少ない低侵襲手術によりリスクを低減できる。この医療支援ロボットはさらに手術による外科医の体力の消耗を軽減し、手術の効率と安定性を高める。「ダ・ヴィンチ」は現在までにすでに中国国内で60台以上配備されており、2016年に1万回以上の手術を行った。
 ロボットは今や手術室だけではなく、飲食店、銀行、スーパー、工場などにも姿を現している。
 アマゾン運営センターでは、エリア内で数千台の「Kiva」ロボットが秩序正しく道を譲り合い、商品を時間通りかつ正確にピッキング担当者に送り届ける姿を目にすることができる。アマゾンは商品の保管とピッキングに用いるため、世界で10万台のKivaを使用している。
 アマゾンのグローバルバイスプレジデント、グローバル物流中国総裁の薛小林氏によると、同社のスマート運営システムはデータ分析とアルゴリズムの改善により、大量のKivaの共同作業を「指揮」している。ほぼ全過程で人間の干渉を必要としない。重さわずか53キロの小型協力ロボット「CR7A」は、安全柵がなくても人と肩を並べて作業できる。二輪ロボット「Handle」は高速走行しながらジャンプできるという安定制御を実現した。科大訊飛信息科技有限公司(科大訊飛)は世界初の全過程音声交流サービスロボットを展示。音声・タッチパネル・ジェスチャーなどマルチモデル総合交流方法を採用し、すでに病院、銀行、保険会社などで使用されている。ロボットは単なる作業道具や設備から、人類の仕事の助手や生活のパートナーへとその地位を向上させている。
 国際ロボット連盟(IFR)の統計データによると、世界ロボット産業規模は2016年に初めて200億ドルを突破し、14.5%増となった。2017年には232億ドル規模に達する見通し。うち中国ロボット産業規模は初めて50億ドルを突破し、2017年には62億8000万ドルに達する見通しだ。
 専門家によると、中国のロボット産業規模は急拡大中で、音声・画像認証などの技術は世界先進水準に達している。一部の重要分野では、競争力のある自主革新製品を形成している。

◆重要技術の発展、ロボットの応用を促進
 業界関係者は、AIを利用するロボットは自動翻訳や画像認証などの「ソフト」として一般人の生活に貢献する一方で、「ハード」集積により一般人の暮らしに浸透すると予想している。AIは将来的に、都市生活をよりスマートにし、都市管理もより効率的で便利にしてくれる。
 しかし、記者の調べによると、中国は現時点でロボット大国になっているが、まだ強国とはいえない。なぜなら労働者1万人あたりのロボット使用率は先進国を大幅に下回り、減速機、ロボット制御機、サーボモータなどの重要部品と技術は主に輸入に依存しているためだ。
 それだけではない。業界関係者は、中国のロボット市場はコンセプトの革新を重視するが、重要技術の発展を軽視しており、インフラ整備が依然不足していると指摘している。国内には多くのロボット産業パークが設立されているが、本当に力を発揮し、生産高や生産能力を形成しているのはわずかだ。一部の企業はコンセプトの誇張に熱中し、「ロボット」や「スマート」という名前をつけているが、技術力はその名前に追いついていないのが現状。
 中国科学院自動化研究所の専門家である王飛躍氏は、「ロボットを人々の暮らしに浸透させ、本物のスマート社会を実現するためには、これに対応するインフラを整備し、知識バンクとビッグデータバンク、具体的な問題に対応するスマートシステムなどを構築する必要がある」と述べた。
 業界関係者は、ディープラーニングによりロボットがさらに強い「脳」をもち、感情的なサポートと交流を行えるようになると判断している。そして将来的にロボットは、より人間らしくなるとみられている。専門家らは、ロボットの各分野への応用を加速させ、人とロボットの調和、業界を跨ぐ融合、共同創造・共有を実現し、ロボット発展に有利な環境を構築するよう呼びかけている。

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