2017年10月16日-10月20日
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中国人科学者、健康的な「スリム豚」を育成

2017年10月26日

 中国人科学者は23日、遺伝子編集により通常の豚と比べ脂肪が24%少ない、健康的な「スリム豚」を育成したと発表した。新華社が伝えた。
 中国科学院動物研究所の趙建国氏をリーダーとする研究チームは次世代遺伝子編集技術「CRISPR(クリスパー)」を使い、豚の細胞内に脱共役タンパク質1(UCP1)と呼ばれる遺伝子を植え込んだ。脂肪の蓄積を減らし、赤身の割合を増やし、通常の豚と比べ脂肪が24%少ない豚を育成した。
 過去の研究から、UCP1遺伝子の欠けるマウスは肥満になり、それを体内に植え込むと飲食による肥満を予防できることが分かっている。しかし、現代の豚の祖先は2000万年前からUCP1遺伝子を失ってしまっている。
 チームは遺伝子編集技術を使い、UCP1遺伝子を豚の胎児の線維芽細胞のゲノムに集め、2500以上のクローン豚胚を生み出した。それからこの胚を13頭の雌豚の体内に植え込んだ。うち3頭が妊娠し、雄の子豚12頭を出産した。
 野生の豚と比べ、これらの子豚は体温調節能力が高く、体脂肪率と脂肪の厚みが大幅に減り、赤身の割合が目に見えて増えた。分析によると、UCP1遺伝は主に脂肪の加水分解を促進し、脂肪の蓄積を減らすことで体脂肪率を下げる。
 またUCP1遺伝は豚の活動量に影響を及ぼさず、カロリーを浪費させない。これらの豚は生後6ヶ月で屠殺された。分析によると、その体重と飼料転化率は、野生の豚と同じだった。またこの12頭の雄の子豚のうち1頭を別の雌豚と交配させることで、健康的な子供が誕生している。

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