中国が5ヶ所目の南極観測基地を建設する理由とは?

2017年 11月9日

 中国第34回南極科学観測隊の隊員である胡琴氏は8日、上海市で極地科学観測船「雪竜号」に乗り、南極に向かった。彼の主要任務は、中国5ヶ所目となる南極観測基地の臨時施設の建設。中国第34回南極科学観測隊長、中国極地研究センター主任の楊恵根氏は、「今回は困難な観測任務となる。5ヶ所目となる南極観測基地の建設に向けた事前準備は特に重要だ」と話した。科技日報が伝えた。
 既存の4ヶ所の南極観測基地と比べ、5ヶ所目はどのような使命を担うのだろうか。また、今回の観測で、中国の科学観測隊員は5ヶ所目の南極観測基地をめぐり、どのような事前準備活動を展開するのだろうか。
 中国は面積約1380万平方キロメートルの南極大陸で、長城基地、中山基地、崑崙基地、泰山基地という4つの観測基地を持っている。
 科学研究内容を見ると、4ヶ所の基地はそれぞれの特長を持つ。西南極にある長城基地周辺は生態系が活発で、南極の生態観測と研究に適している。中山基地は東南極にあり、南極大陸氷床の変化の過程、南極の棚氷と海洋の相互作用を研究する理想的な場所だ。また高空物理、地質学、地球物理などの作業を展開するための優れた位置でもある。南極大陸氷床の最高地点であるアイスドームAに位置する崑崙基地は、氷床コア科学、大気科学、天文科学などの研究に適している。泰山基地は崑崙基地の科学観測をサポートし、さらに南極グローブ山観測の重要な支援プラットフォームでもある。
 長期間のリサーチと白熱した議論を経て、ロス海に浮かぶ難言島(イネクスプレシブル島。以下、同島)が5ヶ所目の基地の建設候補地となった。
 中国第34回南極科学観測隊長補佐、中国極地研究センター観測運行部主任の張体軍氏は、「地理的に見ると、ロス海は南極の重要な縁海で、海洋資源が豊富だ。ロス棚氷は南極最大の棚氷だ。ロス海とロス棚氷西側のヴィクトリアランドは、南極で有名な南極横断山脈に近く、有名な活火山やかれ谷など重要な科学観測エリアがある」と説明した。
 ロス海西岸の同島は氷河と海洋に隣接しているため、南極の地質構造の変化、現在の自然環境、特に海洋・氷河・地質を研究する理想的な地だ。また同エリアには広範な南極特別保護区と特別管理区がある。世界最大の海洋保護区はロス海にある。これは南極グローバルガバナンスの重点エリアであり、グローバルガバナンスの高い模範効果を持つ。
 設計上、5ヶ所目の南極観測基地は一年を通じて利用できる。80人が夏を過ごし、30人が冬を越すことができる。規模は5500平方メートルで、科学観測範囲は半径300-500キロ。主に基地エリアの建築物の施設の建設位置を確定し、建設に必要な資材を輸送し、航空保障システムを整え、科学観測設備を設置する。すべてが順調であれば、早ければ2022年に建設される計画だ。


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