2017年12月04日-12月08日
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世界最大の自動化埠頭、試験稼働を開始

2017年12月11日

 世界最大の自動化スマート埠頭と世界で総合的な自動化の程度が最高の埠頭である、洋山港4期埠頭が正式に開港となった。約3年間にわたる困難を極めた建設と18ヶ月の全面的かつ詳細な設備・システム調整を経て、10日、世界の船舶輸送業が注目する無人埠頭がその全貌を明らかにした。人民日報が伝えた。
 洋山港4期は珠山島及び大小の烏亀島の周辺を埋め立てて建設されており、その敷地面積は223万平方メートル。同埠頭には7ヶ所のコンテナ船停泊場所があり、コンテナ埠頭の海岸線は全長2350メートル。設計上の年間取扱量は初期が400万TEU、長期が630万TEU。
 中国共産党中央政治局委員、上海市委員会書記の李強氏の「上海国際航運センター洋山港4期埠頭が開港」という呼びかけとともに、汽笛が鳴らされ、走行クレーンが上がり、この世界最大の自動化スマート埠頭が、正式に稼働開始した。埠頭全体は汽笛の音のほかには従来の埠頭のような喧騒とはかけ離れ、静まり返っていた点が非常に興味深かった。人々が目にしたものは、自動牽引車が音も鳴らさず、コンテナを運び動き回り、レール式ガントリークレーンが移動し、コンテナを指定の位置に運んでいる姿のみだった。

◆自動化で作業が楽に
 振華重工副総裁、プロジェクトマネージャーの張健如氏は、「洋山港4期埠頭には、独特な点がある」と紹介した。
 まずはその規模の大きさ。同社がこれまで建設してきたアモイ港と青島港という2大スマート化埠頭には、コンテナ船停泊場所がそれぞれ1ヶ所と2ヶ所設けられており、いずれもその規模は小さかったが、洋山港4期は7ヶ所となっており、しかもこれが一度に建設されている。
 洋山港4期は総合的な自動化の程度が世界最高の埠頭でもある。例えば海側の埠頭クレーンのすべてが自動化・遠距離制御され、陸側のレール式ガントリークレーンも自動的にコンテナを運ぶ。海側のレール式ガントリークレーンはすべてがダブルコンテナ自動化レール式ガントリークレーンで、同社が自主開発した製品として世界初公開された。同クレーンは自動化ダブルコンテナ埠頭クレーンの作業に協力し、海岸線の空間を有効活用し、作業効率を50%高めることができる。
 洋山港4期はさらに、中国が自主開発した自動牽引車自動バッテリー交換システムを、アジアの港湾としては初めて採用した。自動化バッテリー交換スタンド技術は、同社が国内で初めて開発した。設計によると、バッテリー交換にかかる時間は6分間のみで、フル充電にかかる時間は2時間のみ。充電中に汚染物質が排出されることはなく、エネルギー消費量を4割以上削減できる。同システムは欧米の技術制限と独占を打破し、同社が自動牽引車全バッテリー交換技術を把握したことを意味する。今後はユーザーに対して、多様な自動牽引車システム案を提供できる。
 洋山港4期は中国で唯一の、「中国チップ」を搭載する自動化埠頭となる。埠頭のソフトシステムは主に同社が自主開発した設備制御システム、上港集団が開発した埠頭操作システムからなる。これは国内で唯一の、ソフトシステムが純粋に中国製の自動化埠頭でもある。
 そして洋山港4期埠頭は作業員の作業量を最大限に減らすことができる。以前は1台の走行クレーンを制御するのに数十人の作業員が必要だったが、今は1人で複数の走行クレーンを制御でき、かつ裏方の中央制御室内で作業できる。作業員はかつて50メートルという航空のクレーン制御室に座り、下を見ながらコンテナを操作しなければならず、この過酷な労働で目や腰を痛めていたが、今後作業員は中央制御室内で作業でき、パソコンのスクリーンを見ながら巨大なコンテナを吊り上げては下ろし、作業が楽になった。今までクレーンを操作する作業員の多くが若い男性だったが、現在は男女を問わず作業できるようになった。将来的には遠隔操作を実現し、埠頭に出勤しなくても、市街地の制御室内で操作できるようになる可能性もあるという。

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