科学技術革新の急成長期を迎える中国

2018年 1月9日

 国家科学技術奨励大会が8日午前に開かれ、習近平中共中央総書記(国家主席、中央軍事委員会主席)が、2017年度国家最高科学技術賞を受賞した王沢山氏と侯雲徳氏に賞状を手渡し、かたい握手を交わし、祝意を表した。人民日報海外版が伝えた。
 この心温まる瞬間、中国の科学技術革新という話題が再び人々の注目を集めた。中国が世界にかつてない重大科学技術成果を示し、貢献していることは紛れもない事実だ。習総書記は数日前、新年の挨拶の中で科学技術革新と重大プロジェクトを話題にしたが、列挙された「慧眼」衛星や大型旅客機C919、量子コンピュータ、海水稲の生産量測定、初の国産空母の進水、深海グライダー「海翼」、海域でのメタンハイドレートの試験掘削成功、洋山4期自動化埠頭の開港、港珠澳大橋メインプロジェクトの全線開通、新型高速列車「復興号」などはいずれもそうそうたるラインナップとなっている。
 中国共産党第19回全国代表大会(第19回党大会)の報告の中で、過去5年間の成果を振り返った際、「革新駆動型発展戦略の力強い実施により、革新型国家建設の豊かな成果を手にした」とした。第18回党大会以降、中国は科学技術革新の急成長期に入り、世界の科学技術革新を新たな局面へと変えようとしている。
 国家知識産権局(知財局)の最新情報によると、中国の2017年の発明特許出願件数は前年比14.2%増の138万2000件で、7年連続で世界一となった。PCT(特許協力条約)国際特許出願受理件数は12.5%増の5万1000件で、日本を抜き世界2位。国内(香港・マカオ台湾を除く)の発明特許保有件数は135万6000件で、間もなく米国(2016年は138万6000点)を抜く勢いで、日本(2016年は164万4000点)にも迫っている。中国の1万人当たり発明特許保有件数は9.8件。
一国の技術資本を調べるには「1万人あたり発明特許保有件数」が重要な指標となる。
 データを見ると、中国の2010年の1万人あたりの発明特許保有件数は1.7件で、全国合計は22万8000件。2017年は9.8件で、全国合計135万6000件となっており、2010年の約6倍となっている。このようにかつてない急成長を示しており、中国は世界知的財産権成長の動力源になっている。世界知的所有権機関(WIPO)の高鋭総幹事は、「中国が知的財産権で手にした成績は注目を集めている。『中国製造』から『中国創造』へと移行する過程で、長期的な発展を実現している」と指摘した。
 中国はなぜ世界の技術模倣国から技術革新国になり、米日などの世界技術革新強国を追い越そうとしているのだろうか。まず中国は世界最大の市場主体国になっており、市場主体が9000万社を突破している。うち実体のある企業登録数は2700万社以上に達する。次に中国企業は技術革新投資主体になっており、全国の研究開発費の77.5%を占め、全国の研究開発者の仕事当量の7割以上を占めている。また中国には世界最多の技術者がいる。その上、中国には世界最大規模の整った工業製造産業体制があり、各種技術革新の関連性、けん引性、全体性、相互需要、相互供給を支えている。さらに全国技術市場が急成長し、技術市場の成約額の対GDP比は2010年の0.95%から2016年の1.53%に上昇し、1兆1000億元(1元は約17.31円)を上回っている。知的財産権は「24金・プラチナ」になろうとしている。2017年の全国特許担保融資額は65%増の720億元に達した。最後に、政府の「見える手」と市場の「見えざる手」が共に力を発揮している点が挙げられる。
 改革開放当初、中国は技術導入の方針を採用し、科学技術の追走を実現した。21世紀になると中国は科学技術の発展に力を入れ、先進国との差を順調に縮めた。第18回党大会は革新駆動型発展戦略の実施を打ち出し、第18期中央委員会第5回全体会議では革新は発展にとって最大の原動力とされた。国家第13次五カ年計画では、1人あたり国内有効発明特許保有件数を、2020年までに12件にするとされた。
 第19回党大会の報告は、2035年までに中国の経済力及び科学技術力は飛躍的に向上し、革新型国家の先頭集団に入ると、要求をより明確化させた。これは中国が真の革新強国時代を迎えることを意味する。(筆者 清華大学国情研究院長)


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