2018年01月22日-01月26日
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量子科学実験衛星「墨子号」が大陸間量子鍵配送を実現

2018年01月22日

 中国科技大学が21日に発表した情報によると、同校の潘建偉教授と同僚の彭承志氏らでつくる研究チームは、中国科学院上海技術物理研究所の王建宇氏が率いる研究チームやマイクロサット革新研究院、国家宇宙科学センターといった機構と共同で、オーストリア科学アカデミーのAnton Zeilinger氏が率いる研究チームと協力し、量子科学実験衛星「墨子号」を使い、中国とオーストリアの間で距離7600キロの大陸間量子鍵配送を実現し、鍵の共有による暗号化データ伝送と動画通信を実現した。この成果は量子号がすでに大陸間量子機密通信の能力を備えていることを示している。関連成果は19日に出版された国際的に権威ある学術誌「Physical Review Letters」のトップニュースとして掲載された。科技日報が伝えた。
 衛星プラットフォームによる量子通信は、世界を網羅する量子通信ネットワーク構築の最も実現性の高い手段となる。中国科学院とオーストリア科学アカデミーは2011年末に協定に署名し、墨子号を使い、両国間で大陸間量子鍵配送を実現することを計画していた。
 実験において、墨子号は河北省興隆市とオーストリア・グラーツの地上基地で衛星・地上間量子鍵配送を実施した。指令制御衛星を中継とし、興隆地上基地とグラーツ地上基地間の鍵共有を実現した。実験中の鍵共有量は約800キロバイト。鍵共有に基づき、ワンタイムパッドの暗号化を採用し、共同チームは北京とウィーンの間でも画像暗号化伝送を行った。共同チームは高級暗号化標準「AES-128」と結びつけ、シードを1秒毎に更新し、北京からウィーンに至る暗号化動画通信システムを構築した。さらにこれを利用し75分間にわたる中国科学院とオーストリア科学院の大陸間量子機密動画会議を行った。墨子号と各国・地域の地上基地間の連結の実現は、墨子号と世界の任意の地点で量子通信を行う実現性と普遍性を示しており、衛星量子通信国際技術標準の形成の基礎を固めた。

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