2018年01月29日-01月31日
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「月宮365」プロジェクトにおける志願者の暮らしに注目

2018年01月29日

 北京航空航天大学の「月宮365」実験は26日、2回目の志願者交代を行った。昨年7月9日の初の交代以降、志願者4人は「月宮1号」実験モジュール内に200日間連続で滞在した。これによりロシアの科学研究者による、生物再生・生命保障システム内の180日間連続滞在という世界記録を塗り替えた。新華社が伝えた。
 「月宮1号」1期には、1つの総合ルームと1つの植物ルームが含まれる。総面積は100平方メートル、総体積は300立方メートルで、3人の生命保障の需要を満たす。総合ルームには居住用の部屋や人員交流と勤務用の部屋、トイレ、ごみ処理・昆虫の部屋が含まれる。植物ルームは2部屋に分かれ、各種植物の成長の需要に応じて、環境条件を個別で制御できる。「月宮1号」初の長期・高度密閉空間集中実験では、志願者は完全に人工で制御された植物ルームで、5種の作物と15種の野菜、1種の果物を栽培してきた。
 志願者は食糧、野菜、果物、ミールワームを収穫し、自ら調理して食べる。総合ルームの人と動物、ごみ処理が生む二酸化炭素は浄化処理された後に植物ルームに送られ、光合成に利用される。植物ルームでは、植物の光合成によって生まれた酸素が浄化処理された総合ルームに送られ、人と動物の呼吸に利用される。またごみ処理に必要な酸素を供給する。植物の蒸発によって生まれた水は浄化後、システムによって微量元素を補充した後、総合ルームに送られ人員の生活用水になる。残った水は生活排水や尿と共に、植物の栽培に用いられる。こうして閉ループ型の生命保障システムが形成される。
 「月宮1号」は2014年5月に、中国初の長期・高度密閉空間集中実験に成功した。その実験は105日間続き、密閉度は97%に達した。100%の酸素と水、55%の食物の循環・再生を実現。これは中国の宇宙ステーションの設計に、重要な実験データを提供した。
 アップグレード後の「月宮1号」は、1つの総合ルームと2つの植物ルームからなる。総面積は150平方メートル、総体積は500立方メートル。4人が必要とするすべての酸素と水、大半の食物をシステム内で循環・再生できる。

◆志願者の室内での作業・生活環境は?
 情報によると、室内活動は主に科学研究、日常的な作業、生活の3つに分かれる。彼らは科学研究で毎週、アンケートに3回(毎回2人)回答し、サンプル(唾液、尿、便)を3回回収する。毎日体重・体温・血圧などの健康指標を測定する。体重以外は朝晩に1回ずつ測定し、正確に記録する。
 作業については、植物栽培計画に基づき、小麦などを毎週3回収穫する。尿の処理や植物の栄養液の補充など、作業が分担される。
 彼らの室内生活は、食事や娯楽、自由時間、休憩など、毎日ほぼ同じだが、生活は充実しており、ネット接続、SNS投稿、動画鑑賞、ダーツなどを楽しめる。

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