2018年03月12日-03月16日
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政協委員が語る「未来の科学技術が変える暮らし」とは?

2018年03月16日

 全国政協第13期第1回会議の閉幕をひかえた15日午前、最後の「委員通路」でのインタビューが北京の人民大会堂中庁で行われた。科技日報が伝えた。
 今回のインタビューで政協委員たちは「人々の未来における素晴らしい生活」の詳細について語ってくれた。
「委員通路」で最初に質問をうけたのは百度CEOの李彦宏氏。当然ながら質問内容は、自動運転車と人工知能(AI)について。李氏にとってこの話題はまさにお手のものと言えるだろう。
 李氏は、「中国工業・情報化部の苗部長が自動運転車を8年から10年のうちに量産化を実現するとしたことを耳にしているが、私自身はもっと楽観的だ。当社は今年、自動運転車の小規模量産を実現し、金龍客車と提携して『阿波龍』(自動運転小型バス)を提供し、観光地や埠頭など閉鎖的で制限のある道路での運営を実現する。来年には一部の主流自動車メーカーと提携し、通常の道路状況における高度な自動運転を実現する」と述べた。
 李氏は自動運転車があと3年から5年のうちに完全に開放的な道路を走行し、本当の意味でドライバーを解放することになるとの見方を示した。
 インターネットとITの応用の未来に期待できるならば、そのさらに基礎となるチップをめぐり、中国はどのように発展しているのだろうか。
 この質問に対しては、北京中星微電子有限公司首席科学者で中国工程院院士の鄧中翰委員が同社が開発するより高速かつ燃費の低いAIチップが間もなく誕生するという情報を明かしてくれた。
 鄧委員は、「中国のチップ輸入額は毎年1兆元以上(1元は約16.73円)に達している。チップが安全でなければ、情報も国も安全ではない。私は自社のチームを率いて、独自の知的財産権を持つチップを開発し、中国にはチップが無いという歴史にピリオドをうつことになる」とした。
 同社は次世代AIをめぐり、このほどさらにAIチップ「星光智能1号」を開発。このチップはディープラーニングニューラルネットワークプロセッサを備えており、「今年は2号を発表する。より低燃費で、演算速度はこれまでのものに比べ16倍になる」ということだ。
 高速鉄道についても、新たな動きが生じている。
 中国工程院院士の盧春房委員は、京滬高速鉄道建設総指揮を担う。盧氏は「委員通路」で未来における展望を語った際、「中国の高速鉄道営業距離は2025年までに3万8000キロに達し、より多くの人が高速鉄道を利用できるようになる。中国は高速リニア列車と真空チューブ飛行列車を開発し、列車をより高速にする」と明かした。
 当然ながらこれらの科学技術革新には、基礎研究が欠かせない。
 基礎研究は科学革新の源であり、原動力だが、弱点となる可能性もはらむ。その点に関して、国家自然科学基金委員会元主任で中国科学院院士の楊衛委員は委員通路においてその支援策について明かした。
 楊氏は、「基礎研究がR&D経費に占める割合を現在の5%前後から8から10%に引き上げる。これは中国が社会主義強国を建設するためのサポートだ」と力強く語った。

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