2018年08月20日-08月24日
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中国の月面ローバーには特殊技能が満載

2018年08月20日

 月探査機「嫦娥4号」の月面ローバーの名称を世界から募集する活動が15日始まり、そのセレモニー会場で嫦娥4号の着陸機と月面ローバーのデザインが初公開された。単純に外観だけを見るならば、嫦娥4号の月面ローバーは「姉妹」である嫦娥3号の月面ローバー「玉兎号」に似ている。これについて中国月探査事業副総指揮、国家国防科技工業局月探査・宇宙事業センター主任の劉継忠氏は、「嫦娥4号の月面ローバーは玉兎号に似た特徴を備えている。その一方で、月裏側の複雑な地形条件、中継通信の新たな需要、科学目標の実需に基づいた改良、ペイロードの適度な配置調整が行われている」と紹介した。人民日報海外版が伝えた。
 気温調節について、月の夜の氷点下180度の環境ですべての設備が故障しないように、専門家は計器と設備に熱を供給する同位体熱源を設置した。中国月探査事業チーフデザイナーの呉偉仁氏によると、昼夜で極端な気温差がある月面環境に適応することは、嫦娥4号の月面ローバーのアップグレードの重要な取り組みの一つだ。これは玉兎号の当初の教訓が汲み取られている。2014年2月10日、極端な気温差の影響で玉兎号の通信に異常が発生し、月の夜のスリープ後に起動しにくくなったのだ。その後「蘇生」したものの、「負傷」しながらの稼働であったため、月での活動に一定の影響が生じた。気温調節のほか、嫦娥4号の月面ローバーはさらにリンクの設計を改良し、試験・検証を行った。このように失敗の経験を十分に活かした構造となっている。
 ペイロードについて、嫦娥4号の月面ローバーは玉兎号が搭載した国産「3大ペイロード」、すなわちパノラマカメラ、赤外線分光撮像装置、月探査レーダーを引き継ぐ。さらにもう一つの武器となるのは、スウェーデンと協力した中性原子探査装置だ。これにより人類史上初めて、月面で中性原子探査が行われる。
 また最も注目に値すべき点は、嫦娥4号の月面ローバーの総重量が約140キロと、世界で最も軽い月面ローバーである点だ。

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