2018年09月03日-09月07日
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中国人科学者が世界で初めてアルボマイシンの合成に成功

2018年09月06日

 「スーパー細菌」をやっつける、より効果的な抗生物質が誕生した。重慶大学が5日に発表した情報によると、同校薬学院の賀耘教授のチームは世界で初めて、アルボマイシン化合物計3種の全合成に成功した。この成果は4日、ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。科技日報が伝えた。
 重慶大学薬学院長、国家千人計画専門家の賀氏は、「その分子が複雑なため、人工合成は技術的な難易度が高い。これまで成功した研究者はいなかった」としており、彼が率いるチームは6年前にアルボマイシン化合物の合成の研究を開始し、昨年下半期にアルボマイシンδ1、δ2、εの初の全合成に成功したという。その活性の測定を行った結果、異なる抗菌性を持つことが分かった。うちδ2は高い抗菌性を示し、その最小発育阻止濃度は市場で広く使用されているシプロフロキサシン、バンコマイシン、ペニシリンを下回る。臨床分離によって得られた多剤耐性細菌MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に対しても高い抑制性を備え、肺炎連鎖球菌への抗菌性もng/ml級に達している。
 スーパー細菌は多剤耐性細菌とも呼ばれ、抗生物質に高い耐性を持つ。賀氏によると、彼らはアルボマイシンδ2がこれらの細菌を死滅させ、その他の抗生物質の使用量の数百分の1のみで済むことが分かった。賀氏は、「アルボマイシンで新薬を開発すれば、肺炎の治療や一部のスーパー細菌を死滅させる特効薬になる可能性がある」としている。

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