2018年09月17日-09月21日
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貴州省の科学普及観光がブーム、FASTの観測への影響は?

2018年09月20日

 貴州省では9月中旬に入り、広い範囲で気温が低下し、小雨が降ったが、観光客の熱意を冷ますことはなかった。天文小鎮には、「平塘天文科学旅行」などと書かれた観光バスが次々と到着した。10キロ離れた場所にある世界最大の単口径電波望遠鏡のFASTが、観光客の目的地であることは間違いない。現在、貴州省の科学普及旅行がブームとなり、観光客が殺到している。科技日報が伝えた。
 それと同時に、無視できない事実もある。FASTの調整開始から2年にわたり、「観光業が発展すれば、FASTの科学探査に影響が生じるのではないか」という疑問が終始つきまとっている。
 FAST風景区はチケットを販売していない。観光客はシャトルバスの50元(1元は約16.37円)の乗車料金を支払えば、無料で見学できる。当然ながらより多くの観光客はさらに50元支払い、天文体験館に入ろうとする。
 10キロ余りのルートだが、観光客が天文小鎮からFAST風景区にたどり着くのは容易でない。なぜなら3つのゲートと安全検査2ヶ所を通過しなければならないからだ。
 規定によると、観光客はシャトルバスの乗車前に携帯電話、スマートブレスレット、タブレットPCなどすべての電子デバイスを観光客サービスセンターに預けなければならない。これに協力しなければ、FAST風景区に入れない。そのため観光客サービスセンターはこうした注意事項を目立つ場所に掲げている。持ち込み禁止品には、他にも車のキー、ライター、マッチ、果物ナイフ、ハサミなどが含まれる。このように安全検査の厳しさは、空港をはるかに上回る。
 FAST風景区に向かうシャトルバスも特別に改造されており、GPSが取り外されている。観光客はまたFAST内に入ることができず、シャトルバスで周囲から見学することしかできない。より厳しい安全検査を通過した場合は、遠く離れた観象台から眺めることができる。
 また、写真を撮りたい場合は、風景区が提供する手動フィルムカメラを借りることになる。FAST周辺には携帯電話の電波が届かないため、無料の電話ボックスを利用することになる。

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