2018年09月17日-09月21日
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工業博覧会で披露された中国の商業宇宙事業の革新技術

2018年09月21日

 「ロケットタクシー」で宇宙旅行に出かけ、小惑星で採鉱し、火星への移住を実現する。SF映画で目にするこれらのシーンは、商業宇宙事業の発展に伴い、実現するかもしれない。開催中の第20回中国国際工業博覧会において、中国の商業宇宙事業の数多くの革新技術が披露された。新華社が伝えた。
 中国初の再利用可能なロケットの模型が、今回の工業博覧会に初登場した。同ロケットは1段目の垂直定点軟着陸能力を持ち、1段目の回収と再利用を実現する。国内の単位重量あたりペイロードの打ち上げコストを約30%削減する見通しだ。将来的にはさらにユーザーの需要に基づき、タイムリーかつスムーズな打ち上げサービスを提供する。同ロケットは2021年の初飛行を予定している。
 ロケット打ち上げ後、1段目・2段目・カウリングが切り離され地上に戻る。3段目はペイロードと共に軌道に乗り、長期的に宇宙で軌道資源を利用し、「宇宙ゴミ」になる。それでは、ゴミを宝にするにはどうすればいいだろうか。今回の工業博覧会において、上海宇航システム工学研究所埃依斯公司は、ロケット3段目の改造成果を展示した。同社の技術者は3段目の軌道・構造再利用を行い、エネルギー・通信設備を追加し、この「ゴミ」を「宇宙試験プラットフォーム」にする。部品の宇宙環境適応性試験・検証を行い、宇宙での検証を待つ国産新型部品に新たな検証方法を提供する。
 同プラットフォームは昨年11月、「長征4号丙」ロケットによって宇宙へと運ばれ、復旦大学の「芯雲」スマートチップなど各種国産部品・モジュールの宇宙総合環境適応性試験・検証を終えた。
 今回の工業博覧会において、上海航天控制技術研究所は長年に渡り蓄積した技術力と整った製品ラインナップにより、商業小型衛星誘導・ナビ・制御(GNC)システムの「一本化サービス」を打ち出した。同研究所商業小型衛星GNCシステム責任者の林栄峰氏は「商業小型衛星は低コスト・高機能で、打ち上げ方法が柔軟。通信、ナビ、科学探査などに使用でき、市場の将来性が高い」と述べた。

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