2018年12月17日‐12月21日
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送電網の融氷、画期的な技術で実現

2018年12月21日

 生活には常に電力が欠かせないが、凍結は電力網にとって現在、最も深刻な脅威の一つだ。どのような条件のもと電力網の氷を溶かさなければならないのだろうか、通常はどのような措置を講じるのだろうか。科技日報が伝えた。
 統計データによると、南方電網公司の今年12月9日時点の10kV以上送電線のうち270本が凍結し、着氷比が0.3を上回るのは32本となっている。広西電網の技術者である俸波氏によると、着氷比とは実際の着氷の厚さから電線が設計上許容可能な厚さを差し引いた数値のことで、0.5を超えると氷を溶かす必要がある。
 電力網の凍結防止及び着氷除去は、従来であれば人が電信柱に登りハンマーなどで取り除いていた。しかし今は予防技術・手段がアップグレードし、固定式直流融氷、交流融氷変圧器、融氷ブレードゲート、自動機械装置による融氷、エアガンの振動による除去、ローラーによる融氷などがある。重慶大学の蒋慶良教授によると、着氷は極めて複雑な世界的な難題だ。2008年に南方の広い地域で雪害が発生してから、中国は広く研究を展開した。直流融氷は現在、電力網の広範な凍結に対応できる唯一の方法になっている。
 「現在はパソコンの前に座っていれば、遠く離れた電力網の融氷の一部始終を目にすることができる。これは昔ならば想像もできなかったことだ」。南方電網公司の安全ディレクター牛保紅氏によると、指揮センターはIoT及び遠隔通信技術により遠くから除氷・融氷設備を秩序正しく操作できる。またドローンなどの各種手段との協力、大規模な地域を跨ぐ自動化点検などを実現している。効率を高め、人の操作による安全リスクなどを回避している。
 直流融氷の他に、電力網の除氷・融氷はその他の画期的な技術のテストを続けている。例えば南方電網の火炎放射ドローン、異物除去レーザー装置、及びレーザーレーダースキャナーやレーザーレーダーによる実地除氷作業など、非接触式融氷技術にも新たな進展があった。南方電網広東公司は国内で率先し、火炎放射ドローンにより高圧電線アース線の除氷作業を行い、5分間で8回の火炎放射により着氷が深刻なアース線の融解を加速した。異物除去レーザー装置は同社東莞給電局が独自開発した製品で、電線付近を漂う異物を直ちに、速やかに、安全に、直接遠くから除去することができる。融氷試験への応用では、超遠距離レーザーにより、アース線の着氷が最も深刻な部分の厚さ12センチの氷を8分で除去することができた。

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