2019年01月02日-01月04日
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北京市にある世界初の「AI公園」を散策

2019年01月03日

 北京市海淀区在住の女性・李さんは最近、同僚と公園を散歩することが趣味になっている。このような健康的なスタイルのレジャーは本来ならば、楽しさを求める若者向けではなかったものの、「私たちが散歩しているのは普通の公園ではなく、おしゃれなAI公園。顔認証でランニングし、自動運転車が迎えに来てくれ、おまけに一緒におしゃべりしてくれる休憩所もある」という。経済日報が伝えた。
 北京市海淀区は先ごろ大手検索エンジンの百度と事業提携し、この公園を世界初のAI公園に改築した。ここはすでに若者と高齢者から好評を博する人気スポットになっている。

◆顔認証で運動を記録
 海淀公園の東門をくぐると、李さんはまずコースのスタートラインに行き、まず走り始める前に、顔をあげてニッコリ微笑んだ。
 李さんは、「ここにカメラがあり、ここには撮影エリアの注意書きがある」と、頭上を指差し、それから足元を指差した。「ここで顔認証をすると、システムは私が来たことを認識し、私の運動データの記録を開始する。記録し始めているので、走り始めなきゃ!」と言うと、彼女は大きく足を踏み出し、ランニングを始めた。
 ここで運動をする人は多く、若者も高齢者もいる。みな慣れた様子でカメラに向かって顔認証し、走り出す。東門の左手には電子ディスプレイが設置されており、1周の最速記録、累計運動時間、累計運動距離のランキングなどのデータが表示される。
 百度のイノベーションマネージャーの丁子洋氏は、「スマート歩道には百度の顔認証技術を搭載している。人々の顔が運動データを記録するキーとなる。これは顔認証技術の運動シーンにおける応用の模索だ」と説明した。百度の顔認証の精度は99.77%に達している。少し前にはこの顔認証がダンスをしている双子姉妹の1万分の1の違いを見分けることに成功している。そのため現在、ランニング中のランナーを見分けることなどはまったく問題がない。

◆自動運転車を無料で予約
 しかし何といってもAI公園で断トツの人気を誇っているのは、自動運転バスの「阿波龍」だ。この丸々とした青い小型バスは、世界初の量産型L4クラス自動運転バスで、百度と金龍客車が共同開発した。L4クラスとは、ヒトが全く関わらない条件のもと、自動運転できることを意味する。
 早速、取材のため、実際に試乗してみると、車内には運転席もハンドルもなく、座席しかなかった。車内に座るとケーブルカーに乗っているような感覚になる。動き出すと「阿波龍」の運転はとてもなめらかで、歩行者を確認すると、その7、8メートル手前から徐々に減速する。
 丁氏によると、「阿波龍」には各種センサーが搭載されており、人間の目のように周囲の状況をリアルタイムで判断できる。百度が独自開発した自動車ブレーンと車載コンピューティングセンターが加わると、リアルタイムで環境情報を感知し、ルート最適化を実現できる。周囲の車や歩行者の行為を予想し、ブレーキや回避などのスマート操縦制御を行うことができる。

◆「空気」と話をする奇妙な体験
 AI公園には一見した限りではいたって普通の休憩所がある。その外観は涼んだり、足を休めるための東屋のようだが、「小度小度」と一声呼びかけると、さまざまな特技を披露してくれる。「小度小度、広場ダンスをお願い」と言うと、休憩所はハイテンションで「オッケー、広場ダンスの音楽を流すよ」と答える。一人で寂しい時も休憩所とおしゃべりを楽しむことができる。天気予報を聞いたり、この近くに何か美味しいものはないかと聞いたり、さらには冗談を言わせることもできる。
 空気と話をしているように見えるが、利用客との対話は百度のAI分野における重要プロジェクト、対話型AIOS「DuerOS」の一環だ。
 丁氏は、「このOSを搭載すると、音声認証や自然言語処理などの技術能力、及び百度の巨大な情報・サービス生態、さらに海淀公園のサポートにより電力やネットワークなどの難題を克服し、休憩所全体を大きな小度スマートスピーカーにしてしまっている。ここはただの休憩所ではならない。その背後には百度の十数年にわたる中国語検索の蓄積、それからQQ音楽、蜻蜓FM、懶人聴書などの音楽及び音声コンテンツ資源がある。これは十数種類のスマホアプリの機能に相当する」と話した。

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