2019年01月28日-01月31日
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中国の宇宙事業、今年の見どころ

2019年01月30日

 中国航天科技集団副社長の楊保華氏は29日に北京市で、長征5号遥3ロケットが今年7月中・下旬に再発射を遂行し、遥4ロケットが年末に月探査機「嫦娥5号」を打ち上げる計画だと発表した。科技日報が伝えた。
 同社が同日開いた記者会見への取材によると、同社は昨年37回の宇宙船打ち上げ記録を樹立したことに続き、今年は30回以上の打ち上げを目指し、50機以上の宇宙船を打ち上げる予定だ。長征5号、嫦娥5号、北斗3号、高分7号などの「大物」が揃い踏みとなる。
 楊氏によると、中国宇宙ステーション各モジュール打ち上げ任務を担当する長征5号Bロケットは現在、試作品の開発段階に入っている。長征5号エンジンの故障原因が判明したのに伴い、長征5号Bロケットの開発が正常な軌道に乗っている。筆者の取材によると、長征5号Bロケットは1段半の構造を採用する。離陸重量は837.5キロ、近地球軌道への輸送能力は22トン以上。同ロケットは中国宇宙ステーションコア技術検証段階で初発射される。
 中国は今年さらに立体観測衛星「高分7号」を打ち上げ、高分解能特別プロジェクトの全面的な建設に向け確かな基礎を築く。第五研究院高分7号衛星総体主任設計士の趙晨光氏によると、同衛星は中国初の民間用準メートル級高分解能光伝送型立体測量衛星で、主に中国の1:1万スケール立体地図の生産、より大スケールの基礎地理情報製品の更新に用いられる。雄安新区の建設、冬季五輪会場の候補地選択、「一帯一路」(the Belt and Road)重点プロジェクトなど、中国の重大特別プロジェクト、国土計画、経済・国民生活の建設に使用できる。かつて多くの測量士が自ら山と水を渡り数年の時間を費やしていた仕事が、この衛星ならばわずか数分で出来上がる。
 デビューから6連勝中の長征11号ロケットは今年の中頃、中国のロケットとして初の「海上デビュー」を果たす予定だ。航天科技集団第一研究院長征11号ロケット副総指揮の金キン氏(キンは金が3つ)は「この任務は黄海の海域で実施を予定しており、出港後1週間内での打ち上げが可能となっている。同ロケットは波がかなり高い状況での輸送、やや波がある状況での打ち上げの能力を持つ。海上打ち上げの実施により、日増しに拡大する低傾斜角小型衛星の打ち上げの需要を満たすことができる。打ち上げ場所をフレキシブルに選択でき、その多くが公海であることから、周辺の安全性の問題を効果的に解消できる。海上打ち上げのコア技術の確立により、再利用ロケットの海上回収などの技術を発展させる基礎を固めることができる」と説明した。

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