2024年02月26日-02月29日
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「中国天眼」など、年内に重要な研究成果を産出へ

2024年02月29日

 中国では春節連休が終わり、「中国天眼(FAST)」や「人工太陽(EAST)」などを利用した科学研究活動が急ピッチで進められており、年内に複数の重要な研究成果を産出する見込みだ。

「中国天眼」が883個のパルサーを発見、年内に千個の発見を目指す

 貴州省にある「中国天眼」と呼ばれる500メートル球面電波望遠鏡(FAST)では春節以降も宇宙観測が続けられている。FAST運営・発展センター測量・制御エンジニアの孫純氏は「われわれが現在観測しているのはパルサーと呼ばれるものだ。非常に感度が高い望遠鏡により、FASTはこれまで883個のパルサーを観測している。この数は運用開始から現在まで期間における海外の同種望遠鏡の合計観測数の3倍以上になる」と説明した。

 FASTチーフエンジニアの姜鵬氏は「今年はパルサー発見数を1000個まで拡大できる見込みだ。われわれは今後も物理学的意義を持つパルサーを探す。パルサーブラックホール連星システムが見つかれば、人類の認識を変えることになる」と述べた。

「拉索」が年内に全粒子エネルギースペクトル・単一元素エネルギースペクトルの測定を完了

 四川省稲城に位置する高標高宇宙線観測ステーション「拉索(LHAASO)」は、2023年に国内の検収に合格した、感度とスカイサーベイ能力が高い超高エネルギーガンマ線探査装置だ。研究者は最近、中型イメージング大気チェレンコフ望遠鏡試作機の設備メンテナンスを行ってきた。

 敷地面積1.36平方キロの観測ステーションでは今後、同望遠鏡32基からなる大型チェレンコフ望遠鏡アレイが構築される。それにより、この観測ステーションは宇宙の恒星級天体の爆発によるガンマ線が検出でき、それがどの天体由来なのかもより正確に判断できるようになる。

 研究者はまた、観測ステーションで観測された宇宙線を利用した、全粒子エネルギースペクトルと単一元素エネルギースペクトルの測定を、年内に完了する予定だ。

「人工太陽」が年内にHモードプラズマの千秒維持に挑戦

 安徽合肥科学島に位置する「人工太陽」と呼ばれる完全超伝導トカマク核融合実験装置(EAST)は最近、新たな物理実験を開始した。研究者は実験の合間を利用して、装置のイオンサイクロトロン加熱システムの性能を高めた。研究者は、世界最長の403秒間のHモードプラズマ維持を踏まえ、1000秒レベルの維持を目指している。

 中国では77カ所の国家重要科学技術インフラの建設を進められており、うち35カ所が完成して運用を開始している。

写真は高標高宇宙線観測ステーション「拉索(LHAASO)」

 
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