第18期三中全会「決定」(全訳)
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3.近代的市場体系の整備の加速

 統一的・開放的で秩序ある競争の行われる市場体系を建設することは、資源配置における決定的役割を市場に果たさせるための土台である。企業が自主的に経営し、公平に競争し、消費者が自由に選択し、自主的に消費し、商品と生産要素が自由に流動し、平等に交換される近代市場体系の形成を加速し、市場障壁の除去に力を入れ、資源配置の効率と公平性を高めなければならない。

(9)公平・開放・透明という市場規則を打ち立てる。統一的な市場参入制度を実行し、ネガティブリストの制定を土台として、各種の市場主体が法に基づいてこのリスト以外の分野に平等に参入できることとする。外国企業の投資に対しては、参入前国民待遇とネガティブリストという管理モデルを模索する。工商登録制度の利便化を進め、資質認定項目を削減し、「先証後照」(関連部門で行政許可証を取ってから工商部門で営業許可証を得る)を「先照後証」(工商部門で営業許可証を取り、必要なら行政許可証を得る)に転換し、登録資本の全額支払登録制度を授権登録制度へと移行する。国内貿易流通体制の改革を推進し、法治による営業環境を構築する。

 市場の監督管理体系を改革し、統一的な市場の監督管理を実行し、全国統一市場と公平競争を妨げる各種の規定とやり方を整理・撤廃し、優遇政策を違法で実行する各種の行為を厳禁・処罰し、地方の保護主義に反対し、独占と不正競争に反対する。社会の信用情報システムを構築・整備し、信用度の高いものは奨励し、信頼度の低いものは処罰する。適者生存という市場化された撤退の仕組みを整備し、企業の破産制度を整える。

(10)市場が中心となった価格決定の仕組みを整備する。市場による価格形成ができるものは市場に任せ、政府は不当な干渉を行わない。水・石油・天然ガス・電力・交通・電信などの分野の価格改革を進め、価格競争の統制を一部で緩和する。政府が価格を定める範囲は重要な公共事業や公益サービス、ネットワーク型自然独占分野に主に限り、透明度を高め、民間の監督を受け入れる。農産品の価格形成の仕組みを整え、市場による価格形成の役割をさらに発揮させる。

(11)都市と農村の統一的な建設用地市場を構築する。計画に符合し用途が統制されているという前提の下、農村の集団経営建設用地の譲渡・賃貸・株式参加を認め、国有地と同レベルの市場参入と同権・同価値の制度を実行する。土地接収の範囲を縮小し、手続きを規範化し、土地を接収された農民に対する合理的で規範的で多元的な保障の仕組みを整える。国有地の有償使用範囲を拡大し、公益向けでない用地割り当てを減少させる。国家・集団・個人のそれぞれに配慮した土地増値収益分配のメカニズムを構築し、個人の収益を合理的に引き上げる。土地の賃貸・譲渡・抵当の流通市場を整備する。

(12)金融市場体系を整備する。金融業の国内外への開放を拡大し、監督管理の強化を前提として、条件に合った民間資本が法に基づいて中小型銀行などの金融機関を設立することを認める。政策金融機関の改革を進める。多層的な資本市場体系を整備し、株式発行登録制の改革を推進し、株式金融を多くのルートから推進し、債券市場の発展と規範化を進め、直接融資の比重を高める。保険による経済補償の仕組みを改善し、巨大災害保険制度を構築する。金融包摂を発展させる。金融革新を奨励し、金融市場の多層性と商品の充実をはかる。

 人民元レートの市場形成の仕組みを改善し、利率の市場化推進を加速し、市場の需給関係を反映した国債収益率曲線モデルを改善する。資本市場の双方向的な開放を推進し、国境を越えた資本と金融の取引における両替可能水準を高め、マクロプルーデンス管理の枠組みにおける外債と資本の流動管理体系を構築・整備し、人民元資本項目の兌換(だかん)性実現を加速する。

 金融監督管理改革措置と慎重性基準を実行し、監督管理における協調の仕組みを改善し、中央と地方との金融監督管理の職責とリスク処理の責任を区分する。預金保険制度を構築し、金融機構の市場化撤退の仕組みを整備する。金融インフラの建設を強化し、金融市場の安全で効率的な進行と総体的な安定を保障する。

(13)科学技術体制の改革を深化させる。オリジナル革新や統合革新、技術の導入・消化吸収・再革新を奨励する体制や仕組みを構築・整備し、技術革新の市場誘導メカニズムを整備し、技術開発の方向や経路の選択、生産要素の価格、各種の革新要素の配置に対する市場の誘導的役割を発揮させる。産業・大学・研究所の協同革新の仕組みを構築し、技術革新における企業の主体的地位を強化し、革新の中堅となる大型企業の役割を発揮させ、中小企業の革新活力を引き出し、応用型技術の開発機構の市場化・企業化改革を推進し、国家革新体系を構築する。

 知的財産権の運用と保護を強化し、技術革新の奨励の仕組みを整備し、知的財産権の専門裁判所の設立を検討する。行政による主導と部門による分割をやめ、技術革新項目と経費の分配、成果の評価が主に市場によって決定される仕組みを構築する。技術市場を発展させ、技術移転の仕組みを整備し、科学技術型中小企業の融資条件を改善し、ベンチャー投資の仕組みを整備し、ビジネスモデルを革新し、科学技術の成果の資本化や産業化を促進する。

 科学技術関連の計画と資源とを統合し、基礎的・戦略的・先端的な科学研究と基盤技術研究に対する政府の支援の仕組みを整備する。国家重大科学研究基礎施設のうち規定によって開放すべきものは民間に対して一律に開放する。革新調査制度と革新報告制度を構築し、オープンで透明な国家科学研究資源管理とプロジェクト評価の仕組みを構築する。

 院士の選抜と管理の体制を改革し、学科の配置を改善し、青壮年人材の比率を高め、院士の定年と退任の制度を実行する。