第五編 構造最適化 地域の協調的な発展と都市化の健全な発展の促進
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第十八章 地域発展総体的戦略の実施

 さまざまな地域の比較優位を十分に活かして、生産要素の合理的な流動を促進し、地域協力を深化し、地域の相乗効果による発展を推進し、地域の発展格差を徐々に縮小する。

第1節 新たな西部大開発の推進

 西部大開発戦略のさらなる実施を地域発展に関する全体的戦略の優先課題とする方針を堅持し、特別な政策的後押しを行う。

 インフラ建設を強化し、鉄道・道路・民間航空・水運網を拡大し、中核的な水利工事および重要な水利ターミナルを建設し、天然ガスパイプライン事業や主要送電網およびネットワーク化事業の早急に推進する。 

 生態環境の保護を強化し、地質災害対策を強化し、重点生態機能区の構築を推進し、重点生態事業を引き続き実施し、国の生態安全障壁を構築する。

 資源の優位性を活かして、市場志向の比較優位資源転化戦略を実施し、資源が豊富な地域に資源開発およびディープ・プロセシング(工業製品への加工)プロジェクトを配置する。国の重要エネルギー、戦 略資源の接続地、産業クラスター地区を構築し、特色のある農業や観光など比較優勢産業を発展させる。

 科学技術・教育の発展に力を入れ、自己発展能力を強化する。

 ブン川など被災地の発展を支援する。

 点を線でと点を結び、点で面を牽引する方針を堅持し、重慶・成都・西安の地域間戦略提携を推進し、「呼包鄂楡(フフホト市、包頭市、オルドス市<いずれも内モンゴル自治区>、楡林市<陝西省>)」、広 西ウイグル自治区北部湾、「成渝」(成都・重慶)、貴州省中部、雲南省中部、チベット自治区中南部、関中(陝西省の渭河流域)-天水市(甘粛省)、蘭州(甘粛省)-西寧(青海省)、寧夏回族自治区沿黄( 銀川を中心とした黄河沿岸地域)、天山北麓(新疆ウイグル自治区)など経済区の急速な発展を推進する。新たな経済成長の極(growth pole)をつくり出す。

第2節 東北地域などの旧工業基地の全面的振興

 産業・科学技術の基盤がしっかりしているという優位性を活かして、現代産業システムを整え、設備製造や原材料、自動車、農産物のディープ・プロセシングなど比較優位産業のグレードアップを推進し、金融、物 流、観光、ソフトウェアおよびサービスのアウトソーシングなどサービス業の発展に力を入れる。

 国有企業改革を深化し、国営企業の支援により雇用確保の目的で運営されてきた集団所有制企業「廠弁大集体企業」の改革と「債務株式化(DES)」資産の処理を急ぎ、非 公有制経済と中小企業の発展に力を入れる。

 農業発展パターンの転換を加速させ、安定した国家食糧戦略基地を建設する。

 黒土の土地、湿地、森林、草原の保護に力を入れ、大興安嶺・小興安嶺、長白山森林区の生態保護と経済転換を推進する。

 資源枯渇地域の転換発展を促進し、資源型都市の持続可能な発展能力を強化する。

 全国旧工業基地の調整・改造を統一して計画・手配する。

 遼寧沿海経済帯、瀋陽経済区、「長吉図」(吉林省の省都・長春市、吉林市の一部地域、図們江)経済区、「哈大齊」(黒龍江省の省都・ハルビン市、大慶市、チチハル市)および「牡綏」(牡丹江、綏芬河)地 区などの地域発展を重点的に推進する。

第3節 中部地域の台頭の促進

 東部地域の発展の勢いを西側へ伝えるという地理的優位性を活かして、比較優位産業を盛り上げ、現代産業システムを発展させ、全国重要食糧生産基地、エネルギー原材料基地、現 代設備製造およびハイテク産業基地、総合交通運輸ターミナルの地位基盤を築き、さらに向上させる。

 投資環境を改善し、東部地域や海外から産業移転を秩序立てて受け入れる。

 資源の利用効率と循環型経済の発展水準を高める。

 大型河川・湖の総合整備を強化する。

 東北地域などの旧工業基地の振興と西部大開発にならった中部地域の関連政策をさらに細分化して実施する。

 「隴海」(連雲港-蘭州)線、「京広」(北京-広州<広東省>)線、「京九」(北京-九龍<香港>)線、長江中流地域の経済帯の構築を加速させ、人口と産業のクラスター化を促進し、周 辺都市群との結び付きを強化する。

 太原都市群、「皖江」(安徴省の長江流域)都市帯、潘陽湖(江西省)生態経済区、中原経済区、武漢都市圏、環「長株潭」(湖南省の長沙、株州、湘潭)都市群などの地域発展を重点的に推進する。

第4節 東部地域率先発展の積極的支持

 全国の経済発展に対する東部地区の重要な牽引・サポートの役割を発揮させ、さらに高いレベルで国際協力・競争に参加する。改革開放において、全国に先駆け新たな政策を試行・実施し、経 済発展パターンの転換や経済構造の調整、自主イノベーションで全国をリードする。

 科学技術イノベーション能力の向上に力を入れ、国家イノベーション型都市および地域イノベーションプラットフォームの構築を急ぐ。

 産業競争の新たな優位性の創出に力を入れ、戦略的新興産業、現代サービス業、先進製造業の発展を加速させる。

 体制メカニズムのイノベーション推進に力を入れ、社会主義市場経済体制を率先して整える。

 持続可能な発展能力の強化に力を入れ、エネルギー・土地・海域などの資源利用の効率をさらに高め、環境汚染対策を強化し、資源環境のボトルネックを解消する。

 北京・天津・河北、長江デルタ、珠江デルタといった地域経済の一体化した発展を推進する。首都経済圏を構築し、河北沿海地区、江蘇沿海地区、浙江舟山群島新区、海峡西岸経済区、山 東半島藍色経済区などの地域発展を重点的に推進し、海南国際観光島を建設する。

第5節 「老少辺窮地区」への扶助強化

 扶助の度合いをさらに強め、インフラ建設を強化し、生態系の保護・再生を強化し、公共サービス水準を高め、「老少辺窮地区」(革命根拠地、少数民族地区、辺境地区、貧困地区)の生産・生 活条件を適切に改善する。

 革命根拠地の発展扶助に関する政策・措施を継続的に実施する。

 少数民族地区の発展扶助に関する政策の実施を徹底し、チベット、新疆およびその他の少数民族地区の発展に対する支援に力を入れ、人口の少ない民族の発展を扶助する。

 国境線に近い辺境地区を振興し、辺境地区の人々の生活を豊かにする「興辺富民」行動をさらに推進し、陸地国境地区には西部開発政策を適用し、国境貿易と民族特需品の発展を後押しする。

 「南疆」(新疆南部)地区、青蔵高原(チベット高原)東縁地区、武陵山区、烏蒙山区、雲南西部国境山区、秦巴山-六盤山区および中西部のその他特殊困難地区を対象に、貧 困扶助開発のグレークスルー事業を実施し、「以工代賑」および生活や生産条件が厳しい地域に暮らす貧困農家をインフラがある程度整い、教育・医療・公共サービスにアクセスしやすい場所に移転させる「易地扶貧搬遷( 生活や生産条件が厳しい地域に暮らす貧困農家をインフラがある程度整い、教育・医療・公共サービスにアクセスしやすい場所に移転させる)」政策に力を入れる。

 新疆ウイグル自治区で開墾と辺境防衛を行う準軍事的政府組織「新疆生産建設兵団」の建設・発展を支援する。

 三峡ダムなどダム区の後続発展を推進する。

 「老少辺窮地区」に対して中央が割り当てる公益性建設プロジェクトは、県レベルを廃止するとともに、市レベルの関連資金を徐々に削減する。

 地域互助の政策を実施し、先進地区の地方政府(省・市)がそれぞれの財政収入の一定割合を割り当て特定の地区をカウンターパートとして支援する「対口支援(ペアリング支援)」をさまざまな形で展開する。