1.情勢とニーズ

 “十一五(第11次5ヶ年)”は『科学技術規画綱要』を全面的に実行し、科学技術発展に重要な成果をもたらした5年であった。党中央、国務院のリーダーシップの下、わが国の科学技術業務は“自主イノベーションの飛躍、発展を支え、未来に導く”という指導方針を堅持し、中国の特色のある自主イノベーションの道を歩んでいる。自主イノベーション力の向上を全ての科学技術業務の中で際立った位置に置き、”十一五(第11次5ヶ年)”の主要目標と任務は順調に完了し、わが国の科学技術の発展は飛躍の時期に入った。

—— 科学技術イノベーション力の向上が加速。

 16の科学技術重要大型特定プロジェクトが全面的に実施され、階段的に成果が得られた。重点分野では初めて飛躍的な成長が見られ、有人宇宙飛行、月探査事業、スーパーコンピューター、スーパー交雑水稲(ハイブリッド米)、高速鉄道、実験高速炉、量子通信、鉄系超伝導、有人深海潜水、誘導多機能乾細胞等、シンボリックな重要な成果が得られた。科学技術研究活動にも急速な成長が見られ、その質は確実に改善された。”十一五(第11次5ヶ年)”期間、わが国の発明特許ライセンス数は世界第3位にまで上昇し、国内の発明特許申請数は年平均で25.7%成長し、ライセンス数は年平均で31%成長した。国際科学論文総数は世界第5位から第2位に台頭し、被引用回数は世界第13位から第8位まで上昇した。

—— 科学技術資源の総量が急速に増加。

 ”十一五(第11次5ヶ年)”期間、社会全体の研究開発投資は明らかに増加し、2010年は6,980億元に達した。これは2005年の2.8倍である。国家財政の科学技術投入は、年平均で20%以上増加している。研究開発者のFTEは年平均で13%成長し、2010年は255万人に達している。国家(重点)実験室が新たに計156ヶ所建設され、総数は333ヶ所に達した。国家工程(技術)研究センターは新たに114ヶ所建設され、総数は387ヶ所に達した。新たに建設された国家工程実験室は91ヶ所で、国家企業技術センターは575ヶ所にまで増加した。また一連のシンボリックな重要大型科学技術インフラ、大型科学工程の建設が完成した。科学技術の基礎環境となるプラットフォームの建設は強化され、科学技術資源の統合と共有を力強く推し進めている。

—— 科学技術のサポート・リードする役割が日増しに顕著に。

 科学技術のイノベーションは、重点産業の振興を支え、国際金融危機への有効な対応の中で、積極的な貢献を果たした。三峡工程、青藏鉄道、西電東送等の重要大型事業、及び北京オリンピック、上海万博等の重要大型活動を支援し、更に地震災害救済、食糧安全と気候変動対策においても鍵となる役割を果たしている。国家ハイテク区は、ハイテク技術産業発展の重要な原動力となっており、2010年には27ヶ所の省級ハイテク区が国家ハイテク区にグレードアップし、国家ハイテク区の総数は83ヶ所に達した。国家ハイテク技術産業の総生産額は年平均で17%以上成長しており、2010年は7.6万億元に達した。また国家自主イノベーションモデル地区の建設においても成果が得られている。全国の技術市場の契約取引総額は年平均で20%成長し、2010年は3,906億元の規模に達している。

—— 自主イノベーション環境がたえず最適化。

 『科学技術進歩法』が修正され、『科学技術規画綱要』の関連政策の実施が加速化し、国家中長期人材、教育規画が相次いで出されるなど、知的所有権戦略の実行力が明らかに強化された。科学技術体制改革はたえず進化しており、国家イノベーション体系の建設には大きな進展があった。技術イノベーション工程が実施され、知識イノベーション工程パイロット事業では明らかな成果が得られた。特色のある各地域のイノベーション体系はたえず改善されており、科学技術の仲介サービス力も増強されている。軍民が融合した国防科学技術イノベーション体系の建設も穏やかに推進されているほか、科学技術と金融の結合もより緊密なものになっている。科学技術の対外開放も進展しており、国際科学技術協力はより一歩強化されている。文化と科学研究の融合が重視されるようになり、科学普及業務は広く展開され、社会全体のイノベーションへの関心、イノベーション支援、イノベーションに参加する雰囲気が今まさに形成されているところである。

 “十二五(第12次5ヶ年)”時代は、世界の科学技術の発展には新たな進展が見られるようになり、国内の経済社会の発展は新たな要求を提示し、わが国の科学技術の発展において戦略的チャンスの時期を迎える。

 世界の科学技術は急速な成長トレンドを維持しており、学科交叉と技術融合が加速し、イノベーション要素とイノベーション資源がグローバルな範囲で流動性を加速化させ、科学技術は今まさに新たなブレークスルーを育んでいるところである。ネットワークと情報技術の浸透と、その利用が加速化し、スマート、ユビキタス、融合、パーペイシブを特徴とする新たな情報産業の変革を引き起こしている。新型省エネ環境保護技術、新エネルギー技術等がブレークスルーを加速させ、世界におけるグリーン化、クリーン化、低炭素化の進展を新たな階段へと推し進めている。バイオ医薬、海洋開発、空間観測、新材料等分野の研究開発イノベーションと産業集成が、新たな経済の成長ポイントを育む強大な原動力となっていく。科学技術の急速な発展は、人々の思考方式、生活方式、就業の方向に深く影響を与えるだけでなく、社会の生産方式、グローバル競争の構造、国民の富の獲得方式にも重大な変革をもたらしていく。国際金融危機の影響はあったが、世界の主要国において科学技術イノベーションを国家の成長戦略にまで引き上げ、こぞって研究開発投資を大幅に増加させており、核心キー技術研究開発を強化し、科学技術イノベーション人材の争奪競争を繰り広げ、戦略的に新興産業発展のイニシアチブと主動権を奪おうとしている。

 わが国は工業化、情報化、都市化、市場化、国際化を発展させる重要な時期にある。一方で、経済構造のモデルチェンジを加速させ、体制の活力を著しく増強させ、国民の所得を穏やかに増加させ、教育レベルと人材の質を引き続き向上させる。経済成長は長期的によい方向に向かっている。総合的な国力はまた新たな段階へと進んでおり、これは科学技術事業の発展に確かな保証を提供することになるはずである。一方で、エネルギー資源環境のボトルネックとなる制約の突破、人口高齢化への対応、発展の不均衡・不協調、持続可能とならない問題の解決は、科学技術イノベーションに対し、より切実なニーズを提示している。

 新しい情勢に対応することにおいて、わが国の科学技術の発展には依然、脆弱なプロセスと根深い問題が存在することをはっきりと認識する必要がある。具体的にはオリジナルイノベーション力が比較的脆弱であること、企業の技術イノベーション活力の強化が待たれること、産学研の結合が十分緊密でないこと、ハイレベルのイノベーション型科学技術人材が相対的に不足していること、科学技術資源の配置効率の向上が待たれること、自主イノベーション政策の実行をより進展させる必要があることである。我々は世界の科学技術の発展を科学的に判断し、経済社会の発展ニーズを的確に把握し、科学技術発展を妨げている問題の解決に力を入れ、科学技術により経済社会の発展を支え、リードする役割を充分に発揮させる必要がある。


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