第22号:中国環境と日中協力を考える
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特集巻頭言:中国環境と日中協力を考える

中国科学技術月報2008年7月号(第22号)  2008.7.20発行

 中国 総合研究センターでは、地球温暖化問題が7月7?9日開催の洞爺湖サミットの主要テーマになっていることをふまえて、6 月号マンスリーレポートにおいて、 「地球温暖化への取組みと日中協力」をテーマとする特集号を刊行した。今回の洞爺湖サミットにおける最大のテーマは地球環境問題であることから、洞爺湖サ ミットは別名「 地球環境サミット」とも呼ばれている。

 近年、人類の活動範囲・規模・種類の拡大にともない、気候変動、大気汚染、水質汚濁、生態系の破壊、オゾン層の破壊、生 物多様性の喪失といったさまざまな地球環境問題が顕在化し、地球と人類に対する脅威となっている。

 「地球環境サミット」の名に相応しく、今回の洞爺湖サミットでは、従来のG8主要八ヶ国に加え、温室効果ガス排出量の多い中国、インドなども参加した計十六カ国による主要経済国(排出国)会議(MEM)の初首脳会合が開催され、気候変動対策などについて話し合われた。

 改革・ 開放以来30年近くも平均10%近い経済成長を続けてきた中国は世界最大の人口とヨーロッパ、米国に匹敵する広大な国土をもつ大国として、経 済的にも環境 的にも否応なく世界中に重大な影響を及ぼすようになっている。中国は急速な経済発展を遂げている一方で、深刻な環境問題を抱えている。環境汚染がもたらし た経済損失額は約8兆円、GDPの約3%( 2004年)に相当するとの報告が出ており、森林・草地の砂漠化が進み、大気汚染、河川の水質汚濁、生態系の破 壊が深刻さを増し、大気汚染物質である二酸化硫黄(SO2)の排出量は世界1位、温 室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出量は米国に次ぐ世界2位と 言われている。

 中国の環境問題は中国一国に留まらず、国境を越 えて我が国にも影響を及ぼしている。中国が直面している環境問題は、中国一国のみの対応では解決が困難であり、国境を越えた共同の取り組みが必要であり、 とりわけ我が国の協力が求められている。また、中国に対する環境協力は我が国自身の利益にもかなうものと思われている。こ うした観点から、中国総合研究セ ンターでは、これまで環境問題に深く関わってきた有識者の方々に、それぞれの経験と知見をふまえて  「中国環境と日中協力を考える」というテーマで自由に書いてもらった特集記事を7月号マンスリーレポート特集号にまとめて読者の皆さんにご紹介する。本 特集が中国の環境問題をより深く理解し、日中環境協力を考える一助となれば幸いである。

中国総合研究センター

icon2 「急進展する中国の環境政策と日本の対応」

青山 周(日本経団連アジアグループ長)


icon2 「北京オリンピックを機に考える中国の環境問題と対策」

小柳 秀明(財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)北京事務所長


icon2 「中国の環境問題と処方箋」

中村 吉明(経済産業省環境指導室長)


icon2「中国の環境問題とポスト円借款時代の対中環境協力
    −中国に公害防止事業団を−

関山 健(東京財団政策研究部研究員)


icon2 「行政による日中環境ビジネス支援の必要性」

大野木 昇司(日中環境協力支援センター有限会社)


icon2 「中国の省エネルギー目標達成に向けた展望:価格制度改革の観点から」

堀井 伸浩(九州大学経済学研究院准教授)


icon2 「中国の気候変動に対応するための国家方案の概要」

渡辺 格(JST北京事務所長)