4.環境および資源・エネルギー分野(原子力を除く)
トップ  > 科学技術>  中国の科学技術分野別状況 >  4.環境および資源・エネルギー分野(原子力を除く) >  4.1 環境および資源・エネルギー分野の概要

4.1 環境および資源・エネルギー分野の概要

(1) 関連政策

1)各政策の分野別取り組みについて

 中国政府は、エネルギー資源の大規模な開発と利用が環境汚染と気候変動の主要な要因の1つであるとの認識を示したうえで、石炭を中心として、エネルギーのクリーンな利用に最大限の注意を払いながら環境保護に焦点をあてて生態の破壊と環境汚染の防止に取り組んでいく意向を表明している。

 2006年3月に全国人民代表大会(全人代)で承認された、中国の全体計画である「中華人民共和国国民経済・社会発展『第11次5ヵ年』規画綱要」では、単位GDP(国内総生産)あたりのエネルギー消費量を2005年比で2010年までに20%削減するとともに、汚染物質の排出量を10%削減する方針を打ち出した。中国では、「節能減排」(省エネ・排出削減)がエネルギー・環境問題を語るうえでのキーワードとなっている。

① 中長期科学技術発展規画(2006~2020年)

 科学技術政策に関する長期的な方向性を示した「国家中長期科学技術発展規画綱要(2006~2020年)」(「国家中長期科学和技術発展規劃綱要(2006-2020年)」)は、重点課題として「持続可能な発展を可能にするエネルギー、水・鉱産資源、環境技術の開発」をあげている。

 同規画では、11の重点領域と16の重大特定プロジェクトが定められている。11の重点領域についてはさらに細かく68件のテーマがリストアップされている。エネルギー、資源、環境に関しては、重大特定プロジェクトとして①大規模な油田と炭層ガスの開発②大型先進加圧水型炉と高温ガス冷却炉による原子力発電所の建設③水質汚染の抑制と管理体制の確立――があげられている。一方、重点領域については、以下の構想と優先テーマが掲げられている。

分野

発展構想

優先テーマ

エネルギー

①省エネ、エネルギー消費量の削減を優先とする。主要な省エネ分野における重要な技術を把握するために、積極的に省エネ技術を発展させ、一次エネルギーの利用効率と最終利用効率を上げる。
②エネルギー構造を多様化し、供給を拡大する。石油・天然ガスの開発・利用、および水道、電気の技術水準を高めるとともに、原子力技術の発展をはかることによって原子力発電の自主的イノベーション能力を構築する。風力や太陽、バイオマスエネルギー等の再生可能エネルギー技術のブレークスルーを達成し大規模利用をはかる。
③石炭のクリーン・効率利用を進め、環境汚染を低減する。石炭のクリーン・高効率化技術を発展させ、国際的な先進水準に到達させる。
④エネルギー設備の技術導入、消化、吸収と再イノベーション能力を高める。先進的な石炭火力発電、原子力発電等の重要な設備製造技術の把握に努める。
⑤エネルギーの地域最適化配置技術能力を高める。信頼性のある先進的な送電技術開発に重点を置き、大容量、遠距離、高効率の送電を実現する。

・工業分野での省エネ

・石炭のクリーン・高効率な開発利用、液化および複合利用

・複雑な地質における石油・天然ガス資源の探査および開発利用

再生可能エネルギーの低コストかつ大規模な開発利用

・超大規模な送・配電と電力網の安全確保

水資源・鉱物資源

①資源の節約を優先する。農業の高効率節水と都市における水の循環利用を重点的に研究し、多流域にまたがる水の調達、雨水利用、海水淡水化等の水資源開発技術を発展させる。
②既存資源の埋蔵量を拡大する。地質を重点的に研究し、鉱山の深部評価と高効率探査技術を発展させ、チベット高原等の複雑な条件下における鉱物を早急に調査し、大規模な予備資源基地として資源の供給量を拡大する。鉱物資源の高効率採掘と総合利用技術を開発し、水と鉱物資源の総合利用率を高める。
③積極的に非在来型資源を開発する。炭層ガスと海洋鉱物資源等の新規資源の開発、利用をはかり、非在来型資源の利用技術の研究能力を向上させる。
④資源探査・開発設備のイノベーションを強化する。高精度の資源探査・掘削設備、大型鉱山機械、海洋開発プラットフォーム等の技術を積極的に開発し、資源探査設備を国際的な先進水準に到達させる。

水資源の最適化配置および総合開発利用

・総合的な節水

・海水の淡水化

・資源の探査、確認埋蔵量の拡大

・鉱物資源の高効率開発・利用

・海洋資源の高効率開発・利用

・総合的な資源利用のための区域計画

環境

①循環経済の発展を導き支援する。深刻な汚染を発生させている業界向けにクリーン生産技術を開発し、廃棄物の減量化、資源化利用・安全対策、循環経済に共通した技術の研究を強化する。
②地域環境の総合管理を行う。流域内の水環境および地域の大気環境汚染の総合的管理、典型的な生態機能悪化地域に対する総合修復技術の展開およびモデル構築、飲用水の安全確保技術および生態・環境の監視・警報技術を開発する。
③環境保護産業の発展を促進する。中国の国情に適した環境保護設備・計器を重点的に研究し、国産の環境保護製品の市場占有率を引き上げ、環境保護の設備・技術水準を向上させる。
④国際環境協力活動に積極的に参加する。

・総合的な汚染対策および廃棄物の循環利用

・脆弱な生態地域における生態システムの機能修復

・海洋生態および環境保護

・地球規模の環境変化の監視・測定および対策

 このほか中長期科学技術発展規画は、先端技術の項目で、エネルギーの将来の課題は経済的、効率的、クリーンな利用と新エネルギーの開発にあるとしたうえで、先進エネルギー技術として①水素エネルギーおよび燃料電池技術②分散型エネルギー技術③高速炉技術④磁場閉じ込め方式核融合――をあげている。

② 「第11次5ヵ年」科学技術発展規画

 「国家『第11次5ヵ年』科学技術発展規画」(「国家"十一五"科学技術発展規劃」)は、エネルギー・資源・環境分野において、以下の戦略目標を掲げている。

  • 国民経済の重大なニーズに応え、エネルギー・資源・環境における中核技術のイノベーションを強化し、技術的な障害を乗り越える能力を高める。
  • 省エネの中核技術を飛躍的に進歩させ、単位GDPあたりのエネルギー消費量の20%削減をサポートする。
  • 複数の重点業界と地区において循環経済技術のモデル事業を構築し、資源の総合利用効率を高める。
  • 環境汚染を基本的に抑制し、生態悪化の傾向に歯止めをかける。

 同規画では、こうした戦略目標に基づいたエネルギー・資源・環境分野の重点特定プロジェクトに加えて、緊急のニーズに応じて克服する必要がある各種技術を以下のように具体的に定めている。

目標

主要項目、技術

戦略目標に基づいた重点特定プロジェクト

重点特定プロジェクト:
-大規模な石油・ガス田と炭層ガスの開発
-大型先進加圧水型炉と高温ガス炉
-水質汚染の抑制と管理

緊急のニーズに応じて克服する必要のある技術

クリーンで信頼できる低廉なエネルギーの供給:
-工業・建築・交通分野の省エネ技術
-クリーン石炭技術
-風力、太陽、バイオなど再生可能エネルギー技術
-超高圧送電と電力網の安全関連技術
節約、効率向上、資源の供給能力拡大:
-節水技術
-海水淡水化技術
-油田の採収率を高める技術
-油田・ガス田の高効率探査技術
-複雑な地質条件下での油ガス・炭層ガスの高効率採収技術
循環型経済の発展の導入と支援:
-家庭ゴミ処理・資源化と資源管理技術
-生態悪化地区および重大プロジェクト周辺の生態系に関する総合整備技術
-クリーン生産と循環経済に関する中核技術の研究および事業モデル

今後の発展を見据えた先端技術と基礎研究

先進的なエネルギー技術:
-省エネ技術
-石炭の高効率利用・転化技術
-新エネルギーと再生可能エネルギー技術
-原子力・水素エネルギー技術
-燃料電池技術
-分散式エネルギー技術
-クリーン石炭技術
-石炭ガス化をベースとした複合発電モデル事業

2)重点分野推進政策

 中国政府は、国民経済と社会発展の緊急のニーズに立脚し、エネルギー、資源、環境の技術開発を優先している。エネルギー分野では省エネと供給の多様化・拡大、資源分野では戦略的資源の調査・開発・利用に関した技術水準の向上、環境分野ではクリーン生産と循環型経済の確立に加えて脆弱な生態系の管理――が柱に据えられている。

 このうちエネルギー関係では、国務院が2004年6月30日に原則的に可決した「エネルギー中長期発展規画綱要(2004~2020年)」に基づき、政府の関連部門は以下のような政策・計画を定めている。

  • 「原子力産業『第11次5ヵ年』発展規画」(2006年8月)
  • 「中国省エネ政策技術政策大綱」(2007年2月)
  • 「エネルギー発展『第11次5ヵ年』規画」(2007年4月)
  • 「省エネ排出削減総合事業方案」(2007年6月)
  • 再生可能エネルギー中長期発展規画」(2007年8月)
  • 「原子力発電中長期発展規画」(2007年11月)
  • 再生可能エネルギー発展『第11次5ヵ年』規画」(2008年3月)
  • 「国家重点省エネ技術推進目録」(2008年5月)

 このほか「再生可能エネルギー法」(2006年1月)、「改正省エネ法」(2008年4月)、「循環経済促進法」(2009年1月)が施行されるなど、中国政府の政策は、きわめて多岐にわたる。このため、科学技術に焦点を定めて、中国が重点的に推進している政策を紹介する。

① エネルギー分野

ⅰ 建築省エネの中核技術に関する研究とモデル事業

 建築省エネに関する最適化設計・一体化技術、大規模公共建築物の省エネ技術、太陽エネルギーなどの再生可能エネルギー利用技術を研究し、シリーズ化・セット化された省エネ・システムを開発し、新築建物の総エネルギー消費を50%以上削減する。また、新築建物の暖房用エネルギー消費を60~65%、住宅と中小規模の公共建築物の電力消費量を40%、大規模公共建築物の電力消費量を60%、それぞれ削減する。

ⅱ 高出力風力発電装置の開発とモデル事業

 2~3MWの風力発電装置を開発するとともに、近海部に試験的な風力発電所を設置し、洋上風力発電技術を修得する。2MW以下の風力発電装置の中核技術を修得し、産業化を実現する。大型風力発電装置の検証システムを構築する。

ⅲ ±800kV直流/1000kV交流超高圧送電技術・設備

 超高圧直流・交流送電に関する研究と試験によって、超高圧送電の中核技術の試験・研究の方法を把握し、大規模電力網技術と送変電設備製造技術の発展を促進する。

ⅳ 水素エネルギーおよび燃料電池技術

 化石燃料と再生可能エネルギーからのコストパフォーマンスの高い水素製造技術、経済的で高効率の水素貯蔵・輸送技術、燃料電池の基盤となる触媒の調整およびスタック集積技術、燃料電池による発電および自動車の動力システムの集積技術、水素エネルギーと燃料電池の技術規則・基準を作成する。

ⅴ 分散型エネルギー技術

 とくに化石燃料をベースとするマイクロタービンおよび新熱エネルギー・リサイクル等の最終的なエネルギー転換技術、エネルギー貯蔵技術、冷暖併給技術、再生可能燃料と化石燃料の相互補完に焦点をあてたマイクロタービンと燃料電池を融合した分散型エネルギーシステムの飛躍的な進歩を達成する。

 また、国家発展改革委員会が2007年4月に公布したエネルギー分野の専門規画である「エネルギー発展『第11次5ヵ年』規画」(「能源発展"十一五"規劃」)は、省エネを優先的に達成し、国内に足場を固め環境を保護し、国際的に見て相互に有利となるエネルギー戦略を強化するとの方針を示したうえで、以下の5つのプロジェクトを重点的に進めるとしている。

ⅰ エネルギー基地建設プロジェクト
  • 優先順位を定めて石炭基地を開発する
  • 油ガス基地の建設を加速する
  • 水力発電を積極的に開発する
  • 石炭火力発電所の建設を合理化する
  • 原子力発電所の建設を加速する
ⅱ エネルギーの貯蔵・輸送プロジェクト
  • 石炭輸送道および港
  • 油ガス輸送パイプライン・ネットワーク
  • 電力網設備
ⅲ 石油代替プロジェクト
  • 石炭・バイオマスをベースとした液体燃料および石炭化学工業の発展を加速するとともに、優先順位を定めて重点モデルプロジェクトを建設する
再生可能エネルギー産業化プロジェクト
  • 風力発電やバイオマス発電、バイオペレット燃料、太陽エネルギーを重点的に発展させ、産業化に向けてのモデルとなる規模の建設を行う
ⅴ 農村地域での新エネルギー・プロジェクト
  • 小型水力発電と配電網の建設を加速する
  • 風力発電やバイオマス、太陽エネルギー等を利用する
  • 2010年までに合計7万5000kWに達する小型風力発電装置を30万台設置する
  • 家庭でのメタンガス利用を4000万戸に拡大する
  • ある程度の規模を持った飼育場のメタンガス・プロジェクトを4700ヵ所に拡大する
  • 全国の農村でのメタンガス発生量を160億m3にする
  • 農村での太陽熱温水器の保有量を5000万m2にする

② 資源分野

ⅰ 中西部における大型鉱物基地を探査するための技術開発と実証

 三江源地域(長江、黄河、瀾滄江)をはじめとした中西部の重点10地区における成鉱帯法則を把握し、中西部の異なる地形条件に適した地質、物理、化学、リモートセンシング一体となった総合的な探査技術を開発する。また、今後採掘が可能な大型鉱床区を25~30ヵ所、商業用の銅、鉄、鉛、亜鉛などの大型鉱山を10~15ヵ所探査し、銅や鉄、鉛、亜鉛、金などの埋蔵量を調べる。

ⅱ 複雑な金属鉱山の採掘、選別、冶金に関する中核技術と装備

 複雑で処理が難しい鉱山の採掘、選別、冶金に関する中核技術を取得し、複数の大型採掘・選別・冶金プラントを開発する。また、複雑な条件下における採鉱損失率を20~30%、採鉱コストを15~20%、エネルギー消費を10~15%引き下げる一方で、資源の総合利用率を8~10%高めるとともに、利用可能な金属資源量を15億~20億トンに拡大する。

ⅲ 大規模な石油ガス田と炭層ガスの開発

 西部地域の複雑な地質条件下における石油ガス・炭層ガス、深海の石油ガスなどに対する高精度の地震探査技術と採掘技術を研究し、関連技術と設備の自主設計・製造能力を高め、石油と天然ガスに対する探査率をそれぞれ10%、20%引き上げ、石油の実収率を40~45%まで高める。

ⅳ 大規模淡水化および総合利用技術の研究と実証

 日量5万トン規模の低温型多重効用蒸発(MED)式海水淡水化技術・設備、ワンセット日量1万トン規模の逆浸透膜(RO)式海水淡水化技術・設備、原子力を利用した日量10万トン規模の海水淡水化技術・設備を開発し実証プロジェクトを立ち上げる。また、1時間あたり10万トン規模の海水循環冷却プラント技術と生活用の海水利用技術および海水資源総合利用技術を開発する。

③ 環境分野

ⅰ クリーン生産と循環型経済に関する中核技術の研究および実証

 10~20項目の「循環型経済を発展させる技術」、「重汚染業界においてクリーン生産を行う中核技術と工程」、「グリーン産業チェーンを構成する技術」を重点的に開発するとともに、30項目の「固体廃棄物の安全な処理・資源化に関する中核技術」を開発する。また、大量の工業廃棄物を再利用する50種類の高付加価値製品を開発するとともに、5~7ヵ所の代表的な工業地域を選定し「生態工業」の実証を進める。

ⅱ 代表的な脆弱生態系に対する再建技術と実証

 代表的な脆弱生態区に存在している生態面での問題に対して、こうした脆弱生態系を総合的に管理する15~20項目の技術・管理方法を開発するとともに、生態系を再建する技術開発とモデル事業を行い、技術と管理方法の普及を拡大する。生態環境に関する基礎的なデータベースと情報プラットフォームを構築し、データを共有化する。

ⅲ 水質汚染の抑制・管理

 タイプの違う代表的な流域を選定し、水域生態機能の区画を行い、水質汚染の抑制、湖沼の富栄養化の予防・改善、水環境の生態修復に関する中核技術を研究する。また、飲用水源の保護と飲用水の処理・輸送技術を飛躍的に進歩させ、安全な飲用水を保障する統合技術を開発し、国情に即した水質汚染に関するモニタリング・管理ならびに水環境品質改善体系を構築する。

(2) 研究予算

1)エネルギー分野

① 国家科学技術計画

 国が主体となって進めている「国家重点基礎研究発展計画」(「973計画」)、「国家ハイテク研究開発発展計画」(「863計画」)、「国家科学技術支援計画」(2005年までは「難関攻略計画」)において、「エネルギーの生産・分配と合理的な利用の促進」に投じられた資金の推移を表4.1に、また「国家タイマツ(火炬)計画」において、「新エネルギーと効率的な省エネ」に投じられた資金の推移を表4.2に示す。

 表4.1に示すように、「973計画」、「863計画」、「国家科学技術支援計画」(2005年までは「難関攻略計画」)の「エネルギーの生産・分配と合理的な利用の促進」に投入された資金は2003年以降、20億元を維持してきていたが、2006年には前年の3分の1以下まで大きく減少した。これは、同表からも明らかなように、3つの国家計画とも、2006年には投入資金が前年を大きく下回ったことが影響している。

 そうした背景には、科学技術研究に対する中国政府の方針転換があると見られている。中国は「第10次5ヵ年」期間中(2001~2005年)、国が投資主体となり研究開発費を主に国家財政から支出する形で中核技術や共通技術の研究を行った。

 しかし、「第11次5ヵ年」期(2006~2010年)に入り、企業と研究機関の自主研究を奨励する方向に政策を転換し、国としては企業や研究機関の研究開発活動を支援する側に回った。こうしたなかで、「難関攻略計画」も「国家科学技術支援計画」に変更された。

 また、「国家タイマツ(火炬)計画」において、「新エネルギーと効率的な省エネ」に投じられた資金は、2005年までは増加傾向を示していたが、2006年には前年実績(約95億元)から28.6%減少し、約68億元となった。

 表4.2からも明らかなように、タイマツ計画全体の実行資金は増加している。2006年にエネルギー向けの資金が減少した一方で、新材料は前年の約248億元から約400億元に、光・電機一体化技術向けも約146億元から215億元に増加している。

 タイマツ計画は、ハイテク産業技術開発計画である「863計画」をさらに進め、技術開発成果の産業化、製品化、国際化を促進することを目標として1988年に開始された。表からも分かるように、政府から支出される予算の占める割合は小さい。

表4.1 国の科学技術研究計画において「エネルギーの生産・分配と合理的な利用」向けに投入された資金の推移 (万元)

?

2002

2003

2004

2005

2006

3つの国家計画の合計

1616475

2518257

2530898

3193869

860147

?

「973計画」

110055

107179

103130

142415

44522

「863計画」

253308

950368

929279

1137527

441143

国家科学技術支援計画※

1253112

1460710

1498489

1913927

374482

エネルギー関係合計投入資金

160121

260108

205885

210341

65035

?

「973計画」

14229

15024

10096

15907

990

「863計画」

89662

145470

117271

129528

39984

国家科学技術支援計画米

56230

99614

78519

64907

24061

※:2005年までは「難関攻略計画」
出典:「中国科技統計年鑑」(2003~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)
表4.2 国家タイマツ計画において「新エネルギーと効率的な省エネ」向けに投入された資金(万元)

?

2002

2003

2004

2005

2006

エネルギー関係実行資金※

270014

359716

670929

953422

681109

?

政府資金

8217

10641

8182

13512

6791

企業資金

141425

243021

535922

797915

345394

プロジェクト件数

275

305

308

333

386

タイマツ計画の合計実行資金※)

(4639230)

(5368606)

(7131315)

(7344412)

(9335903)

※:政府資金、企業資金の他に銀行借入れ等が含まれる。
出典:「中国科技統計年鑑」(2003~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

② 研究開発機関・高等教育機関

 「中国科技統計年鑑」によると、研究開発機関の「エネルギー科学技術」関係の内部支出は2004年までは増加していたが、以降は減少傾向を示している。2006年までの6年間について見ると、2006年実績(1億1227万元)はピークであった2004年(3億478万元)と比べると63.2%減少している。

 これに対し、すべてがエネルギーに関係しているわけではないが、「原子力科学技術」関係の内部支出を参考までに見ると、全体的に増加傾向を示すと同時に、「エネルギー科学技術」の支出額を大きく上回っており、2006年実績(約19億元)は「エネルギー科学技術」の17倍を超えている。一方、研究開発テーマ件数では、「原子力科学技術」(191件)が「エネルギー科学技術」(306件)を下回っており、1件あたりの支出額でも「原子力科学技術」が「エネルギー科学技術」を大幅に上回っている。

 高等教育機関の「エネルギー科学技術」関係の内部支出は、絶対額では低い水準にあるものの着実に増加しており、2006年には2億7389万元となり、研究開発機関の支出額(1億1227万元)を大きく上回った。

 高等教育機関における「原子力科学技術」の内部支出は、「エネルギー科学技術」の内部支出より低い水準にある。また、研究開発テーマ件数を比べても、2006年実績で原子力296件に対してエネルギー科学技術1647件となっており、高等教育機関では「原子力科学技術」関係より「エネルギー科学技術」関係の研究開発に重点が置かれている実態が浮き彫りになった。

表4.3 機関別に見た「エネルギー科学技術」および「原子力科学技術」の研究開発に関する内部支出とテーマ件数の推移(万元)

?

2001

2002

2003

2004

2005

2006

研究開発機関(全分野)

1971759
(33784)

2093247
(35749)

2767834
(36889)

2834996
(37292)

3534911
(39072)

3653731
(42262)

?

エネルギー科学技術

4505
(193)

12131
(232)

23786
(252)

30478
(281)

21362
(369)

11227
(306)

?

原子力
科学技術

158147
(252)

153935
(202)

59314
(180)

143382
(184)

162233
(169)

192476
(191)

高等教育機関(全分野)

758722
(141992)

957739
(169643)

1262116
(200120)

1477327
(237463)

1934537
(280327)

2870180
(365294)

?

エネルギー科学技術

6552
(810)

9555
(903)

8382
(899)

18653
(1237)

21312
(1221)

27389
(1647)

?

原子力
科学技術

11466
(158)

2683
(81)

2253
(113)

10352
(207)

12499
(209)

14181
(296)

( )内は研究開発テーマ件数
出典:「中国科技統計年鑑」(2002~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

2)資源分野

 「中国科技統計年鑑」では、「資源」という分類がないため、「鉱山工学・技術」分野での研究開発内部支出を研究開発機関、高等教育機関別にまとめた。

 表4.4からも明らかなように、「鉱山工学・技術」分野での研究開発機関の内部支出はきわめて低い水準に抑えられている。2006年の実績はわずか1370万元である。

 これに対して、高等教育機関における同分野での内部支出は、2001年以降、着実に増加しており、2006年は2001年実績(1億7241万元)の4倍近い6億7666万元を記録した。

 研究開発テーマ件数を見ても、研究開発機関が100件未満であるのに対して、高等教育機関では2006年実績で5905件に達した。これからも明らかなように、中国では「鉱山工学・技術」分野の研究開発は高等教育機関において主に実施されている。

表4.4 機関別に見た「鉱山工学・技術」分野の研究開発に関する内部支出とテーマ件数の推移 (万元)

?

2001

2002

2003

2004

2005

2006

研究開発機関(全分野)

1971759
(33784)

2093247
(35749)

2767834
(36889)

2834996
(37292)

3534911
(39072)

3653731
(42262)

?

鉱山工学・技術

3537
(80)

668
(44)

1151
(43)

384
(42)

941
(55)

1370
(88)

高等教育機関(全分野)

758722
(141992)

957739
(169643)

1262116
(200120)

1477327
(237463)

1934537
(280327)

2870180
(365294)

?

鉱山工学・技術

17241
(2501)

20614
(2817)

20148
(2781)

30829
(3000)

51733
(4231)

67666
(5905)

( )内は研究開発テーマ件数
出典:「中国科技統計年鑑」(2002~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

3)環境分野

① 国家科学技術計画

 国が主体となって進めている「973計画」や「863計画」、「国家科学技術支援計画」(2005年までは「難関攻略計画」)において「環境保護・汚染防止」分野に投入された資金は、中国政府による方針転換を踏まえ、「エネルギー科学技術」分野と同じく、2006年には前年実績を大きく下回った。

 また、タイマツ計画で「環境保護」分野に投入された資金は、わずかだが減少傾向にある。前年に比べれば増えてはいるものの、政府資金の占める割合は相変わらず低い。

表4.5 国の科学技術研究計画において「環境保護・汚染防止」向けに投入された資金の推移 (万元)

?

2002

2003

2004

2005

2006

3つの国家計画の合計

1616475

2518257

2530898

3193869

860147

?

「973計画」

110055

107179

103130

142415

44522

「863計画」

253308

950368

929279

1137527

441143

国家科学技術支援計画※

1253112

1460710

1498489

1913927

374482

環境保護・汚染防止関係合計投入資金

34252

102566

136001

101359

63278

?

「973計画」

6332

6980

7190

10309

5970

「863計画」

11064

45027

39344

48870

17518

国家科学技術支援計画米

16857

50559

89467

42180

39791

※:2005年までは「難関攻略計画」
出典:「中国科技統計年鑑」(2003~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)
表4.6 国家タイマツ計画において「環境保護」向けに投入された資金(万元)

?

2002

2003

2004

2005

2006

タイマツ計画の合計実行資金※

4639230

5368606

7131315

7344412

9335903

環境保護関係実行資金※

378327

164742

191794

206278

177148

?

政府資金

5451

2877

4830

1837

2571

企業資金

314296

98198

132181

154905

118361

プロジェクト件数

159

184

185

173

194

※:政府資金、企業資金の他に銀行借入れ等が含まれる。
出典:「中国科技統計年鑑」(2003~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

② 研究開発機関・高等教育機関

 「中国科技統計年鑑」によると、「環境科学技術」分野における研究開発機関の内部支出は、わずかながら増加傾向にある。

 一方、同分野における高等教育機関の内部支出は、一時、研究開発機関の内部支出よりも少ない時期があったものの、2004年以降は顕著に増加し、2006年には2.5倍以上に達した。

 高等教育機関の「環境科学技術」分野での内部支出は、2005年が対前年比で49%、2006年が対前年比で63%という高い伸びを記録した。また、高等教育機関における研究開発テーマ件数も2005年、2006年と飛躍的な増加を示している。

表4.7 機関別に見た「環境科学技術」分野の研究開発に関する内部支出とテーマ件数の推移(万元)

?

2001

2002

2003

2004

2005

2006

研究開発機関
(全分野)

1971759
(33784)

2093247
(35749)

2767834
(36889)

2834996
(37292)

3534911
(39072)

3653731
(42262)

?

環境科学技術

8814
(601)

19096
(745)

22860
(813)

24927
(802)

24972
(741)

28142
(889)

高等教育機関
(全分野)

758722
(141992)

957739
(169643)

1262116
(200120)

1477327
(237463)

1934537
(280327)

2870180
(365294)

?

環境科学技術

11469
(1710

15153
(2146)

22368
(2759)

29103
(3516)

43484
(4579)

70882
(8775)

( )内は研究開発テーマ件数
出典:「中国科技統計年鑑」(2002~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

(3) 研究人材

1)エネルギー分野

① 国家科学技術計画

 国の3つの科学技術研究計画は、研究開発資金の場合と同じく、エネルギー関係に投入された人的資源は、中国政府の方針転換を受けて2006年に大きく減少している。

 具体的には、3つの計画の合計人的資源を見ると、2006年は3990人・年となり、前年実績(6874人・年)から42%減少した。3つの計画の中で、とくに減少幅が大きかったのは「863計画」で、対前年比でマイナス57%となった。

 これに対して「973計画」は、表4.1に示すように投入資金は大幅に削減されたものの、2006年の投入人的資源はわずかながら前年より増えた。

表4.8 国の科学技術研究計画において「エネルギーの生産・分配と合理的な利用」向けに投入された人的資源(人・年※※)

 

2002

2003

2004

2005

2006

3つの国家計画の合計

48936

89521

88838

95033

34870

 

「973計画」

10076

13301

13942

12019

11640

「863計画」

16707

44962

43174

47147

9524

国家科学技術支援計画※

22153

31258

31722

35867

13706

エネルギー関係合計投入人的資源

5993

7159

6135

6874

3990

 

「973計画」

1130

1429

1301

1368

1390

「863計画」

3290

3657

2641

3446

1481

国家科学技術支援計画米

1573

2074

2193

2060

1118

( )内は研究開発テーマ件数
※研究者・技術者:高・中級技術のポストを有する科学技術活動に従事する人員と、高・中級技術のポストを有しない大学本科以上の学歴の人員を指す。なお高級技術職は日本の大学教授レベルに、また中級技術職は大学講師レベルに相当する。
※※:前掲
 出典:「中国科技統計年鑑」(2002~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

② 研究開発機関・高等教育機関

 「中国統計年鑑」によると、「エネルギー科学技術」分野に投入された研究開発機関の人的資源(研究者と技術者)は、2005年を例外として1000人・年以下である。表4.9には、参考までに「原子力科学技術」分野に投入された人的資源も合わせて紹介する。

 原子力科学技術には、エネルギー以外の利用も含まれるが、「エネルギー科学技術」の投入人的資源より1桁多くなっている。2006年の実績では、「原子力科学技術」に投入された人的資源(6476人・年)が「エネルギー科学技術」の実績(902人・年)の7倍を超えている。

 一方、高等教育機関では、そうした傾向が逆転しており、「エネルギー科学技術」に投入された人的資源が、「原子力科学技術」に投入された人的資源を大きく上回っている。

表4.9 機関別に見た「エネルギー科学技術」および「原子力科学技術」分野の投入人的資源(研究者・技術者※)と研究開発テーマ件数の推移(人・年※※)

 

2001

2002

2003

2004

2005

2006

研究開発機関(全分野)

127690
(33784)

118458
(35749)

129001
(36889)

124831
(37292)

133485
(39072)

157169
(42262)

 

エネルギー科学技術

432
(193)

879
(232)

838
(252)

753
(281)

1450
(369)

902
(306)

 

原子力科学技術

5981
(252)

4945
(202)

3602
(180)

5384
(184)

5505
(169)

6476
(191)

高等教育機関(全分野)

136380
(141992)

153190
(169643)

162384
(200120)

202633
(237463)

219487
(280327)

261159
(365294)

 

エネルギー科学技術

860
(810)

883
(903)

684
(899)

938
(1237)

929
(1221)

1283
(1647)

 

原子力科学技術

156
(158)

80
(81)

106
(113)

204
(207)

179
(209)

315
(296)

( )内は研究開発テーマ件数
※研究者・技術者:高・中級技術のポストを有する科学技術活動に従事する人員と、高・中級技術のポストを有しない大学本科以上の学歴の人員を指す。なお高級技術職は日本の大学教授レベルに、また中級技術職は大学講師レベルに相当する。
※※:前掲
出典:「中国科技統計年鑑」(2002~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

2)資源分野

 前述したように、「中国科技統計年鑑」では「資源」という分類がないため、「鉱山工学技術」分野において研究開発に投入された人的資源(研究者と技術者)を研究開発機関、高等教育機関別にまとめた。

 表4.10からも明らかにように、研究開発機関における「鉱山工学技術」分野の人的資源投入量はきわめて少ない。これに対して、高等教育機関の同分野における人的資源投入量は2004年まではそれほど大きな変化もなく2200人・年程度で推移してきたが、2005年には対前年比で37.9%、2006年も対前年比で31.4%の伸びを示した。

 研究開発テーマ件数は、研究開発機関が100件以下であるのに対して、高等教育機関では2001年以降、着実に増加しており、2005年は対前年比で41%、2006年も39.6%という高い伸びを見せた。これからも分かるように、中国では「鉱山工学技術」の研究開発は、高等教育機関が主体となって行われている。

表4.10 機関別に見た「鉱山工学技術」分野の投入人的資源(研究者・技術者※)と研究開発テーマ件数の推移(人・年※※)

 

2001

2002

2003

2004

2005

2006

研究開発機関(全分野)

127690
(33784)

118458
(35749)

129001
(36889)

124831
(37292)

133485
(39072)

157169
(42262)

 

鉱山工学技術

424
(80)

73
(44)

72
(43)

92
(42)

122
(55)

161
(88)

高等教育機関(全分野)

136380
(141992)

153190
(169643)

162384
(200120)

202633
(237463)

219487
(280327)

261159
(365294)

 

鉱山工学技術

2279
(2501)

2270
(2817)

2294
(2781)

2186
(3000)

3015
(4231)

3963
(5905)

( )内は研究開発テーマ件数
※:前掲
※※:前掲
出典:「中国科技統計年鑑」(2002~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

3)環境分野

① 国家科学技術計画

 研究開発資金の場合と同じく、国の3つの科学技術研究計画の「環境保護・汚染防止」に投入された人的資源は、2005年までは着実に増加してきたが、中国政府の方針転換を受けて2006年に大きく減少している。

表4.11 国の科学技術研究計画において「環境保護・汚染防止」向けに投入された人的資源(人・年※※)

 

2002

2003

2004

2005

2006

3つの国家計画の合計

48936

89521

88838

95033

34870

 

「973計画」

10076

13301

13942

12019

11640

「863計画」

16707

44962

43174

47147

9524

国家科学技術支援計画※

22153

31258

31722

35867

13706

環境関係合計投入人的資源

1791

4179

4994

5028

2842

 

「973計画」

493

706

1184

1016

1301

「863計画」

619

2388

2307

2852

843

国家科学技術支援計画米

680

1085

1504

1160

698

※:2005年までは「難関攻略計画」
※※:前掲
出典:「中国科技統計年鑑」(2003~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

② 研究開発機関・高等教育機関

 機関別に見た「環境科学技術」分野での人的資源(研究者と技術者)投入量は、両機関とも近年は増加傾向にある。研究開発機関の2006年の人的資源投入量は2577人・年となり、対前年比では42.1%の伸びを示すとともに、過去6年間で見ても最高となった。

 一方、高等教育機関における「環境科学技術分野」での人的資源投入量は、研究開発機関以上の高い伸び率で増えており、2006年は対前年比で43.4%増加し4989人・年となった。高等教育機関の「環境科学技術」分野における研究開発テーマが大きく増加しているのも特徴で、2006年には合計で8775件となり、前年からほぼ倍増する形になった。

表4.12 機関別に見た「環境科学技術」分野の投入人的資源(研究者・技術者※)と研究開発テーマ件数の推移(人・年※※)

 

2001

2002

2003

2004

2005

2006

研究開発機関(全分野)

127690
(33784)

118458
(35749)

129001
(36889)

124831
(37292)

133485
(39072)

157169
(42262)

 

環境科学技術

1052
(601)

1562
(745)

2168
(813)

1893
(802)

1814
(741)

2577
(889)

高等教育機関(全分野)

136380
(141992)

153190
(169643)

162384
(200120)

202633
(237463)

219487
(280327)

261159
(365294)

 

環境科学技術

1555
(1710)

1708
(2146)

2076
(2759)

2863
(3516)

3479
(4579)

4989
(8775)

( )内は研究開発テーマ件数
※:前掲
※※:前掲出典:「中国科技統計年鑑」(2002~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

(4) 研究成果

1)エネルギー分野

① 特許 

 「中国科技統計年鑑」は「国際特許分類」(IPC)に従い、発明および実用新案特許の申請と承認件数をまとめているが、IPC分類では「エネルギー」という分類がないため、エネルギーの生産・供給に関すると考えられる「蒸気生産」、「燃焼設備・燃焼技術」、「一般熱交換」、「発電・変電・配電」、「石油・ガス・コークス工業」をエネルギー分野に含めた。

 表4.13に示すように、エネルギー分野に含めた5項目の合計を見ると、発明および実用新案特許の件数は、申請、承認とも着実に増加している。

 このうち、「発電・変電・配電」関係はきわめて高い伸びを示しており、2006年は申請件数で対前年比40.2%,また承認件数で35.6%増加した。また、エネルギー分野に含めた5項目のうち、「発電・変電・配電」が全体に占める割合は、2006年実績で申請が56.7%、承認が55.7%となっている。

表4.13 エネルギー分野における発明、実用新案特許の申請・承認件数の推移

 

2001年

2002年

2003年

2004年

2005年

2006年

分野

申請

承認

申請

承認

申請

承認

申請

承認

申請

承認

申請

承認

エネルギー分野合計

5831

3282

7207

3356

7244

4224

8113

4417

10430

4811

14261

6003

蒸気生産

317

136

137

101

165

123

131

129

209

100

290

159

燃焼設備・技術

1647

983

1510

940

1426

1002

1463

999

1702

1000

2265

1135

一般熱交換

554

330

708

390

714

513

912

475

1094

508

1473

629

発電・変電・配電

2237

1494

3751

1414

4011

2000

4673

2293

5769

2465

8090

3342

石油・ガス工業等

1076

339

1101

511

928

586

934

521

1656

738

2143

738

出典:「中国科技統計年鑑」(2002~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

② 科学技術論文

 エネルギー分野における中国の科学技術論文が、国外の主要書誌情報データベースに収録された件数を見ると(「中国科技統計年鑑」は、「エネルギー科学技術」として分類している)、表4.14からも明らかなように、「エネルギー科学技術」分野での収録件数は着実に増加している。これまでは、SCIとISTPへの収録がかなりの割合を占めていたが、工学系の情報共有を目的としているEIへの収録件数が増えているのが大きな特徴である。

表4.14 「エネルギー科学技術」分野での書誌収録件数の推移

順位

合計

SCI

EI

ISTP

2000年

18

509

86

124

299

2001年

17

673

141

280

252

2002年

34

576

180

375

21

2003年

14

1709

286

554

869

2004年

15

1818

319

844

655

2005年

19

1937

119

1528

290

SCI: Science Citation Index
EI: Engineering Index
ISTP: Index to Scientific & Technical Proceedings
出典:「中国科技統計年鑑」(2002~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

2)資源分野

 中国の「鉱山工学技術」関係の科学技術論文が、国外の主要書誌情報データベースに収録された件数によって資源分野での研究成果を見ると、SCIとISTPが減少傾向を示す一方で、もともと工学系の情報共有を目的として作られたEIへの掲載が増加している。

表4.16 「鉱山工学技術」分野での書誌収録件数の推移

順位

合計

SCI

EI

ISTP

2000年

25

151

18

31

102

2001年

20

385

33

137

215

2002年

15

166

21

127

18

2003年

27

290

49

219

22

2004年

25

537

121

365

51

2005年

29

597

14

565

18

SCI: Science Citation Index
EI: Engineering Index
ISTP: Index to Scientific & Technical Proceedings
出典:「中国科技統計年鑑」(2002~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

3)環境分野

 環境分野における中国の科学技術論文が、国外の主要書誌情報データベースに収録された件数を見ると、2004年以降、顕著な増加を示している。SCI、EI、ISTPを合計した2004年の収録件数は前年に比べて4倍以上に増加した。また2005年も対前年比で50%の伸び率を記録した。環境分野での書誌収録の特徴は、SCI、EI、ISTPとも着実に増加している点である。

表4.16 「環境」分野での書誌収録件数の推移

順位

合計

SCI

EI

ISTP

2000年

19

420

232

80

108

2001年

19

459

309

140

10

2002年

23

803

479

132

192

2003年

25

371

33

51

287

2004年

18

1502

733

454

315

2005年

17

2259

981

766

512

SCI: Science Citation Index
EI: Engineering Index
ISTP: Index to Scientific & Technical Proceedings
出典:「中国科技統計年鑑」(2002~2007各年版、国家統計局・科学技術部編、中国統計出版社)

(5) 国際研究活動の展開

 中国の環境・資源エネルギー分野での国際協力活動を表4.17に、また二国間での協力活動を表4.18に紹介する。企業間での協力については除外した。

表4.17 環境・資源エネルギー分野での国際協力・多国間活動

関係機関

内容

期間

欧州連合

気候変動に関するパートナーシップに合意:クリーンエネルギー技術の開発、エネルギー効率改善の促進、二酸化炭素の回収・貯留技術の実証など

2005年9月

国連開発計画、
中国水利部等

中国農村部水資源管理・飲用水安全プロジェクト:四川省、黒龍江省、遼寧省、新疆ウイグル自治区の農村部における飲用水の水質と供給改善。水資源の保全と生態環境の復旧、クリーン農業の推進。

2008年3月~
(4年間)

国連開発計画、
ノルウェー、欧州連合

中国気候変動対応省レベル計画プロジェクト:気候変動対応国家計画の地方版作成が目的。

2008年6月~

国連開発計画、世界食糧農業機関、中国農業部

中国農業生物多様性にかかる保全・開発プロジェクト:農村地域の開発や農業生物多様性の管理モデルの推進が目的。

2008年6月~

日本、韓国、中国

日中韓再生可能エネルギー・新エネルギー科学技術協力フォーラム:再生可能エネルギーと新エネルギーの政策交流、管理実践、科学技術交流・協力、産業化協力について討議。

2008年7月

ドイツ、ベルギー、
中国科学院中国農業大学

乾燥地域における土壌のアルカリ化と気候変動の関連研究」:気候変動や二酸化炭素循環の観点から屋外観測等により研究を推進。2008年度「国家重点基礎研究発展計画」(「973計画」)の1つ。

2008年

欧州連合

エネルギー利用効率の向上および省エネプロジェクト。費用は欧州連合が無償援助。

2009年9月~
2010年8月

表4.18 環境・資源エネルギー分野での二国間協力活動

関係機関

内容

期間

日本

日中友好環境保全センタープロジェクト:日本の無償資金協力によって北京にセンタービルと付属の各種実験設備や試験装置を整備。中国の環境分野の人材育成から環境問題解決のための政策立案、調査研究などを実施。

1992年~
2008年3月

イタリア環境省、
中国環境保護部

蘇州市大気品質観測システム研究:イタリアの資金と技術を利用して大気品質の先進的なモニタリングシステムを構築する。2期に分けて実施。1期は2004年に終了。現在2期が進行中。

2002年6月~

日本(土木研究所)、
中国水利水電科学研究院

水文・水資源分野の研究協力協定を締結:情報・人材の交換、ワークショップの開催等。特定の技術開発テーマについては別途協定書を締結。

2003年2月

日本(宇宙航空研究開発機構、航空宇宙技術振興財団)、中国武漢理工大学

太陽光熱複合発電システムの研究開発(科学技術振興機構の「戦略的国際科学技術協力推進事業」による日中共同プロジェクト。

2004年10月~

日本(JICA)、
山西省科学技術庁

山西省雁門関地区生態環境回復および貧困緩和プロジェクト

2007年3月~
2011年3月

日本(経済産業省)、
中国国家発展改革委員会

「日中省エネルギー・環境ビジネス推進モデルプロジェクト」の実施に関する覚書作成

2007年4月

日本(JICA)、新疆ウイグル自治区科学技術庁

新疆天草草地生態保護と牧畜民定住プロジェクト

2007年6月~
2012年3月

日本(東芝)、清華大学

電力機器の高性能化、排ガス中の汚染物質低減制御、省エネ実現のための新材料開発等で共同研究。2008年4月に環境研究センターを共同で設立。

2007年10月~

米国政府

「中米エネルギー・環境10ヵ年協力枠組み」を締結。

2008年6月

全米工学アカデミー、
中国工程院

エネルギー・環境分野での協力了解覚書に調印。とくに再生可能エネルギーの共同研究に重点を置き、気候変動やエネルギー・環境保全等に関する戦略科学技術政策フォーラム、学術シンポジウムを実施。

2008年6月