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中日韓賢人会議が共通常用漢字表発表

2014年04月30日

 日本、中国、韓国で共通に使用できる漢字として、北東アジア(中日韓)賢人会議が4年間かけて検討していた「中日韓共通常用八百漢字表」が、完成した。

 チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えるところによると、漢字表は22日、中国江蘇省揚州市で行われた第9回北東アジア(中日韓)賢人会議で承認された。計808文字の繁体字から成り、文字の配列はユニコード番号を利用している。中国の「現代漢語常用字表」の常用字 801 文字と2次常用字7文字、日本の「教育漢字」710 文字と「常用漢字表」の 98 文字、韓国の中学漢字の 801 文字と高校漢字の7文字が選ばれた。

 3国の代表は 21 、22 日に揚州で開かれた会議で、漢字は3国の歴史文化遺産を担い、文化交流の重要なきずな、共通の貴重な財産であること、さらに共同常用漢字表の正式な発表が、漢字の普及、北東アジア文化の伝承と繁栄に大きな役割を果たすことを確認した。次の段階では漢字表の普及を進め、小・中学教育、観光、重要な集会、都市と道路、公共の場所、企業の製品説明書での使用を促すべきだ、と提案している。

 中日韓共通常用漢字表は、2010 年に奈良で行われた第5回賢人会議で元中国人民大学学長の紀宝成氏が提案した。氏は「普及の効果が良ければ、さらに200文字を追加する予定だ。これは教育機関だけの任務ではなく、政府の後押しと支援も必要だ」と話している。

 プロジェクトチームのメンバーで中国人民大学文学院古代漢語教育研究室主任の趙トウ(さんづくりに丹)・助教授は次のように語った。

 「選ばれた漢字は3国でよく使われ、「共同常用」の基準に合うものをほぼカバーしている。漢字は表意文字で、言葉が通じない場合でも簡単に交流できる。控えめな推計でも、この表の漢字を覚えれば漢字で書かれた街の看板の 80%が理解できる」

 韓国国際放送交流財団元社長の孫智愛氏は、「大学だけでなく、より若い層にも漢字表を普及させ、韓国の子どもがより多くの中国、日本の友人をつくれるようにすべきだ」と指摘した。

 日本の関係者の多くは、日本は漢字の共用を支援し、2020 年の東京五輪などの国際行事や会議で使用すべきだと提案し、国際大学学長で政策研究大学院大学教授の北岡伸一氏は、「2020 年の東京五輪、2018 年の平昌冬季五輪の主催者は常用漢字を大会プログラムに取り入れるべきだ」と話した。

 建築家で東京大学教授の隈研吾氏は「漢字は都市間の交流を盛んにし、デザインに使うことで交流ツールにもなる。東京五輪はこれらの漢字を使った標識を使うべきだ」と提案した。

環境保護法25年ぶりに改正

2014年04月28日

 中国の改正環境保護法が24日、第12 期全国人民代表大会(全人代)常務委第8回会議で採択された。

 チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えるところによると、改正環境保護法は環境保護に対する政府の監督管理責任を一段と明確にし、生態保護のデッドラインや汚染物質の総量規制、環境モニター、環境影響評価、行政区域の枠を越えた合同環境対策など環境保護の基本制度を整えている。また企業の汚染対策責任を強化し、環境にかかわる違法行為に対する法的制裁を強化した。さらに政府、企業の環境情報公開、大衆が参加する環境保護監督について系統的に規定している。条文がこれまでの 47 条から 70 条に増え、法律の効果的執行、運用が一段と可能になった同法は来年1月1日から施行される。

 これまで 25 年間実施されてきた環境保護法は経済・社会発展の特徴と新たな理念とそぐわないものとなり、運用、執行の効果が弱まっていた。長年、国内総生産(GDP)の伸びをより多く追求する粗放な発展パターンが大気、水、土壌などの汚染を招き、人々の健康を脅かしている。環境問題が中国最大の民生問題となり、社会の安寧と経済の発展に影響を与えることから中国共産党の執政能力が試されている。

 同法の改正は 2011 年に計画され、4回の審議と2回の公開意見聴取が行われ、3年を経て採択された。

渉外知的財産権侵害事件大幅増加続く

2014年04月25日

 外国の当事者がからむ渉外知的財産権侵害事件が、中国で依然、大幅な増加を示していることが分かった。

 チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えるところによると、昨年結審した渉外知的財産権侵害関連の民事一審事件は前年比 18.75%増の 1,679 件で、依然として大幅に増えている。最高人民法院(最高裁)知的財産権法廷の金克勝副裁判長が、武漢で開催中の 2014 年知的財産権南湖フォーラムで明らかにした。

 結審した知的財産権行政一審事件のうち、香港、マカオ、台湾関連の事件が占める割合が依然として多く、知的財産権行政事件全体の 20%、1,132件に達した。

 一方、全国の地方人民法院が受理した知的財産権関連の一審事件は前年比 1.33%増の8万 8,183 件、著作権関連の一審事件は前年比 4.64%減の5万 1,331 件だった。

 金副裁判長は次のように指摘した。「著作権侵害事件にみられる難点は、依然として作品がネットに掲載される著作権問題だ。この問題は人民法院の司法業務が直面している試練であり、法的手段を使って著作権を保護するのと同時に、伝達技術と商業モデルの改革を妨げないようにしなければならない」

広東省に初の知財権裁判所を開設へ善

2014年04月24日

 中国政府が知的財産権に関する訴訟を専門で扱う中国初の裁判所を、近く広東省に開設すると、24日、チャイナ・ウオッチが香港のサウスチャイナ・モーニング・ポスト電として伝えた。

 開設時期は不明。広東省内では、広州、深圳、珠海の3市が同裁判所開設の申請を出しており、いずれかの市に決定される見込み。今後、他の主要都市にも設置する予定で、海外の同様の裁判所についても研究するという。

製造業の景況感改善

2014年04月23日

 英金融大手HSBCが23日発表した中国の製造業景況感を示す4月の製造業購買担当者指数(PMI)の速報値は、3月に比べわずかながら改善したことを示した。

 チャイナ・ウオッチによると、HSBCが発表したPMI速報価は48.3で、3月の確定値の48.0からやや上昇した。

 PMIは中国経済の先行きを示す指標として注目されている。50を上回ると生産や受注の拡大を、下回ると縮小を意味する。判断の節目となる50を4カ月連続で割り込み、依然、中国の製造業の活動が弱いことがうかがえる。内訳をみると、生産や新規受注、雇用の動向を示す指標が50を下回った。内需だけでなく外需を示す指数の低下も響いたとみられる。

 HSBCのアナリストは「内需は緩やかに回復したが経済成長の下振れリスクは依然顕著だ」とコメントした。

 HSBCとは別に中国国家統計局が1日に発表した3月のPMIは、50.3で2月からわずかに上昇し、2月まで3カ月連続した下落に歯止めがかかった。

中国、原発建設を加速=拡大路線にかじ

2014年04月22日

 中国の李克強首相は、エネルギー政策を統括する国家エネルギー委員会の会議で、経済成長を維持するための電力需要の確保に向け、新規の原発建設を加速する意向を示した。

 21日付の中国各紙電として伝えたチャイナ・ウオッチによると、中国政府は東京電力福島第1原発事故の後、一時原発建設のペースを減速させる姿勢を見せたが、再び拡大路線へとかじを切ったとみられる。

 李氏は18日の同委全体会議で、深刻化する大気汚染の解決に向け、環境重視のエネルギー政策の必要性を強調。「安全確保を前提に、適切な時期に東部の沿海地域で新規原発プロジェクトを始動する」と述べた。太陽光や風力など再生可能エネルギー開発も促進する。

 中国紙、新京報によると、中国原子力エネルギー業協会のトップは、2020年までに原発の発電容量が8800万キロワット規模になるとの見通しを示した。業界関係者によると、中国で3月末現在、稼働中の原子炉は少なくとも18基で、発電容量は約1580万キロワット。

生産年齢人口前年比 244 万人減

2014年04月21日

 2013 年の中国の生産年齢人口(16〜59 歳)は、前年に比べて 244 万人減少した。

 チャイナ・ウオッチが財形網記事を引用して伝えるところによると、中国の生産年齢人口が初めて減少に転じたのは、2012年。前年に比べ、345 万人減った。減少は今後、30 年までに段階的にゆっくりと続くとみられている。

 一方、都市部の就業者数は増加傾向にあり、今年第1四半期(1〜3月)の都市部の新規就業者数は300万人を超えた。就業期間が6カ月以上の出稼ぎ労働者(農民工)は同期に 288 万人増え、前年同期に比べ 1.7%の増加だった。

 国家統計局の盛来運・報道官は「足元の成長はやや鈍化しているものの、経済規模は依然として拡大しており、労働力の需要も増えている」と指摘している。また、産業構造の変化で第3次産業の比率が増し、各種のサービス業で労働力需要が増していることなども、都市部の就業者数の増加につながっているとの見方を示した。

16%の土壌が汚染初の全国調査で判明

2014年04月18日

 中国初の全国土壌汚染調査の結果、調査した約630万平方キロの16.1%で、国の定めた基準を超える汚染が確認された。

 チャイナ・ウオッチによると、中国環境保護省と国土資源省が4月17日に公表した土壌汚染の状況をまとめた報告書で明らかにされた。報告書は汚染状況について「楽観できない」としている。

 調査は2005年4月~13年12月に実施された。鉄鋼業や製紙業などの工業用地やその周辺では36.3%、工業用地の跡地では34.9%の土地で、基準を超えた汚染が確認された。また耕地では19.4%が基準を超えており、主な汚染物質はカドミウムやニッケルなどとなっている。

 日本の外務省のホームページによると、中国の面積は約約960万平方キロメートル。今回の調査対象となった土地は、中国全体の約3分の2にあたる。

工業用石炭ボイラーの規制が重点に=都市部大気汚染対策

2014年04月17日

 中国は次の段階の大気汚染対策で工業用石炭焚きボイラー汚染を重点的に規制していく。まったく新しい「ボイラー大気汚染物質排出基準」が近く発表されるのにあわせて、環境保護省は厳しい細分化措置を発表し、総合対策が効果をあげるようにしていく。チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えたところによると、瀋陽で開かれた討論会「新しいタイプの都市高効率クリーンコール暖房」で、環境保護省の職員がこの一連の措置について明らかにした。

 環境保護部門が発表したデータによると、中国で現在使われている工業用石炭ボイラーは約 62 万台で、ボイラー全体に 85%前後を占め、年間の石炭消費量は7億トンあまりにのぼる。煤塵排出量は全国の 32%、二酸化硫黄は 26%、窒素酸化物は 15%を占めている。スモッグ汚染をもたらす主な原因の一つになっており、汚染対策の難点の一つでもある。

 国家発展・改革委員会資源節約・環境保護局の王善成副局長は「石炭焚きボイラーは年間の石炭消費量が多いうえ、熱効率も悪く、ほとんどのボイラーは汚染対策措置を講じておらず、対策は一刻の猶予も許されない」と語った。

 環境保護省汚染対策局の汪鍵・副局長は次のように説明した。工業用ボイラー汚染の深刻な現状に対応するため、環境保護省はまもなく「ボイラー大気汚染物質排出基準」を発表する。今回改定される新基準は各種汚染物質排出基準を厳しくしており、各地の大気汚染対策を基準面からサポートし拠りどころをもたらすだろう。

 中国環境科学研究院の柴発合副院長は「新しい排出基準の導入は産業技術の開発に好ましい契機をもたらす。市場ではこの新基準をクリアした技術と企業だけが生き残り、そのほかの技術と企業は市場から退出しなければならなくなるだろう」と語った。

杭州にネット自由貿易試験区構想

2014年04月16日

 上海自由貿易区のモデル効果の下、杭州市にネット自由貿易試験区を構築する動きが明らかになった。

 新華社の報道を伝えたチャイナ・ウオッチによると、3月 30 日、江蘇省塩城市で開かれた長江デルタ地帯都市経済調整会で、杭州市の謝双成副市長が「国の関係省・委員会と検討中で、中国(杭州)ネット自由貿易試験区が構築される見通しだ」と語った。

 謝副市長によると、杭州ネット自由貿易区は4つのシステム(情報共有、金融サービス、スマート物流、EC信用)と単一窓口プラットホーム、実店舗総合パークから成る。

 杭州税関国際貿易ECサービス実験〈モデル事業〉改革小組〈グループ〉の構成員である蒋明氏は、ネット自由貿易区の構想はバーチャルな国際ECパークの構築に相当するとしている。氏は、EC、物流、第三者決済などの企業や関連データを取り込み、単一窓口プラットホームを形成するとともに監督管理システム、金融サービスシステム、スマート物流システム、EC信用システムなどの情報の共有を実現する、と語った。

 これについて業界は、輸出があまり振るわない市場環境の下、全国の貿易の重要都市である杭州がネット自由貿易区を構築することで、現在の国際ECが遭遇している通関、商品検査、税金還付、決済などの現実的な難題を解決する可能性があるとみている。

 蒋氏は次のように語っている。国際ECは主に取引、決済、物流、輸出入にみられるが、各段階にネックがあり、各当事者が突破口を探している。例を挙げれば、一部の輸出企業は現在輸出税の還付や為替決済の問題に直面している。今や統一通関が可能で、輸出企業の税金還付や決済に便利な方法を探し出すことが求められている。

 中国電子商務研究センターの高級アナリスト張周平氏は次のように指摘する。杭州ネット自由貿易区の意義は、政策上の後押しをより多く求めて、現在貿易関連のネットと実店舗にみられる通関、決済、税金還付などの問題を解決し、国際EC総合サービスシステムおよび国際EC輸出入に関連するオンライン通関、検査検疫、税金還付、決済など基礎情報規格やインターフェース規範の策定を模索し、税関、国家検査、国税、外為管理局などの省庁とEC企業、物流関連企業間の標準化された情報のやりとりを実現することにある。

 ただ蒋氏は、実際のネット自由貿易区の申請では多くの問題を解決する必要がある、と次のように指摘した。

 税関について言えば、現在直面している比較的際立った問題は輸出先の通関処理能力、地上の運送能力を含むクロスボーダー物流の問題だ。一方人材面では、国際ECが顔を合わせるのは世界各地からの顧客なため、異なる言語文化、宗教・信仰、生活習慣などがいずれも国際ECをさらに複雑なものに変えている。このほか、オンライン決済、コンピューターネットワークなどの面の人材不足も解決しなければならない。

シャルジャ首長国(UAE)、中国の「シルクロード経済ベルト」建設への参加希望

2014年04月15日

 アラブ首長国連邦(UAE)シャルジャ首長国投資開発局の責任者は9日、「シャルジャは中国のシルクロード経済ベルト建設構想に大賛成で、農業・基本建設・新エネルギー・イスラム食品分野における中国側との投資・貿易協力を強化していきたい。中国企業のシャルジャ投資も歓迎する」と表明した。

 チャイナ・ウオッチによると、シャルジャ投資開発局は同日、第4回ドバイ国際投資年次総会の合間に中国商務省投資促進事務局代表団と意見を交換した。双方はシルクロード経済ベルトの建設に力を入れ、双方向の投資やプロジェクト管理を強化することなどで合意した。

 シャルジャ投資開発局の責任者は「シャルジャはUAEの中で中国との友好交流を最も早く始めた首長国で、一流のインフラと好ましい伝統的イスラム文化環境も整っており、実力を備えた中国企業が西アジア・アフリカ市場を開拓する架け橋、窓口になることを望んでいる」と述べた。

 さらに次のように表明した。シャルジャ投資開発局は近く中国に視察団を派遣し、中国に対する理解を深めることを前提に、関連プロジェクトの実施に力を入れていく。

 中国商務省投資促進事務局資源エネルギー産業部のディリバイル・アブリミト主任はシルクロード経済ベルトの状況について説明し、特にシャルジャとの協力強化に意欲を持ち、エネルギー・農業・観光・イスラム食品分野の企業誘致と資金導入、貿易交流の拡大に意欲を持つ新疆企業を推薦した。

 ドバイ国際投資年次総会はUAE経済省の主催で、110あまりの国と地域の代表団、60人の閣僚が出席した。会期は3日で、農業・観光・レジャー娯楽・インフラ・物流など2020年に開催されるドバイ万国博覧会関連産業問題を重点的に討議する。エネルギー・製造業・金融業への投資も重点的に討議する議題の一つ。

日本語教育拡大目指し上海でシンポ

2014年04月14日

 中国の中学や高校での日本語教育の実態を紹介し、日本語を学ぶ生徒を増やすことを目指すシンポジウムが12日、上海で開かれた。

 チャイナ・ウオッチによると、シンポジウムを主催したのは、国際交流基金北京日本文化センターや国際文化フォーラムなど。日本語教育を行っている中高校の校長や教師ら約120人が参加した。

 国際交流基金によると、中国の日本語学習者は2012年時点で約105万人と国・地域別で1位だった。第2外国語として日本語のクラスを設けている中学校や高校が中国全土で80近くある。しかし、日中関係の悪化に伴い日系企業への就職希望者が減ったことなどから大学での学習者を増やすのは難しい状況になっている。第2外国語として日本語のクラスを設けている理由としては「国際的視野を広げる」ことなどがある一方、教材や教育方法に問題がある、と国際交流基金関係者は指摘した。

 約700人の生徒が日本語を学んでいる上海市甘泉外国語中学の劉国華校長は「中日関係が厳しい時だからこそコミュニケーションがより重要。青少年の教育に力を入れるべきだ」と話した。

中国の海洋調査船「科学」号が始動

2014年04月11日

 中国の最も先進的な海洋地要させん「科学」号が8日、西太平洋に向けて出港した。

 チャイナウォッチが新華社電として伝えたところによると、海洋調査船「科学」号は、中国科学院が定めた戦略的先導技術テーマのひとつである「熱帯西太平洋の海洋システム物質エネルギー交換とその影響」に関連する科学調査の任務を遂行するという。

 航海計画によると「科学」号は、4月10日に目標海域に到達し、地球物理探査、地質や生物のサンプリングなどの洋上調査を展開し、5月2日には第一次航海の任務を終了するという。

 「科学」号は全長99.8メートル、幅17.8メートル、総トン数4711トンで、航続距離は1万5000海里の高性能海洋調査船である。燃料の補給なしで60日間の航海が可能で、中国武昌船舶重工有限公司が建造した。

 最新の船舶建造技術を駆使し、最新の調査技術、先進的な装置、情報技術を満載しており、「海の移動実験室」と呼ばれている。太平洋の海洋調査は、中国の海洋戦略の一環と見られる。

昨年の風力発電導入量、中国トップ

2014年04月10日

 昨年、新たに導入した風力発電設備は、中国が1,610万キロワットで世界トップだったことが、明らかになった。

 チャイナ・ウオッチによると、業界団体でつくる「世界風力エネルギー協会」(本部ブリュッセル)は9日、2013年に世界全体で新たに導入された風力発電の規模は、3,530万キロワットで、初めて前年を下回った、と発表した。日本の導入量は5万キロワットで、トップの中国に比べると約300分の1にとどまっている。

 20年以上にわたって成長を続けてきた風力発電市場にかげりが見えた格好だが、同協会は、投資は14年に再び回復し、年間導入量は18年に6,400万キロワットまで増えると予測している。

 ここ数年で著しく伸びた中国の風力発電は「安定的成長に入った」と指摘した。13年末の総発電能力は9,142万キロワットとなり、世界全体(3億1,811万キロワット)の3分の1近くを占める状況になった。都市部の大気汚染対策のため石炭消費を減らす動きもあり、引き続き中国が世界の風力発電のけん引役になると同協会はみている。

 日本については、東京電力福島第1原発事故に伴う原発停止で化石燃料の輸入量が増えており、再生可能エネルギーの拡大が急務と指摘されている。13年末時点で日本全体の風力発電能力は266万キロワットとなったが、世界での順位は前年の13位から18位に落ちた。同協会は洋上風力発電などの新たな計画で16年以降に増加が期待できるとしている。

原発出力来年4,000 万キロワットに

2014年04月09日

 中国の原子力発電規模は来年、4,000万キロワットの設備容量に達する見込みであることを、中国工程院院士(工学アカデミー会員)が明らかにした。

 チャイナ・ウオッチが新華社の報道を引用して伝えるところによると、葉奇蓁・中国工程院院士が4日、「『原発』と連合してスモッグを退治し、共に青い空と白い雲を享受しよう」と題する科学者とメディアの対面活動(中国科学技術協会主催)で語った。葉氏によると、現在17基、総設備容量1,400万キロワットの原発が稼働しており、複数の原発が建設中という。

 「石炭火力は生態環境に大きな負荷を与え、しかも輸送コストが高い。原発は大出力密集型エネルギーで、しかも二酸化炭素、二酸化硫黄などの汚染物質を排出しない。2020 年までに 6,000 万キロワットの原発が完成すれば、毎年二酸化炭素を5億7,400万トン減らすことができ、それは20 年の全国の二酸化炭素総排出量の約 6.8%を占める見込みだ。原発の推進は環境の制約突破に役立ち、『美しい中国』の建設を助ける」と葉氏は語った。

 また中国エネルギー研究会の周大地副理事長は、「中国が現在推進している第三世代原発は、理論計算上、安全度が過去 40 余年間海外で造られてきた原子力発電所より 10 倍高くなっている」と安全性を強調した。

 さらに中国核工業集団公司科学技術委常務委員の諸旭輝氏は次のように語った。

 「この数年、中国は原発の多くの安全基準を引き上げた。例えば、第三世代の加圧水型炉AP1000 はパッシブ冷却システムを持ち、たとえ電源が絶たれても水は流れて冷却が可能。このほか二重格納容器を設置して、中の放射性の物質が外に出ないようにした。また炉心も安全設計を強化し、たとえ溶けても、内部に包まれてゆっくり冷却していく」

「エコ葬」で「墓地の都市包囲」防ぐ=中国の墓事情

2014年04月08日

 北京や上海など中国の大都市では墓地が拡大し、市街地が墓地に「包囲」されることが問題になっており、新たな埋葬方法が模索されていると、チャイナウォッチが新華社電として伝えた。

 中国は墓地を重視する伝統があるため、現在も一部の地域では大型の墓や豪華な墓が建てられている。これが土地資源を圧迫して墓地の価格高騰を招き、多くの一般市民が「死ぬ資金がない」状況に追い込まれている。

 民政省は清明節を控え、葬送方式の改革を提唱し、費用を節約し、環境のために土地を節約し、古い習慣を改める葬送観を呼びかけた。

 多くの都市では墓地の拡大を解決するため、花壇葬、樹木葬、海洋葬など環境に配慮したエコ葬を推奨しており、北京市では海洋葬の費用をすべて政府が負担する政策をとっている。

 共産党中央弁公庁と国務院弁公庁は昨年12月に意見を発表し、党員と幹部に対し、率先して樹木葬、花壇葬などのエコ葬を採用し、個人の墓を残さないよう求めた。また山東省や重慶市などはエコ葬の普及のため優遇政策を打ち出している。

ハルビンにGE3番目のノベーションセンター

2014年04月07日

 米ゼネラル・エレクトリック(GE)が、新たなイノベーションセンターを、ハルビンの科技創新城〈科学技術イノベーションシティー〉にオープンした。

 チャイナ・ウオッチによると、ハルビン・イノベーションセンターは、中国の協力パートナーである哈爾浜電気集団公司(哈電)と共同のプラットホームを構築し、共同でイノベーションを行う。具体的には、ガスタービン・コンバインドサイクルの全体的な性能を向上させ、中国の利用者に最も競争力のあるコンバインドサイクル発電所システムのソリューションを提供するのが狙い。同社にとって成都、西安に継ぐ、現地化と共同イノベーションを目的とした中国で3番目のイノベーションセンターとなる。

 GEのジョン・ライス副会長は次のように語った。

 哈電と当社は長い協力の基礎があり、このセンターの設立で双方のために現地化協力の総合的なプラットホームが築かれた。共同イノベーションを通じて、中国のガス発電市場のモデル転換と高度化を全力で後押しする。このほか、中国市場の日増しに増加するニーズを満たし、ユーザーにさらにクリーンでより高効率な一層価格競争力のある製品を提供するため、昨年7月に運営を開始した「発電事業部」が、利用者に大型ガスタービン、蒸気タービン、発電機および石炭ガス化製品とサービスを提供している。

偵察衛星50個以上打ち上げ検討か

2014年04月04日

 マレーシア航空機不明事件をきっかけに中国が偵察・監視衛星ネットワークの大幅拡大を検討している、と香港紙が報じた。

 チャイナ・ウオッチによると、中国政府が打ち上げを検討している衛星の数は50個以上で、このプロジェクトに関与する科学者らは、完成すれば中国の偵察衛星網は米国に匹敵ないしはそれを上回るとみている、と香港紙サウスチャイナ・モーニングポストは伝えている。

 このプロジェクトは、マレーシア航空機不明事件がきっかけで政府の政策決定者から強力な支持を得た。プロジェクトに関わる中国科学院リモートセンシング・デジタル地球研究所のチー・ティエンハー研究員によると、プロジェクト開始の時期は不明だが、政府承認を受ければわずか2年で打ち上げられるという。中国本土とその周辺を主な観測対象にしている中国運用の偵察・監視衛星の数は国家秘密となっている。チー研究員は米国がこうした衛星を約50個運用していると推定しており、「もし中国が今日、世界規模の監視ネットワークを持っていたら、われわれは不明機を見つけ、最終地点までの航跡をたどることができただろう」と語った。

 中国工程院筋によると、マレーシア機が行方不明になった後、工程院は、早急に偵察・監視ネットワークを構築するよう求めた科学者らの書簡を国家指導者に提出したという。 北京大学のリモートセンシング専門家であるリュー・ユー教授は、「国際的な地球観測サービスは現在、欧米諸国に独占されているが、中国が観測目的に50個以上の衛星を打ち上げれば事態は一変する」と語った。

中国で高温岩帯資源を発見

2014年04月03日

 青海省共和県の共和盆地でこのほど深さ2230メートルの地点で高温岩帯が見つかった。エネルギー源として利用可能な大規模な高温岩帯が中国で発見されたのは初めてのことだ。チ ャイナウォッチが新華社電として伝えた。

 高温岩帯は通常地表から深さ3000メートルから1万メートルの間に埋蔵されており、水や水蒸気はなく、温度はセ氏150から650度である。試 算では中国大陸の高温岩帯資源は標準炭換算で860兆トンに相当し、中国の現在のエネルギー消費量の26万倍に上る。

 高温岩帯発電は、温室効果ガスや酸性雨による環境への影響を大幅に削減することができ、季節や気候変動の影響を受けない。また発電コストは風力発電の半分、太陽光発電の10分の1といわれている。 

 高温岩帯資源は中国地質調査局を中心とした研究機関で探査が行われ、昨年から中期新生代の青海省共和盆地北部でボーリング調査を開始、深 さ2230メートルまで堀進んだところでセ氏153度の高温岩帯を発見した。100メートル掘り進むごとにセ氏6.8度ずつ上昇し、1600メートル以下では地下水がないことを確認した。

 高温岩帯の発電技術については、現在米国、スウェーデン、日本が基本技術を持っている。今回の発見により中国の地熱資源の利用は新しい段階に入ることが期待されている。

国際競争力はまだ見劣り 多国籍企業にけん引された中国製造業

2014年04月02日

 キャタピラー有限公司が3月26日、設立20周年を迎えた。多国籍企業が中国本土の製造業の発展をけん引してきた現実とともに、「外国の製造業と比べ、中国の製造業の国際競争力は依然として低い」と いう声があることを新華社が伝えている。

 この記事を紹介したチャイナ・ウオッチによると、キャタピラーと徐州工程機械集団が合弁会社を設立した時、中国の建設機械製造業はスタート段階にあり、国内にはまだ液圧掘削機の製造拠点はなかった。2 0年後の現在、中国はすでに世界最大の建設機械市場に成長し、キャタピラー(徐州)もキャタピラーの中で世界最大で、最先端技術を有する掘削機製造拠点へと成長した。中 国の30年余りの改革開放の歴史を振り返ると、技術移転、直接投資を経て、各種合併・買収(M&A)・再編に至るまで、多国籍企業は常に地元の中国企業、民間企業との協力と競争により中国市場で発展し、中 国本土の製造業の絶え間ない発展と強大化をけん引してきた。

 だが業界関係者は次のように指摘する。外国の製造業と比べ、中国の製造業の国際競争力は依然として低い。掘削機業界を例にとると、鍵となる部品、例えばハイエンド液圧機、エ ンジンなどのコア技術は依然として外国メーカーが握っており、中国企業は米国、日本、ドイツなどのメーカーから輸入せざるを得ない。

 このような掘削機業界の現状は中国の製造業の現実の姿を映し出している。「世界第一の製造業大国」の称号を冠する中国だが、中国工程院(工学アカデミー)の 世界製造業競争力指数の評価ポイントはわずか76.74。これに対し米国は160、日本は120だ。2020年までに中国のポイントは95まで上がると予想されている。そ れでも先進国の工業化中期にあたる1980年代の水準だ。

 中国発展ハイレベルフォーラム2014年次総会およびキャタピラー有限公司設立20周年記念式典フォーラムに出席した多国籍企業「ABBグループ」のジョセフCEOは次のような見方を示した。「 中国の製造業の高度化の鍵は労働集約型から技術集約型への転換であり、産業チェーンのハイエンドに向かって成長することだ。ロボット技術、電気自動車技術、先進省エネ技術がハイエンドへの突破口となる」

 一方、同じフォーラムに出席したキャタピラーのダグラス・オバーヘルマン会長兼CEOは次のように述べている。

 「中国経済の持続的発展は一つの奇跡であり、経済のタイプ転換という重要な時期に、中国は改革の全面的深化という具体的方策を打ち出した。改革の順調な進展に伴い、中国の経済、製 造業の世界での影響力がより一層際立つことが予想される」

中国・広東省でネットを利用したポルノ犯罪の取り締まり強化

2014年04月01日

 広東省の公安庁は1ヶ月あまりにわたったポルノ犯罪取り締まり活動で、中国の大手ソーシャルメディアのQQや微信のアカウント10万件を削除したと発表した。

 チャイナウォッチによると、広東省の公安機関は2月10日以来実施しているポルノ犯罪集中取締特別活動で違法な場所208箇所を摘発、15店の営業許可を取り消し、2925店を休業の上、営 業改善を実施した。

 同時にポルノ犯罪に関連するサイト854件を徹底整理し、QQ、YY語音、微信など、中国の大手ソーシャルメディアのアカウント9万6000件あまりを削除した。

 また広東省警察は445の刑事事件を解決し、ポルノ犯罪に係わる62グループを摘発し、865人を拘束した。その中には事業者だけでなく、受益者、つまり客も多数含まれていた。

 公安機関はとくにネットを使ったポルノ犯罪に神経を尖らせており、ポルノ犯罪を通報したものには、報奨金を与える制度も計画中だ。

 広東省のポルノ犯罪の取締りをめぐっては、次世代のトップと目されている広東省委の胡春華書記と中央の権力闘争の結果との見方も示されている。