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中国全人代、新食品安全法を採択=厳重処罰原則を具現

2015年04月30日

 中国の第12期全国人民代表大会(全人代)常務委員会第14回会議は24日、

 違反者に対して、厳重な処罰で臨む新食品安全法を採択した。

 チャイナ・ウオッチが30日、北京24日発新華社=共同電で報じたもので、国家食品薬品監督管理総局の滕佳材副局長は同日の記者会見で「新食品安全法は厳重処罰の原則を具現化したものであり、食品安全面での刑事責任の追及が強化されている」と論評した。

  滕副局長によると、同法は食品安全にかかわる犯罪で、有期懲役以上の刑罰を言い渡された者に対し、生涯にわたって食品生産・経営の管理業務に従事してはならないと規定。非食用物質の違法添加、病死した家畜・家禽の取り扱い、毒性の高い農薬の使用といった重大な違法行為に対し、行政拘留の処罰を追加している。

 同法はさらに、罰金の限度額を大幅に引き上げ、再犯行為に対する処罰規定を増設。民事上の責任追及もできるようにしている。

 新食品安全法は2009年に实施された旧法に比べ、条項が50条増え、10章154条からなっている。なお、新食品安全法は2015年10月1日から施行される。

中国のブドウ畑面積、仏抜いて世界第2位に

2015年04月28日

 チャイナ・ウオッチが28日、パリ発共同電で、「中国のブドウ畑面積がフランスを抜いて世界第2位になった」と報じた。

 ブドウ・ワイン国際機構(OIV、本部・パリ)が27日公表した「2014年統計」によると、中国のワイン用ブドウ畑の面積は79万9000ヘクタールで、79万2000ヘクタールのフランスを抜いて2位になった。1位はスペインで102万1000ヘクタール。

 中国では、 経済成長に伴い、ワイン消費が増加し、ブドウ畑の面積も拡大。2000年の時点では、中国のブドウ畑の面積は全世界の4%にすぎなかったものの、2014年は11%に達した。ただ、ワインの生産量は世界8位にとどまっている。OIVによると、南米諸国でもブドウ畑の面積が増え続けているという。

 一方、 欧州では、ワインの品質保持や生産過剰への対応から、欧州連合(EU)が08年からワインの生産を制限する政策を導入。ブドウ畑の面積が減少。EU加盟28カ国のブドウ畑の合計は前年比で2万1000ヘクタール減少し、339万9000ヘクタールとなったという。

  ワインの消費量は307万キロリットルの米国がトップで、主要消費国の中で、消費量が唯一前年より増加した。2はフランス、3位はイタリア。

 ワインの消費量は2014年、世界全体で前年比1%減となり、2400万キロリットルとなった。中国は5位。日本は10位以内にランクされなかった。

 OIVはワインの消費量について「2008年の金融危機以降の傾向から抜け出せていない」と指摘している。

中国の高温ガス冷却炉の産業化が大きな進展

2015年04月27日

 チャイナ・ウオッチが27日、北京20日発新華社=共同電で報じたところによると、中国で第4世代の先進的原発技術「高温ガス冷却炉(HGTR)」の産業化が大きく進展した。

 中国核工業建設集団公司(中国核建)の発表によると、商業用HGTR(60万キロワット)を導入する江西省瑞金の原発プロジェクトのプレ事業化調査(FS)報告書が専門家による審査をパスした。

 中国のHTGR技術の研究開発は1970年代に始まり、清華大学に10メガワットの実験炉が建設された。その後、中国核建と清華大学は共同でHTGR技術の産業化を推進。2012年には、山東省栄成市石島湾でHTGRの実証プラントの建設が始まり、2017年末に完成する予定だ。

 中国核建の王寿君董事長(会長)はHTGRの特徴について「固有安全性(intrinsic safety)にある」と指摘。「いかなる状況下でも、HTGRは炉心溶融事故や大量の放射能放出事故が起きることはなく、人間の健康や環境に影響を与えることはない」と強調する。

 王董事長はまた、「HTGRが高温にきわめて強い設計となっており、(略)すべての冷却(電源、装置)システムの喪失を含め、いかなる状況下でも、人為的または機器による介入なしで、原子炉の安全な状態を維持できる」と語っている。

 中国のHTGRは完全に自前の知的財産権をもつ先進的核エネルギー技術で、95%以上の設備の国産化が可能だという。

 中国核建は今後、江西省と提携して国家発展改革委に事業提案書を提出し、江西瑞金のHTGR原発プロジェクトを国の原発計画に入れるよう申請。建設許可が下りれば、江西瑞金HTGR原発の1期工事の2基の建設が2017年に始まり、2021年には1号機の発電が実現する見通しという。

配偶者の弁護士業務禁止=上海市が司法改革

2015年04月24日

 チャイナ・ウオッチが伝えるところによると、中国上海市は23日、裁判官や検察官の配偶者が上海で弁護士など司法関連の職業に就くことなどを禁じる6カ条の規定を発表した。家族の求めに応じて不正に便宜を図ることなどを避けるためとみられる。習近平指導部は「法治の推進」を掲げているが、官僚だけでなく司法の腐敗も深刻とされている。6カ条の規定は司法への信頼回復を目指す改革の一環だ。 規定は裁判官や検察官が対象。職務に関係する人から食事の招待を受けたり、自身が関係する裁判や事件の関係者とひそかに会ったりすることなども禁じた。

国家政策 第18期四中全会「決定」(全訳)
七、法による国家統治の全面的推進に対する党の指導の強化と改善
国家政策 第18期三中全会「決定」(全訳) 9.法治中国の建設推進

中国の太陽光発電設備容量、第1四半期で504万kw増加

2015年04月23日

 中国の太陽光発電設備容量が今年第1四半期で504万キロワット(kw)増加した。チャイナデイリーが23日、北京20日発新華社=共同電で報じたもので、この504万キロワットのうち太陽光発電所分は438万キロワット、分散型は66万キロワットだった。

 国家エネルギー局が20日発表したデータで、今年第1四半期の太陽光発電量は約80億キロワット時だという。

 全国の太陽光発電の累計設備容量は2015年3月末時点で、3312万キロワットに達した。このうち太陽光発電所分は2779万キロワット、分散型が533万キロワット。

 国家エネルギー局のデータによると、全国の各省、市、自治区の中で、太陽光発電累計設備容量が100万キロワットを超えているのは八つ地区で、甘粛省が576万キロワット。新疆ウイグル自治区が466万キロワット、青海省が426万キロワット、内モンゴル自治区が384万キロワット、江蘇省が300万キロワット、寧夏回族自治区が217万キロワット、河北省が152万キロワット、浙江省が142万キロワットとなっている。

 第1四半期に新たに増えた設備容量が比較的大きい地区は新疆、内モンゴル、浙江、甘粛、江蘇だった。

 国家エネルギー局は今後、現在ある国内の太陽光発電プロジェクトの建設・運営、主要設備、送電網の接続性能と問題点などを正確に把握するため、品質検査活動を組織的に展開するとしている。

不動産大手が債務不履行=中国、市況低迷一因か

2015年04月22日

 チャイナ・ウオッチが22日、上海共同電で報じたところによると、中国・広東省深圳市の不動産大手、佳兆業集団は21日までに、ドル建て社債の利払いができなくなったと表明し、デフォルト(債務不履行)に陥った。

 中国の不動産市況の低迷が資金繰り悪化につながった可能性もある。 ロイター通信によると、中国の不動産開発業者がドル建て債でデフォルトになるのは初めて。佳兆業集団は3月中旬が支払期日だった利息計約5160万ドル(62億円)を支払えなかった。

  中国政府はこれまで、債券市場の混乱を避けるため、企業のデフォルト回避の措置を講じてきたとされる。政府がデフォルト容認の姿勢に転じたとの見方も出ている。

  佳兆業集団をめぐっては、深圳市当局が昨年12月、同集団が市内の物件を販売することを禁止した。反汚職の調査が絡んでいるとの報道もある。

  一方、変圧器メーカーの保定天威集団(河北省)は21日、社債の利息である8550万元(約16億5千万円)の支払いができず、デフォルトに陥ったと発表した。

 同集団は国有企業、中国兵器装備集団の全額出資子会社で、中国メディアは「国有系企業の社債で初のデフォルト」と報じた。 中国の太陽光、風力発電業界の不況で損失が出たとみられる

中国政府、第3世代原発「華竜1号」の沿海部での建設を許可

2015年04月21日

 中国政府は15日の国務院会議で第3世代原発「華竜1号」の沿海部での建設を許可する決定を行った。チャイナ・ウオッチが21日、北京発新華社=共同電で報じたもので、会議には、李克強首相が出席し、エネルギー構造の調整を進める中で、経済の安定成長を図っていくことも確認した。

 中国政府は「華竜1号」について、「中国のこの20年余りの原発建設・運転の成熟した経験を基盤とし、世界の先進的設計理念を取り入れた成果である」と指摘。「中長期原発発展計画に従い、沿海地区に『華竜1号』の建設に許可を与えた」ことを明らかにすると共に、「(第3世代原発『華竜1号』の建設は)国際的エネルギー開発のすう勢に沿ったもので、エネルギー構造の最適化を図り、風、光、水、原子力など多様なクリーンエネルギー体系を構築するうえでの必然的選択だ」と強調した。

 国務院会議ではまた、「『華竜1号』の建設が中国の装置・設備製造業の国際競争力を高め、有効な投資をけん引し、産業構造の調整・高度化と経済の安定成長を促し、省エネ・排出削減と持続可能な発展を推進するのに役立つ」との意見がだされ、参加者の同意を得た。

 さらに、同会議は、第3世代原発『華竜1号』の建設に際し、①世界最高の安全基準を採用し、緊急対応マニュアルの作成する②建設工事と運転の安全確保③自前の知的財産権を有する基幹装置や設備、コア技術の形成④原発装置・設備輸出のための第三国との協力に有利な条件を整える-ことなどを求めたという。

中国、産業用ロボットの開発を重視

2015年04月20日

 英国からやってきた歌って踊れるロボット「タイタン」がこのほど「2015年第16回深圳国際機械製造工業展覧会(SIMM)」で披露された。このロボットは身長2.4メートルで、(中国の)標準語を話せ、人々の喝采を浴びている。

 チャイナ・ウオッチが深圳3日発新華社=共同電で報じたところによると、中国の工業情報化省が3月に発表した「2015年原材料工業タイプ転換発展作業要点」は「重要な職場でロボットの使用を増やし、健康に危険な作業、繰り返しの多い煩雑な作業、自動サンプリング分析作業などの現場で、専門的なロボットを普及させる」ことを提起している。

 一方、業界も工業分野における産業用ロボットの普及を求めており、これによって中国の製造業の競争力が維持、向上するとみている。

 苗圩・工業情報化相によると、ロボットの導入台数は中国が工場労働者1万人当たり23台にとどまっているが、ドイツは273台、日本と韓国はそれぞれ300台を超えている。 また、中国の産業用ロボットは、付加価値の高いコア技術や主要市場を外資企業に占められているという。

 これに関連し、武漢華中数控株式有限公司の熊清平副総裁(副社長)は「国内ロボット産業をコストでみると、減速機のコア技術は生産コストの45%を占めているが、その技術はほぼ日本企業に独占されている」と語っている。

 また、深圳市機械業界協会の張輝華会長によると、中国の産業用ロボット分野での人材不足は深刻で、「昨年は、深圳市だけでも数万人、全国的には100万人も足りなかった」という。

アップル、中国・四川省で2つの太陽発電所を建設へ

2015年04月17日

 チャイナ・ウオッチは17日、ニューヨーク発共同電で報じたところによると、米太陽光発電パネル大手のサンパワー(本社・カリフォルニア)は16日、同国のIT大手アップルと共同で、中国の四川省に2つの大規模太陽光発電所(メガソーラー)を建設すると発表した。

 サンパワーによると、太陽光発電所の建設予定地は四川省アバ・チベット族チャン族自治州で、2つの発電所の出力は合計4万キロワット。今年10~12月に完成予定という。

 サンパワーは既に中国への進出を果たしているが、アップルと組んで米国外に太陽光発電事業を展開するのは初めて。建設される2つの太陽光発電所はサンパワーの現地合弁会社とアップルの共同所有となる。建設費の総額は明らかにされなかった。

 アップルは今年2月、サンパワーとは別の米国の太陽光発電パネル大手がカリフォルニア州に建設するメガソーラーへの出資を決めており、アップルは豊富な資金力を背景に太陽光発電事業への進出を加速している。

中国のレアアース永久磁石業界の回復が加速-新エネルギー需要拡大で

2015年04月16日

 チャイナ・ウオッチが16日、北京31日発新華社=共同電で報じたところによると、中国のレアアース(希土類)永久磁石業界の回復が加速している。新エネルギーの需要が激増しているためとみられる。

 中国の証券問題専門紙・上海証券報系の情報サイト「上証報資訊」が上場企業の2015年第1四半期の業績予想に基に分析したところでは、多くの企業が業績を伸ばしており、特に、中国の風力発電とレアアース永久磁業界の景気向上が目立っているという。

 それによれば、3月26日現在、中国の上場企業合計324社が業績予想を公表しているが、そのうち76社が「増益」を予想。91社が「やや増益」。12社が「黒字に転換した」、33社が「引き続き黒字」と答えている。

 この中で、風力発電とレアアース永久磁業界が好調で、風力発電の新規送電網接続設備容量は昨年、去最高を記録し、1981万㌔ワットに達した。送電網接続の累計設備容量は9637万㌔ワットで、国内の全発電設備容量の7%、世界の風力発電設備容量の27%を占めているそうだ。

 風力発電施設の開発・建設のペースは著しくスピードアップしており、風力発電第12次5カ年計画(2011~15年)第3次認可予定計画の達成率は76%にも上る。陸上風力発電の送電網接続電力価格の引き下げは既に決まっており、陸上風力発電の建設ラッシュは今年一杯続く見通しだ。また、今後、海上風力発電のさらなる建設も予測されており、風力発電業界全体の景気上昇は今後も続く見通しという。

中国、知的財産権侵害・ニセ物取り締まり強化へ

2015年04月15日

 中国国務院弁公庁はこのほど、2015年の知的財産権侵害・ニセ物粗悪品取り締まりの重点方策的を発表し、当局による取り締まりを強化していくことを明らかにした。

 チャイナ・ウオッチが15日、北京9日発新華社=共同電で報じたところによると、中国政府は知的財産権侵害・ニセ物粗悪品取り締まりのため、法制度を整備し、マーケットに対する監督・管理の強化や集中取り締まりを実施。公平な競争を維持しながら、消費者が安心できる市場環境を築く方針という。

 また、中国政府はこの方針に基づき、①電子商取引法、種子法の制定・改正②著作権法、特許代理条例、無免許営業調査処分取締弁法(規則)、化粧品衛生監督条例の改正③商業秘密保護法の法律規定整備―などを推進するという。

 このほか、中国政府はインターネット分野の権利侵害やニセ物の集中取り締まりを年末まで延長。重点サイトのオンライン監視を強化すると共に、国境を越える電子商取引の法執行と監督管理を厳格に行うとしている。

中国のソフト著作権登記件数が20 万件を突破

2015年04月14日

 チャイナ・ウオッチが14日、北京発新華社=共同電で報じたところによると、中国著作権保護センターはこのほど、「2014 年中国ソフト著作権登記状況分析報告」の中で、同国のソフト著作権登記件数が20 万件を突破したことを明らかにした。

 8日公表された同報告によると、中国のソフト著作権登記件数は2014 年、 21 万 8783 件に上った。登録件数は2011年に10万件を超えており、3年間で倍増したことになる。

 2014年のソフト登記件数を地域別にみると、北京市、広東省、上海市、江蘇省、浙江省がトップ5で、ソフト登記件数はこれら5地域で合計 14 万 0300 件。中国全体の約 64.13%を占めている。

 また、種類別では、①オペレーティングシステム(OS)②ミドルウェア③アプリケーションソフト④組み込みソフトの4分野に分けられ、このうちアプリケーションソフトの登記は 15 万 7220件で、全体の 71.86%だった。

 2014年に登記されたソフトの中では、APP(携帯向けアプリ)ソフトが最も多く、3万 0742 件で、前年比で2万0 120 件増えたという。

 中国でソフトを登記した著作権者は同年、7万 2147人・社で、前年比 30.21%増加した。このうち企業著作権者は5万 1340社で、全体の 71.16%に上っている。

政策>主要国家政策データ「ソフトサイエンスに投入した研究経費と人員の推移(1993-2010年)

日米、「宇宙ごみ」で情報共有へ-対中抑止力向上が狙い

2015年04月13日

 日米両政府はこのほど、日米防衛協力指針(ガイドライン)の改定の際に追加される宇宙分野での協力で、不審な衛星や「宇宙ごみ」を探知・識別するための「情報共有」を明記する方向で調整に入った。これによって、宇宙空間でも、自衛隊と米軍の連携が強まり、軍事的一体化が加速することになる。

 共同通信のチャイナ・ウオッチが13日報じたもので、両政府は宇宙を利用した海洋監視の協力も盛り込むという。日米関係筋が11日明らかにしたところによると、こうした日米両国の「宇宙状況監視(SSA)」は、衛星攻撃兵器(ASAT)の開発など、宇宙での活動も活発化させる中国を念頭に置いており、抑止力向上に狙いがある。

 中谷元・防衛相とカーター米国防長官は8日の会談で宇宙分野での協力強化と事務レベルの新たな作業部会設置を確認した。2007年に中国が実施した衛星破壊実験に象徴される衛星兵器開発や、運用を終えた人工衛星や破片など宇宙ごみの増加が「宇宙の安定的利用の妨げ」になっているとの認識が背景にある。

 米国は他国に衛星を攻撃された場合でも最低限の機能を保持するため、宇宙システムの分散化を進めており、日本版の全地球測位システム(GPS)「準天頂衛星システム」と米国のGPSとの連携を提案する考えという。

中国の「一帯一路」指導部の人事確定とシンガポール紙

2015年04月10日

 共同通信社の「チャイナ・ウオッチ」が10日、シンガポールの日刊紙「聯合早報」(2015年4月4日付)の情報として報じたところによると、中国が中長期戦略として打ち出した「一帯一路」(シルクロード経済ベルトと21世紀の海のシルクロード)構想を推進するための指導部人事が確定した。

 それによると、「一帯一路」建設工作指導小組の組長には張高麗副首相が就任。副組長には王滬寧・党中央政策研究室主任、汪洋副首相、楊晶国務院秘書長、楊潔篪国務委員の4人が選出される見通しという。

 王滬寧氏は今年60歳。「中南海一のブレーン」と呼ばれ、江沢民(元党総書記)時代に党中央政策研究室に入った後、胡錦濤時代、さらには習近平時代の三代にわたり「幕僚」を務めている。現在は党政治局員。

 中国人民大学国際問題研究所の王義桅所長は、中央全面深化改革小組(組長・習近平国家主席)で副組長を務める張高麗氏や同小組弁公室主任の王滬寧氏が「一帯一路」建設工作指導小組の要職を務めるとの情報について、「『一帯一路』建設工作指導小組が『中央全面深化改革小組』の指導下に置かれ、習主席の主導で、中国経済の成長方式の転換を図ることを意味する」と指摘する。

 王所長はまた、他の3人の副組長の現在の職務から「一帯一路」に関わる部門や専門領域を見ることができる」と指摘。汪洋氏については「国務院で経済・貿易、農業などを主管し、貧困撲滅や対外援助に責任を負っていることから『一帯一路』建設工作指導小組でも、同じような役割をするとみられる」と語っている。

国際資本が中国の医療・ヘルスケア市場に注目

2015年04月09日

 中国の医療・ヘルスケア市場が急速に拡大しており、バイオ関連部門に投資している世界的な投資会社が中国への関心を深めている。

 チャイナ・ウオッチが上海5日発新華社=共同電で報じたところによると、米スタンフォード大学医学部教授で、いわゆる"バイオ・キャピタル"の創業者の一人とされるエングルマン氏はこのほど上海で、「第8期の資金募集を完了した。われわれはこの7億 5000 万ドルの資金の半分を中国市場に投入する予定である」と語った。同氏によると、彼らの投資会社は既に中国で7つの案件をまとめており、この中には「上海景峰製薬」の合併案件も含まれているという。

 一部データによると、中国の医療・ヘルスケア分野での支出は過去3年間で年平均13.2%の伸びをみせており、中国は米国に次ぐ世界第2の医療・ヘルスケア市場となっているそうだ。また、中国の健康サービス産業の規模は2020 年までに8兆元(1元=約19 円)に達する見込み。

 中国の医療・ヘルスケア市場におけるクロスボーダーM&A(合併・買収)は2014 年、142 件に上り、その総額は 402 億元に達したという。

李首相、設備輸出と国際協力の必要性を強調

2015年04月08日

 中国の李克強首相は3日、北京で開かれた国務院の座談会で設備の輸出と国際協力の必要性を訴えた。

 チャイナ・ウオッチが北京3日発新華社=共同電で報じたもので、李首相はこの席上、「中国経済の発展は『新常態(ニューノーマル)』に入り、新たなチャンスと試練に直面している」と指摘。「中高速成長を実現し、ミドル・ハイエンドレベルへの前進を図るには、対外開放を新たな水準に高める必要がある」と訴えた。

 李首相はまた、貿易の構造転換と外資の有効利用について言及。「設備の輸出と国際的な生産能力の協力を加速することが中国経済の質と効率の向上につながる」と述べ、「(そのためには)金融サービスを提供する必要があり、外貨準備の運用先拡大や優遇借款の供与、商業ローンの障害排除、財政資金による誘導、輸出信用保険の拡大なども考えるべきだ」と提案した。

 李首相はさらに「世界経済は回復が難しく、厳しい情勢に直面しており、各国は助け合い、利益の一致点を拡大し、協力によって均衡を図り、革新(イノベーション)によって発展を図る必要がある」と述べ、「現在、多くの国でインフラ建設と工業化の需要が拡大しているが、中国は良質で廉価な設備と生産能力があり、総合的な対応能力も高い」と強調した。

 この座談会には張高麗副首相のほか、外務省、国家発展改革委員会、商務省、中国輸出信用保険公司、中国鉄建公司、中広核集団などの責任者が出席した。

メコン川に日本支援の巨大橋-域内経済統合寄与も中国

2015年04月07日

 カンボジアのメコン川で日本の政府開発援助(ODA)によって建設が進められてきた巨大な斜張橋「つばさ橋」(全長約2200メートル)がこのほど完成した。橋の名称には、鳥が翼を広げているように見えることや、日本との友好関係を記念する意味合いを込め、日本語の「つばさ」が加えられた。カンボジアでは「スピエン(橋)ツバサ」と呼ばれる。

 チャイナ・ウオッチが共同電で報じたところによると、「つばさ橋」の開通式が6日、同国南東部ネアックルンで行われた。この橋の開通によって、メコン川流域の主要都市であるベトナムのホーチミン、カンボジアのプノンペン、タイのバンコクが全長約900キロの道路「南部経済回廊」で結ばれ、域内の経済交流が一段と進むと期待されている。東南アジア諸国連合(ASEAN)は今年末の共同体創設を通じて経済統合を進めてようとしている。

 一方、メコン川流域では、中国の雲南省とタイを結ぶ「南北経済回廊」が既に完成しており、ASEAN諸国と中国との取引量が増加している。中国はまた、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の設立を主導し、ASEAN域内での"存在感"を急速に高めており、カンボジアでも、日本と競うように、道路などのインフラ整備を進めている。

 「つばさ橋」はカンボジアの首都プノンペンの南東約60キロの地点にあり、プノンペンとベトナム国境を結ぶ「国道1号線」の一部をなし、取り付け道路を合わせた全長は5400メートルにも及ぶ。同橋の完成には2004年の調査開始から10年以上の歳月を要した。日本はこの橋の建設で総工費を負担し、無償資金協力事業として約120億円を供与した。

 「つばさ橋」の開通式にはカンボジアのフン・セン首相も出席し、「開通を夢に見ていた。カンボジア国民にとって大きな意義があるだけでなく、ASEAN全体にも有益だ」と語った。

 なお、橋の開通を機に発行されたカンボジアの新500リエル紙幣(約15円)には「つばさ橋」の姿が描かれている。

北京など4都市の大気の主要汚染源は自動車-中国環境

2015年04月06日

 中国・環境保護省の呉暁青次官は1日、江蘇省無錫で開かれた全国環境モニタリング現場会議で、北京、杭州、広州、深圳の大気の主要汚染源が自動車であることを明らかにした。

 チャイナ・ウオッチが南京1日発新華社=共同電で報じたところよると、中国の大部分の都市における大気の粒子状物質の 85~90%が自動車、工業生産、石炭の燃焼、土埃(ほこり)から生じており、北京、杭州、広州、深センの4都市の最大の汚染源は自動車だったという。

 中国は現在、全国各都市で環境大気粒子状物質発生源の解析を進めており、北京、天津、石家荘、上海、南京、杭州、寧波、広州、深圳の9都市で汚染源の解析作業を終えた。その結果、石家荘と南京の最大の汚染源が石炭の燃焼であることも判明した。

 また、呉次官はこの席上、「各都市は発生源の解析成果に基づき、大気汚染防止措置を的確に見直し、大気の改善に引き続き努めている」と語った。

 呉次官によると、中国政府は大気汚染問題を解決するため、地方政府の支出を含め、これまでに4億 3600 万元(約82億8400万円)の資金を投入。177 の都市、552 カ所に政府運営のモニタリングポイントを設置し、全国規模で大気の汚染を監視できるようになった。

 中国政府は今後、「重度汚染天候モニタリング早期警報システム」の確立を図り、今年 10 月末までに各省・自治区・直轄市、省都、政令指定都市で大気の状況予報・早期警報システムを完成させる計画という。

中国、自前の低コストグリーン建築の道を模索

2015年04月04日

 中国が低価格で環境にやさしい自前のグリーン建築の普及を目指している。チャイナ・ウオッチが3日、長春29日発新華社=共同電で報じたところによると、中国深圳市建築科学研究院株式有限公司はこのほど、緑の植物で周囲が囲まれ、リサイクルシステムで集められた自然水が植生の灌漑に使われて再生水になり、太陽光発電によって照明がなされる低コストグリーン建築の建物を完成させた。

 中国に「グリーン建築」の理念が持ち込まれたのは2000年からで、これによって建築資源を最大限節約し、環境を保護し、汚染を減らし、自然と調和・共生するという考え方が広く社会に認められるようになった。また、中国政府は 2006年4月、「グリーン建築評価基準」を打ち出した。だが、企業のグリーン建築市場への参入は依然として少なく、やみくもに海外の技術を導入したり、利益追求に走ったりし、グリーン建築の普及がなかなか進んでいない。

 深圳市建築科学研究院股分有限公司の葉青・会長はこれについて、「国は補助金でグリーン建築を奨励しているが、多くの補助金が高級なグリーン建築に使用され、本当のグリーン建築が締め出されるのではないかと危惧している」と警告。「補助金は業界の優秀な技術者を組織し、グリーン建築が発達していない地域に対する宣伝、トレーニングを行うことや、末端に踏み込んだモデル建設の奨励などに使われるべきだ」と強調する。

 また、中国の不動産会社、招商地産のグリーン研究開発・忚用センター技術監督の林武生氏は「ガラスカーテンウォールで密閉された高温空間は、先進的で複雑な技術によってできており、エネルギー消費が多い」と指摘。「国の現状に軸足を置き、これまで通り低エネルギー消費社会の生活習慣と伝統に沿った設計を行い、海外モデルの丸写しに反対すべきだ」と語る。

 さらに、安徽地平線建築設計事務所有限公司の江海東・会長は日本が1999年に公布した「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に言及し、「中国は住宅建築の品質確保を法律的に保障するため、この法律を参考にすることができる」と語っている。

米中は真摯な戦略対話を=アジア安定へ米報告書

2015年04月03日

 米シンクタンク、カーネギー国際平和財団(ワシントン)は2日、アジア太平洋地域で将来、軍事的な衝突が起きないようにするためには、米国と中国が優先事項を明確にし、同 盟国などの意向を反映させた戦略的対話を真摯に進める必要があるとする報告書を発表した。チャイナ・ウオッチがワシントン発共同通信電として伝えた。

 本報告書は同財団など10の研究機関が参加し、米太平洋軍がまとめた研究の一部であり、「アジア太平洋地域の衝突と協力」と題した約270ページを公表した。

 アジア太平洋地域で今後25年間に起こり得るシナリオとして、政治的、経済的な協力と競争が続く「現状維持」から、「冷戦」「軍事衝突」など5ケースを想定し、現状維持が最も可能性が高いが、状 況の劇的な悪化の恐れもあると警告した。

 それを回避するためには、米中が互いの国益の優先順位を明確に決め、2国間、多国間で安全を保障する枠組みを構築する必要があるとした。

 また相対的に影響力が低下した米国は、アジアの急激な安保環境の変化の中で、外交力と地域への理解を複雑に組み合わせた対忚を迫られていると指摘した。

習近平主席、豪総督と会見=年内のFTA調印希望

2015年04月02日

 中国の習近平国家主席は30日、北京の人民大会堂でオーストラリアのコスグローブ総督と会見した。チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えた。

 習主席は次のように強調した。両国間の自由貿易協定(FTA)の年内調印、批准、早期実施を目指し、経済・貿易協力に新たな補助推進器をもたらすべきだ。互恵・補完を踏まえ、中 国西部大開発とオーストラリア北部大開発を結びつけ、エネルギー・資源、農業・畜産、インフラ建設、生態環境保護などの分野で入り口を見つけ、新規事業の立ち上げを目指すべきである。中 国は引き続き軍のハイレベル相互訪問や防衛協議、合同演習などの形で防衛協力のレベルを高め、両国関係の安全保障面の結びつきを固めることを願っている。わ れわれはオーストラリアを含む各国と共に第二次世界大戦勝利70周年を共に記念し、国連憲章の趣旨と原則を守り、世界の平和、安定、繁栄を図ることを願っている。

 これに対しコスグローブ総督は次のように述べた。オーストラリアはアジアインフラ投資銀行(AIIB)参加を申請した。中国のシドニーでの人民元清算銀行開設を歓迎している。中 国とのFTA協定について審査を進めており、協定の発効で両国に重要な利益がもたらされ、両国の経済・貿易交流が力強く促されると信じている。中国との若手将校や軍の上級指導者の交流強化を希望している。 

米「風力発電で35%可能」=エネ省報告書、中国に対抗

2015年04月01日

 米国内の総発電量に占める風力の割合を2013年の4.5%から50年までに35%に高めることが可能だとする報告書を、米エネルギー省がまとめたことが31日分かった。チャイナ・ウ オッチがワシントン発共同通信電として伝えた。風力発電の世界シェアで首位を奪われた米国が中国に対抗し、地球温暖化対策で優位に立つのが狙いのようだ。

 同報告書では、技術改良やコスト削減の徹底が必要で、13年に期限が切れた税制などの優遇措置の復活が必要だと指摘している。実現すれば「温室効果ガスの排出を14%削減できる」としている。

 米国での風力発電は、オバマ政権による優遇政策が後押しし、08年から13年までにおよそ3倍に増えた。再生可能エネルギーでは水力に次ぐ規模にあり、各国政府が参加する国際再生可能エネルギー機関は、米 国では30年までに「風力が水力を上回る」と予測している。

 一方、米国を上回る勢いで伸びているのが中国である。業界団体でつくる世界風力エネルギー協会によると、風力発電の設備容量で中国は10年に米国を抜き世界トップに躍進。1 3年には中国が世界シェアの28.7%を占め、米国の19.2%を大きく引き離した。ちなみに日本は1%未満に過ぎない。

 米国は野心的な目標を掲げることで首位奪回を目指し、地球温暖化対策でも主導権を握りたい構え。ただ、原油価格の下落や新型シェールガスの開発拡大で、風力の発電コスト高が目立つようになれば、思 惑通りに普及が進まない可能性もある。