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政策面で右顧左眄していてはチャンス逃す=習近平氏が強調

2016年05月31日

 中国の習近平共産党総書記・国家主席・中央軍事委主席は23日から25日まで黒竜江省を視察し、その中で東北地区など旧工業地帯の振興は国の重大な戦略であるとし、チャンスをとらえ、発奮して取り組み、新たな発展理念を貫き、改革・開放を深め、発展環境の最適化を図り、革新(イノベーション)の活力をかき立て、長所を伸ばし、短所を補い、新たな情勢の下での旧工業地帯振興発展の新たな道を突き進まなければならないと強調した。チャイナ・ウオッチがハルビン発新華社=共同電として報じた。

 また構造調整について習氏は次のように指摘した。現在、わが国経済は成長パターンを転換し、構造を調整する重要な時期にあり、困難を乗り越えて進む時期であり、また大いに力を発揮するのに適した時期でもある。心を一つにして供給サイドの構造改革を着実に推進するなら、産業構造のレベルが大きく飛躍し、社会生産力の水準が大きく飛躍する。政策面で右顧左眄し、行動面で中途半端で終わるなら、チャンスを逃すことになる。パターン転換と構造調整は待っていてできるものではなく、懸命に取り組まなければできない。政策を行動に変え、全力で難関を攻略しなければならない。

 視察には黒竜江省の王憲魁党委書記、陸昊・省長が同行した。

海外初の人民元建て国債英国で発行

2016年05月30日

 中国政府は26日、英ロンドン市場で人民元建て国債を30億元(約500億円)発行した。人民元建て国債を海外で発行するのは初めて。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 人民元建て国債発行は、人民元の国際化に向けた取り組みの一環で、昨年10月に習近平国家主席が英国を訪問しキャメロン英首相と会談した際に合意していた。人民元は昨年11月に国際通貨基金(IMF)が指定する主要通貨に採用されることが決まった。

 中国政府は人民元を海外の投資家により多く保有してもらうための施策を強化している。

原子力緊急時対応救援チーム結成へ

2016年05月27日

 約320人から成る中国原子力緊急時対応救援隊が、軍と原子力産業の既存原子力緊急時対応部隊を拠点に結成されつつある。チャイナ・ウオッチが北京発新華社=共同通信電として伝えた。同救援隊は、六つの救援分隊、約 320 人で構成される。原子力過酷事故の際、突撃緊急救助と緊急処理救援の任務を重点的に引き受けるほか、国際的な原子力緊急時救援活動に参加することもできる。

 国家原子力事故緊急対応調整委員会の第5期第3回全体(拡大)会議が 24日、北京で開かれた。席上、「国家原子力事故緊急対応調整委員会の中国原子力緊急時対応救援隊結成に関する通知」が読み上げられ、救援隊と同分隊のプレート授与式が行われた。

 六つの救援分隊は、指揮調整・技術支援〈サポート〉分隊、突撃緊急救助分隊、施設緊急救助分隊、応急監視〈モニター〉・放射線防護分隊、除染洗浄分隊、医学救援分隊。訓練基地は、事故場面模擬訓練基地、操作技能訓練基地、理論教学基地から成る。

 第 12 次五カ年計画(2010~15 年)中、中国の原子力応急業務には全体的な進展がみられた。福島原発事故への対応を成功裏に実施し、新版「国家原子力応急マニュアル」を発表し、50 近い規則、法規文書と制度規範を策定、発表した。八つの国立原子力応急専門技術支援センター、25 の救援分隊、三つの訓練基地も設置している。さらに全国をカバーする原子力・放射線応急監視、原子力応急医学治療、地震監視などのネットワークを完成させた。国家原子力応急合同演習「神盾―2015」を実施し、中国初の原子力白書「中国の原子力応急」も発表している。

国家原子力事故緊急対応調整委員会の第5期第3回全体(拡大)会議では、「国家原子力応急業務 『13.5』計画」の審議を求め、採択した。同計画は、第13 次五カ年計画(2016~20 年)期に、中国の原子力エネルギー事業の発展に即応する原子力応急国家体制をほぼ完成させる。同時に、原子力応急演習・訓練と研修を強化し、原子力応急のパブリックコミュニケーションと宣伝を拡大して、原子力応急準備と即応の総合的能力を確実に高める、としている。 会議には、19 省(自治区、直轄市)の原子力応急管理機関、原子力関連グループ企業、関係大学、重点原子力施設運転事業所、中国原子力応急救援隊の拠点事業所の指導者と専門家 200人余りが出席した。

人民元基準値5年ぶり安値=米利上げ観測で

2016年05月26日

 チャイナ・ウオッチが上海発共同電として伝えるところによると、中国人民銀行(中央銀行)は25日、人民元取引の対ドル基準値を1ドル=6・5693元と、前日の基準値より0・34%元安に設定した。基準値としては2011年3月以来、約5年2カ月ぶりの低水準だった。

 市場関係者によると、米国の利上げ観測の高まりによりドルが主要通貨に対して上昇したことを受け、基準値を元安に設定したとみられる。

 25日の元相場は対ドルで下落し、午後4時半(日本時間同5時半)現在、前日同時刻比0・08%安の1ドル=6・5620元をつけた。

成果上がらず指導部に不協和音も

2016年05月25日

 習近平指導部が、経済改革の成果が上がらない現状に危機感を強めている、とチャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 チャイナ・ウオッチによると、共産党機関紙の人民日報は9日付の紙面で「景気安定は依然として投資主導という古い手法に頼っている」とのインタビューを掲載した。「権威人士(権威筋)」と名乗るこの人物は、習氏の経済ブレーンである党中央財経指導グループの劉鶴弁公室主任だとの見方がもっぱらだ。

 権威人士は「(投資増に伴う)債務拡大は必然的に高いリスクをもたらす」と強調し、安易な景気刺激策に頼る経済運営を批判した。

 SMBC日興証券の肖敏捷シニアエコノミストは「李克強首相が率いる国務院(政府)は最近、改革と安定成長とのバランスを重視していた。党指導部は改革を優先することで方針の統一を図った」と記事の意図を分析する。

 「権威というなら身分を明らかにすべきだ。匿名では人々の誤解や市場の混乱を引き起こす」。上海にある同済大学財経研究所の石建勲所長は、インタビュー記事について不透明な世論誘導だと批判した。

 インタビュー記事は、改革に前向きな省は具体名を挙げ人事レースで昇格を狙う地方幹部の奮起を促したものの、地方では習氏の政治手法への不満が強まっているとされる。

 共産党は来年、指導部が大幅に入れ替わる5年に1度の党大会を迎える。習氏は、本来は首相が担うはずの経済運営の主導権まで奪い、権力を集中させてきた。北京の外交筋は「改革の成果を出さなければ、主導権を奪われかねないとの焦りがある」と分析した。

偽大学400校 民間調査機関公表

2016年05月24日

 6月の大学受験シーズンを前に中国の民間調査機関が、2013年以降に発覚した「偽大学」約400校を公表した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 23日付中国紙「北京青年報」によると、これら「偽大学」は実体がないのにインターネット上で学生を募集し、本物の大学と思って申し込み、学費などをだまし取られるケースもある。「北京同済医科大学」はホームページで、「1983年に設立された新しい実用型の医学学校」と説明していたが、所在地は北京の架空の住所だった。

 また、江蘇省南京の学生は約1万元(約17万円)の学費を払い「上海工程管理学院」のネット通信教育を受講したが、後に偽の大学と判明した。この機関は13年以降、5回にわたって偽大学を公表しており、公表された偽大学のほとんどはホームページがすでに閉鎖されている。米国など海外でホームページを設立しているケースが多く、当局の摘発を逃れるためとみられる

 ただし、昇進などで有利となるよう、偽大学と知りながら架空の卒業証書を購入する人たちも後を絶たず「偽大学がはびこるのを助長している」(北京青年報)という。

 

免税品売り上げ減中国関税引き上げ影響か

2016年05月23日

 日本百貨店協会は、4月の全国百貨店の免税品売り上げが3年3カ月ぶりに前年実績を下回った、と発表した。同協会は円高傾向に加え、中国政府が海外で購入した商品に課す関税を引き上げたことから訪日中国人観光客の「爆買い」が減ったことが影響したとみている。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 4月の免税品売り上げ減は、前年同月比で9.3%減となった。特に宝飾品や時計といった高額品が不振だった。訪日外国人の購買客数は7.8%増と好調を維持したが、1人当たりの 購買額が15.9%減となった。日本百貨店協会の近内哲也専務理事は「購買単価が下がっており、今後も前年割れが続くだろう」と述べ、爆買い需要はピークを過ぎた可能性があるとの見方を示した。

 中国政府は4月、中国国内での買い物を促すため、海外から中国内に持ち込む商品への関税を引き上げた。中国財政省によると、高級腕時計の税率はこれまでの30%から60%に、酒や化粧品などの税率は50%から 60%に引き上げた。

 

加工貿易産業を中・西部へ移転 商務省報道官がメリット強調

2016年05月20日

 中国商務省の報道官が、加工貿易企業の中・西部への移転を進める必要があるとの考えを表明した。チャイナ・ウオッチが北京発の新華社=共同通信電として伝えた。

 中国商務省の沈丹陽報道官は17日の同省定例記者会見で、中・西部が海外(域外)からの投資を直接呼び込み、東部地域は移転に伴う空き地を商業、観光、高齢者介護などの分野の用途に変更することができる、と移転のメリットを語った

 沈報道官によると、加工貿易企業は地球規模で見ると、「渡り鳥」のようにコストの窪地を探して定住している。現在、中国東部の加工貿易はタイプ転換・高度化のただ中にあり、一部の産業が周辺国に移転している。「われわれは(加工貿易企業の)海外への移転が幾らか減り、ペースダウンすることを望んでいる。できる限り加工貿易を国内にとどめ、その土台をつなぎ止めたい」と述べるとともに、「移転誘導政策は世界貿易機関(WTO)のルールに合致すべきで、環境保護基準を厳格にコントロールし、市場参入条件を厳格にしなければならない」とも沈報道官は語った。

 沈報道官によると、加工貿易が中国の対外貿易規模に占める割合はいったん53%前後に達した。しかし、現在この割合は 30%前後と大幅に下がっており、これが現在、対外貿易総規模の伸びが比較的低迷している主な原因の一つとなっている。国務院は最近「対外貿易の持ち直しと好転の促進に関する若干の意見」を配布し、貿易の革新的発展を促進するため努力する必要があることを強調した。加工貿易の発展と加工貿易に対する支援は、国務院が講じる必要があるとした措置の一つだ、と沈報道官は言っている。

 

2020年までに飛行場500カ所以上建設

2016年05月19日

 ヘリコプター、プライベートジェットなど一般航空機を増やすため、2020年までに一般航空機用飛行場を500カ所以上建設する方針を、中国国務院弁公庁が打ち出した。チャイナ・ウオッチが新華社=共同通信電として伝えた。

 中国国務院弁公庁が発表した「ゼネラル・アビエーション(一般航空)業の発展を促進する指導意見(ガイドライン)」によると、2020年までに市場規模を1兆元(約17兆円)余りにするとしている。市場育成、空港建設、産業のタイプ転換・高度化、低空域の開放拡大、安全の監督管理を重点的取り組みとして挙げ、飛行場建設のほか、20年までにヘリコプター、プライベートジェットなど一般航空機の数を5,000機以上に増やし、年間飛行時間を200万時間以上にするという目標を掲げている。

 開拓する市場としては、災害救援や医療救護、農林業、環境モニター、国土調査、資源探査、観光、スポーツへの利用などを挙げた。中国の一般航空機の数は昨年段階で1,874機、利用可能な飛行場は300カ所余りとなっている。

 

起業・イノベーションモデル拠点28カ所指定

2016年05月18日

 中国国務院弁公庁が、起業・イノベーションを促進するためモデル拠点建設を系統的に進める方新を明らかにした。チャイナ・ウオッチが、新華社=共同通信電として伝えた。

 中国国務院弁公庁が発表した「大衆起業・万民革新モデル拠点建設に関する実施意見」によると、起業・革新(イノベーション)を推進し、新経済(ニュー エコノミー)の発展を加速し、発展の新エネルギーを育て、発展の新エンジンを築く。また、起業・革新モデル拠点の模索と先行試行を支援し、市場主体の発展空間拡大、知的財産権保護の強化、科学技術成果の商品化加速、財政・租税支援の強化、起業・革新人材の流動促進、共同革新・開放共有の強化などの面の改革にも力を入れるとしている。

 第1次起業・革新モデル拠点 28 カ所は次の通り。

1.地域モデル拠点(17 カ所)=北京市海淀区、天津市濱海新区中心ビジネス区、遼寧省瀋陽市渾南区、上海市楊浦区、江蘇省常州市武進区、浙江省杭州市余杭区浙江杭州未来科学技術城(シティー)、安徽省合肥ハイテク産業開発区、福建福州新区、河南省鄭州航空港経済総合実験区、湖北省武漢東湖新技術開発区、湖南湘江新区、広東省広州高新技術産業開発区科学城園区、広東省深セン市南山区、重慶両江新区、四川省成都市ヒ(卑+こざとへん)県、貴州貴安新区、陜西西咸新区。

2.大学・研究機関モデル拠点(4カ所)=清華大学上海交通大学南京大学四川大学

3.企業モデル拠点(7 カ所)=中国電信集団公司、中国航天科工集団公 司、招商局集団有限公司、海爾集団公司、中信重工機械股份有限公司、共享装備股份有限公司、アリババ集団。

 

中国の商業銀行不良債権比率1.75%に上昇=3月末

2016年05月17日

 チャイナ・ウオッチが北京発新華社=共同電として報じるところによると、中国の商業銀行の今年第1四半期末(3月末)の不良債権残高は1兆3921億元で、前四半期末(昨年12月末)に比べ1177億元増え、不良債権比率は1.75%で、0.07ポイント上昇した。中国銀行業監督管理委員会(銀監会)が12日発表したデータで明らかになった。

 中国の商業銀行は債権を正常、注意、不良、危険、損失の5段階に分け、前二つを正常、後三つを不良に分類している。3月末は正常に分類されたものが78.3兆元で、うち正常が74.1兆元、注意が3.2兆元。注意は、当面返済能力はあるが、返済に支障が出る可能性のあるもの。

 銀監会は次のように説明した。現在、銀行業全体のリスク対応能力は安定し、信用リスクによる減損に対し、比較的十分準備している。第1四半期末、商業銀行の貸倒引当金残高は2兆4367億元で、前四半期末に比べ1278億元増えた。貸し倒れ引当カバー率は175.03%で、前四半期末に比べ6.21ポイント下がり、貸し倒れ引当率は3.06%で、前四半期末に比べ0.02ポイント上がった。

 貸出先別に第1四半期末の貸出残高をみると、農業関連が前年同期比9.2%増の26.8兆元、小規模・零細企業向けが13.5%増の24.3兆元、クレジットカード消費向けが20.4%増、低所得者福祉的住宅事業向けが63%増となっている。商業銀行の利益は第1四半期が6.23%増の4716億元だった。

 データによると、第1四半期末、中国銀行業金融機関の国内外の人民元・外貨建て資産総額は208.6兆元で、前年同期に比べ16.7%増え、負債総額は192.5兆元で、16.1%増えた。

 

アップルが中国の配車アプリ最大手に10億ドル出資

2016年05月16日

 米国のアップル社が、中国の配車アプリ最大手の滴滴出行に10億ドル(約1,090億円)を出資することになった。チャイナ・ウオッチが、上海発共同通信電として報じた。

 滴滴出行は13日、アップルの出資を受け入れた、と発表した。中国メディアによると、資金は人工知能(AI)やビッグデータ関連の技術開発に使われるという。

 アップルは電気自動車(EV)や自動運転車を開発中とされる。一方、滴滴出行は、スマートフォンを使った配車サービスで圧倒的なシェアを中国国内で誇る。

 

消費財の品質向上、ブランドづくり 国務院常務会議が具体策

2016年05月13日

 中国の李克強首相が国務院常務会議を招集し、消費財製品の品質向上、ブランドづくりを促す具体的方策を確認した。チャイナ・ウオッチが新華社=共同通信電として伝えた。

11日開かれた国務院常務会議では、消費財工業の高度化を促し、消費の経済発展と産業タイプ転換に対する鍵となる役割を発揮させることが構造改革、特に供給サイドの構造改革を推進し、内需を拡大するうえでの重要な措置であることが確認された。悪貨が良貨を駆逐する状況を防止することなどを狙い以下のような手配が行われた。

1、市場参入の仕組みを整え、不必要な審査・認可およびリストと不合理な費用徴収を廃止し、安全、環境保護、エネルギー消費などの条件を厳格にし、企業のアイデア・デザイン、科学技術レベルと性能の向上などの面で工夫し、大衆消費財の革新(イノベーション)と有効供給を促進する。

2、最善を尽くす職人精神を育て、発揚し、企業が品質を優先し、信用至上とする経営理念を打ち立て、大衆消費財の生産で「品質革命」を推進するよう指導し、「メード・イン・チャイナ」を「優良ブランド」に前進させ、大市場を獲得する。

3、公平な競争が行われるビジネス環境を築き、国内の消費財と国際基準とのリンクを図り、原材料調達から生産、販売までの全過程の質的管理を強化するよう企業を指導し、製品認証と第三者品質検査を推進し、欠陥製品の回収制度を厳格に実施する。中国の老舗ブランドの伝承・高度化を推進し、企業の新ブランド育成を支援する。

4、監督管理を強化し、「検査対象と検査員を無作為に選び、公開する」監督管理方式を全面的に推進し、企業のブラックリストを作成し、懲罰的な巨額の賠償を科すなどの制度をつくり、知的財産権保護措置を整え、 偽物や不良品を厳しく取り締まり、悪貨が良貨を駆逐する状況を防止する。品質を持続的に高め、国産消費財の品質に対する人々の信頼度とブランド認知度を高める。

 

地表水と地下水従量課税に 資源税改革推進を発表

2016年05月12日

 中国財政省、国家税務総局が10日、7月1日から全面的に資源税改革を推進すると発表した。水資源高消費産業と計画超過の水使用、地下水の超過取水地域での地下水の取水に対し、税額基準を適切に引き上げる、などとしている。5月1日からの営業税の増値税転換試行全面推進に続く重大な税制改革となる。チャイナ・ウオッチが新華社電として伝えた。

両官庁が発表した「資源税改革全面推進に関する通知」によると、中国は今後、水資源税改革試行作業を展開するが、それに先駆けてまず河北で試行を行う。水資源の費用を税に転換する方式で、正常な生産用水、生活用水に対しては現行の負担水準を変えない。試行の経験を総括した上で、両官庁が他の地域を選び、徐々に試行範囲を拡大し、条件が成熟した後に全国で展開する。

 その他の自然資源も徐々に課税範囲に組み込む。森林、草原、砂浜などの資源の各地域の市場での開発利用状況が異なることを考えると、全面的な資源税徴収の条件はまだ成熟していない。今回の改革は、森林、草原、砂浜に対する全国規模での統一した資源税課税ではないが、課税条件を満たした地域に対しては、権限を付与された省レベル政府が地域の実情に応じ、森林、草原、砂浜などの資源開発利用状況に基づき、資源税課税の具体的プランの提案を国務院に提出し、承認された後に実施する。

 中国は今後、従価税方式を全面的に推進する。原油、天然ガス、石炭、レアアース、タングステン、モリブデンの6品目の資源税ですでに実施している従価税改革を基礎として、今回の改革では大部分の鉱産物で従価税を実施するが、税の徴収・管理の円滑化の原則から出発し、経営が分散し、現金取引が多く、管理の難しい粘土、砂石など尐数の鉱産物は従量税を実施する。

 今後全面的に費用基金を整理し、企業の税と費用の重複の問題を解決する。今回の改革は全ての資源品目鉱産資源補償費の費用率をゼロにし、価格調節基金の徴収を停止し、地方が規則に違反して設けた鉱産資源の費用基金を取り締まり、企業の負担を効果的に減らす。各地域の資源条件、経済発展水準の格差などに鑑み、統一税率が企業の構造的負担を増やすことを避けるため、今回の改革は中央が統一して鉱産物の税率の幅を規定する。規定の税率幅の中で、省レベル人民政府は主要課税製品に対し具体的な適用税率を提案することができ、財政省、国家税 務総局が許可した後に実施する。

 

新市街地建設されても経済は先行き不安 地震から8年の四川省北川県

2016年05月11日

 8万7千人を超す死者・行方不明者を出した中国・四川大地震から12日で8年。市街地が壊滅的被害を受けた四川省綿陽市北川県では、新市街地が建設されたものの住民たちは経済の先行きに不安を抱えている。チャイナ・ウオッチが共同通信の現地ルポとして伝えた。

 北川県は、約1万5,600人の死者、約4,400人の行方不明者を出した。ほぼ全ての建物が倒壊した旧市街地を保存し一般公開している。1階部分が完全に押しつぶされ、壁に大きな亀裂の入った3階建てのビルなどが、当時の様子を今に伝える。政府は計約121億元(約2千億円)を投じて、約20キロ離れた場所に新たな市街地を建設、住民を移住させた。新市街地は「行政」「商業」「居住」の3地区に分かれ、居住区には6階建ての住宅が整然と並び、幼稚園に子どもを迎えに来た親やお年寄りでにぎわっていた。

 「新しい住宅は耐震措置も施され安心だ。手抜き工事で雨漏りしたり下水が詰まったりするけどね」。地震で倒壊した建物の下敷きになり40歳の娘を亡くした男性(76)は笑顔を見せた。毎年命日に旧市街地にお参りに行く。

 一方、行政区には民俗博物館や図書館など立派な建物が並ぶが、車も人通りもほとんどない。四川省の省都、成都出身の40代の運送業男性は、「小さな街には不釣り合い。政府のメンツ優先の復興計画だ」と皮肉った。 2011年にオープンした商業区も平日は客の姿がほとんどない。ホテルは倒産して競売に掛けられ、土産物屋などの看板が残ったままの空き店舗が目立つ。商業区の中心にある入場料1人10元の展望台は、多い日でも客は十数人という。 地元当局は、15年の観光客数は北川県全体で延べ約400万人に上ると説明、発展ぶりをアピールする。だが商業区で働く地元の少数民族、チャン族の30代男性は「オープンして2~3年はにぎわったけど、今は週末や連休以外に客は少ない。商業区の観光客は年々減っているのではないか」と嘆いた。

 

夏にも6年ぶりの日中閣僚経済対話

2016年05月10日

 夏にも6年ぶりとなる日中閣僚経済対話が東京で開かれる可能性が出てきた。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 日本政府筋が9日明らかにしたところによると、日中両国の重要閣僚による「日中ハイレベル経済対話」に向けて中国側と調整に入った。4月末の外相会談で両政府間の対話加速で一致したことを受けての動き。菅義偉官房長官は同日の記者会見で「(岸田文雄外相による)約4年半ぶりの中国訪問は極めて有意義だった。この成果を踏まえハイレベル経済対話の早期開催へ調整したい」と述べた。

 日本側から麻生太郎副首相兼財務相や岸田氏、中国からは汪洋副首相や高虎城商務相ら複数の重要閣僚の出席が見込まれる。議題は、財政出動による景気浮揚策の効果や政策協調の可能性、中国で需要が高い環境分野での日中協力などを想定している。6年ぶりの経済対話で世界経済の安定成長確保へ両国の協調を確認し、安倍晋三首相が提唱する積極的な財政出動を中国にも求め、さらに経済面での連携強化をてこに関係改善を図り、中国で9月に想定される首相と習近平国家主席の首脳会談へ弾みをつけたい考えだ。

 経済対話は2007年12月に北京で初会合が開かれ、10年に北京で3回目の会合を開いて以降、沖縄県・尖閣諸島を巡る日中対立が原因で、開催できない状態が 続いていた。

 

上海の中高生が募金=熊本支援で寄せ書きも

2016年05月09日

 日本語教育に力を入れている上海市甘泉外国語中学(中国上海市)の生徒が6日、熊本地震の被災地の人々を支援しようと募金活動を通じて集めた寄付金6千元(約9万9千円)と寄せ書きを片山和之駐上海総領事に手渡した。チャイナ・ウオッチが上海発共同電として報じた。

 中高一貫校の同中学は全校生徒約1500人のうち約800人が日本語を学んでおり、地震発生後、生徒が自主的に募金活動を開始。

 熊本県のPRキャラクター「くまモン」をあしらった手作りの募金箱を持って教室を回り、寄付金を集めた。また応援メッセージを紙に書き、日本語で「熊本がんばれ」などと励ますメッセージビデオも作った。全校生徒の大半が募金に応じたという。

 6日は2人の高校生が日本総領事館で片山総領事に寄付金と寄せ書きを手渡し、ビデオメッセージが映された。

 募金活動を呼び掛けた高校2年生の陳雪瑩さん(17)は「自分ができることをしたいという気持ちから始めた。『熊本がんばれ』と伝えたい」と話した。

 

中国児童の手術支援へ基金=上海日本商工クラブ

2016年05月06日

 中国上海に進出している日本企業などでつくる上海日本商工クラブは、家庭が経済的に困難な状況にある中国児童の股関節矯正手術費用などを補助するための基金設置を決め、4日、上海市児童健康基金会との間で協定書に署名した。チャイナ・ウオッチが上海発共同電として報じた。

 商工クラブの社会貢献活動の一環として同基金会の中に「桜の花基金」を設置し、2018年までの3年間、毎年30万元(約490万円)ずつ計90万元を寄付。股関節や斜視の矯正治療、手術費用に充てる。対象児童は毎年約50人、計約150人になる見込み。

 商工クラブは、安徽省の貧困地区で小学校を建設する支援活動を行ってきたが、過疎化に伴う児童数減少などを受けて終了し、後継事業として基金設置を決めた。

 

マレー新幹線、日本が官民でPR=地元メディア「中国優勢」

2016年05月02日

 国土交通省の山本順三副大臣は4月29日、マレーシアとシンガポールを相次いで訪れ、両国を結ぶマレー半島高速鉄道計画に新幹線方式を採用するよう直接働き掛けた。この日はクアラルンプールで日本、マレーシア両政府やJR東日本が共催する新幹線シンポジウムも開かれ、官民が一体となって売り込んだ。チャイナ・ウオッチがクアラルンプール発共同電として報じた。

 高速鉄道を巡っては、マレーシアの終着駅を含む首都再開発に中国の鉄道建設大手、中国中鉄が昨年末に参画。マレーシアのメディアは「中国が先頭走者」(スター紙)といった中国優勢の観測を伝えており、日本勢は巻き返しに懸命だ。

 シンポジウムで山本氏は「新幹線は開業以来、半世紀以上、乗客の死者がゼロという記録を続けている」と述べ、ライバルの中国を念頭に、新幹線が安全面で最も優れていると強調。また、マハティール元首相が提唱した、日本に学ぶルックイースト政策によって「両国には強い絆がある」と訴えた。

 山本氏はこの日、マレーシア側の責任者を務める陸上公共交通委員会のサイドハミド議長と昼食を共にした。シンガポールではジョセフィン・テオ上級国務相(運輸担当)と会談。人材育成などを含めた費用対効果でも日本が他国より優れていると説明した。

 会談後、サイドハミド氏は「最も重要なのは費用ではなく、安全性だ」と強調。ただマレーシア人記者が「日本が有利なのか」と質問すると、「同様のシンポジウムは中国や韓国、英国、フランスとも行っており、どの国に発注するかは白紙だ」とけむに巻いた。