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第4節 産学官連携、イノベーション、外資導入などの状況

第3項 外資導入等

 2006年11月現在、中国に設立された外資系企業は59万社近くで、外資利用実績は6766億ドルに達した。中国に投資している国と地域は200近くにのぼり、世界の大企業500社の内、約480社が中国に投資している。

 第10次5カ年計画期(2001~2005年)の外資利用実績は2861億ドルを超え、第9次5カ年計画期(1996~2000年)の1.34倍に達した。外国企業による投資は中国の固定資産投資総額の約8.5%を占めている。外資系企業の工業付加価値額は年平均約30%増加し、工業付加価値額全体に占める割合は2001年の24.57%から2005年に28.57%に増加した。

 また、外資導入はハイテク産業の発展を促している。2006年11月末までに外国企業が中国に設立した研究開発機関は800カ所を超えた。国連貿易開発会議(UNCTAD)の調査によると、中国は多国籍企業が研究開発(R&D)センターを優先的に開設する国になっている。第10次5カ年計画期には、ハイテク製品輸出は4.7倍に増加した。内外資系企業のハイテク製品輸出は2001年の378億ドルから2005年には1920億ドルに増加し、中国のハイテク製品輸出総額の86.2%を占めている[5]

 そのような状況の中で、2007年現在、国家ハイテク産業開発区に進出した「三資企業」は前年の6968社から7828社に増えた。また、2006年現在、53の国家ハイテク産業開発区が受け入れた外商投資金額の累計は760.8億ドルであり、全国の外商投資金額の10分の1を占める。中でも長江デルタにおける投資額が最も多く、全体の41.2%を占めた。

 2008年9月末現在、大連国家ハイテク産業開発区の新区における企業誘致は健全で急速な発展を実現し、大きな成果を上げた[6]。外資導入に関しては、同年に新たに設立された外資系企業は46社に上り、登録資本金は4億500万ドルに達し、実行ベース外資導入額は3億4千万ドルで前年同期比26.9%増となった。世界企業上位500社の進出が目立ち、アメリカのアプライドマテリアルズ(AMAT)やシスコシステムズなど6社が進出した。上位500社によるプロジェクトは55件に上り、この内、ソフトウェア・情報サービス業関連のものは43件で、同区の産業レベル向上を促進している。

表3.3 国家ハイテク産業開発区に立地する企業の分類
項目 企業数(社) 営業総収入(億元) 工業総生産高(億元) 輸出収入(億米ドル)
国有企業 1,046 4,309.1 3,443.7 40.5
集団所有企業 671 762.1 726.4 17.5
株式企業 23,382 22,723.0 17,181.0 269.5
三資企業 7,828 24,208.2 20,945.5 1,371.1
その他企業 15,185 2,922.7 2,080.4 29.6
合  計 48,472 54,925.2 44,376.9 1,728.1
出典:中国タイマツハイテク産業開発センター
表3.4 国家ハイテク産業開発区の地域別の外資導入状況(2006年、単位:億米ドル)

地域

年度末累計 単年度実際
2005年 2006年 2005年 2006年
開発区合計 618.8 760.8 99.4 108.4
西部地域 37.4 54.1 8.9 12.3
占める割合 6.0% 7.1% 9.0% 11.4%
東北地域 69.4 79.9 14 10.5
占める割合 11.2% 10.5% 14.1% 9.7%
長江デルタ 273.2 313.5 39.8 41.4
占める割合 44.2% 41.2% 40.0% 38.2%
珠江デルタ 54.9 59.7 6.2 7.5
占める割合 8.9% 7.8% 6.2% 6.9%
環渤海地域 200.9 231.6 32.3 31.4
占める割合 32.5% 30.4% 32.5% 29.0%
出典:中国タイマツハイテク産業開発センターからの情報をもとに技術経営創研が作成

 常州国家ハイテク産業開発区には、日本の東芝、日立製作所、富士通、三菱電機などが進出している。蘇州国家ハイテク産業開発区には、島津製作所、新日本石油、富士通、住友電気工業、パナソニックなどが進出している。また、大連国家ハイテク産業開発区には、住友電装、日本電気、三洋、豊田工機などが、天津国家ハイテク産業開発区には、トヨタ、NEC、ヤマハをはじめ、多くの日系企業が進出している。

 中国政府の統計によれば、2006年度に54の国家ハイテク産業開発区の中で、ハイテク産業の工業生産高が400億元を超えた開発区は14カ所しかなかった。しかし、2007年度では、ハイテク産業の工業生産高が600億元を超えた開発区が26カ所に上った。また、54の国家ハイテク産業開発区の営業収入の合計は5兆元を突破し、前年比で26.8%増となった[7]。中国における国家ハイテク産業開発区は全体的に高成長を続けている。

 一方、全国人民代表大会財経委員会の石広生副主任は2007年12月16日、北京で開かれた「第9回中国経済学者フォーラム」で、「中国は、外資導入の質とレベルを高めることを加速する」と述べ、「中国は外資の導入について、ハイテク産業や先端製造業、環境保護産業への投資を一層奨励する一方、エネルギーの消費が大きく、汚染物の排出が多い産業への投資を厳しく禁止する。また、外資系企業が中国で研究開発センターを設立することを促していく」と述べた。

 また、2007年4月22日、中国商務部は公式HPで、「2008年全国外商招致業務指導意見」を発表し、外資系企業による機械設備の製造や、新材料製造など、ハイテク産業への投資、また、ベンチャー企業の設立を奨励する方針を明らかにした。

 同「指導意見」では、今後、政府は産業政策、財政・税制面での政策実施を通し、外資系企業に技術研究開発を促し、知的財産権の現地化を推進させる姿勢を示している。また、商務部は、鉄鋼、セメント、電気分解アルミニウム、不動産などの分野へ投資する外資系企業に対し、引き続きエネルギー消耗、汚染物排出管理を強化していく考えであり、中国における外資導入政策は大きな転換期に入ったと言える。


[5] 新華社「中国の外資利用実績累計6766億ドルに」2006年12月21日。

[6] 人民日報「大連ハイテク新区、世界500企業の進出相次ぐ」2008年12月7日。ちなみに、国内資本によるプロジェクトは136件、投資総額は70億7300万元に上り、前年同期比48.4%増加した。内、衆利信息、東軟創業投資、怡亜通供応鏈管理等13件で投資額が1億元を超えた。同区では、ソフトウェア業や情報サービス業の発展が急速で、売上高が1千万元を超えるソフトウェア企業は57社に及び、前年同期比11社増加した。

[7] 国家統計局・国家発展改革委員会・科学技術部編著『中国高技術産業発展年鑑』(2008年版)。

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