高等教育重点化政策
高等教育は、国家の科学技術革新と経済成長に大きな意味を持っており、その一環として、中核的な役割を果たす人材育成は極めて重要である。
中国では、文化大革命終わりの1977年から、大学生の募集が再開された。ところが、1990年代半ばまで、大学数と大学生数はいずれも増加したが、国民の進学ニーズに満足できず、大学に進学できたのは少数であり、大学は長期にわたってエリート教育段階(進学率15%以下)にとどまっていた。
1990年代後期に入って、中国は急速な経済発展を遂げるとともに、社会・国家からの高度な専門・技術人材の要請、国民の進学ニーズの向上、大学の募集人数の大幅の増加によって、2002年に大学進学率が15%に達し、中国の高等教育は大衆教育段階に入った。2007年の大学進学率は23%にまで伸びている。
1990年 | 1995年 | 2000年 | 2001年 | 2002年 | 2003年 | 2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | |
入学者数(万人) | 60.9 | 92.6 | 220.6 | 268.3 | 320.5 | 382.2 | 447.34 | 504.5 | 546.1 | 565.9 |
在学者数(万人) | 206.3 | 290.6 | 556.1 | 719.1 | 903.4 | 1108.6 | 1333.5 | 1561.8 | 1738.8 | 1884.9 |
卒業生数(万人) | 61.4 | 80.5 | 95.0 | 103.6 | 133.7 | 187.7 | 239.12 | 306.8 | 377.5 | 447.8 |
高等教育機関への進学率 | 3.4% | 7.2% | 12.5% | 13.3% | 15% | 17% | 19% | 21% | 22% | 23% |
このように高等教育機関が多くの国民に開かれた一方、中国では少数の大学と学科に対して重点的に資金配分する重点化戦略が堅持、強化されてきた。中国では、高 等教育機関における人材政策が主に重点化戦略を中心に展開されてきた。
エリート校建設に向けた計画:
中国では、特に選ばれた大学や学科に対して重点的な支援が行われている。その典型は下記のプロジェクトである。
- 107の大学を優先的に支援するプロジェクト。21世紀に向けて、100余りの大学を重点的に発展させることから、「211プロジェクト」との名称がついた。
- 「211プロジェクト」の指定校のうちの38の大学をさらに重点的に支援するプロジェクト。1998年5月に提言されたことから、「985プロジェクト」との名称がついた。
- 一部大学・学科に重点的に投資するプロジェクト。教育部主導で1988年よりスタート。
- 大学でのハイレベル研究拠点の形成を目指すプロジェクト。「世界のトップ100の大学・研究機関から、1 000人以上の科学者を招き国内の優秀な研究者との合同研究チームを結成する。また、中 国全土にこうしたチームを約100ヶ所設立する」ことから、「111プロジェクト」の名称がついた。
- 111プロジェクト・リスト(2006年選定)
- 111プロジェクト・リスト(2007年選定)
※2008年3月調査現在