第27回CRCC研究会「中国の科学技術力について(総論編)」/講師:林幸秀、阪彩香 (2010年3月18日開催)
科学技術振興機構(JST)中国総合研究センター(CRC)の主催により、3月18日(木)「中国の科学技術力について」の4回シリーズ研究会の第一回目としてJSTにおいて開催されました。
中国の経済発展は驚異的であり、それに伴って従来遅れているといわれていた科学技術力も急激に上昇しています。JST中国総合研究センターでは、中国の科学技術力について、出 来るだけ客観的な調査を2008年に続いて実施し、2冊の報告書「中国の科学技術力(総論編)」、「中国の科学技術力(ビッグ・プロジェクト編)」を纏めました。この報告書内容のご紹介とともに、当 センターの今後の調査への指針を議論いただくことを目的として、全4回シリーズ研究会を計画いたしました。今回の研究会は「中国の科学技術力について(総論編)」の概要と科学技術一般について、調査・編 集に携わった独立行政法人宇宙航空研究開発機構副理事長・林幸秀氏、文部科学省科学技術政策研究所研究員・阪彩香氏の2名に講師として講演をいただきました。
林幸秀氏は1948年富山県で生まれました。東京大学工学系大学院修士課程(原子力工学専攻)卒業後、旧科学技術庁に入庁しました。在米国日本国大使館参事官(科学技術担当)、文化庁審議官(著作権・国 際担当)、文部科学省科学技術・学術政策局長、内閣府政策統括官(科学技術政策担当)等を経て、文部科学省文部科学審議官に就任されました。2008年退官後、独 立行政法人宇宙航空研究開発機構副理事長に就任され、同時にJST研究開発戦略センター特任フェローを兼務されています。また、阪 彩香氏は2004年3月に東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻にて生命科学博士を取得しました。その後、日本原子力研究所博士研究員、文部科学省科学技術政策研究所特別研究員を経て、2005年4月より、文部科学省科学技術政策研究所研究員に就任しました。現在、第3期科学技術基本計画フォローアップ調査や、基礎研究を中心とした各国の研究活動のベンチマーキング、基 礎研究を俯瞰的に把握する手法開発に従事しています。
講演は冊子の構成に従って、第一部のエグゼクティブ・サマリー、第二部の科学技術のリソース、第三部の科学技術のアウトプットおよび第四部の科学技術力のベンチマークの4テーマに関し、中国の研究開発費、研究人材の構成、研究論文数、中国の先端科学技術の現状、特許出願状況、輸 入入出額の増減などさまざまな角度から中国の科学技術の現状ついて説明および分析されました。と くに第四部のベンチマーキングの講演では、a 延べ350名以上の日本の各分野の専門家を動員し、日本、米国、欧 州、中国、韓国の電子情報通信、ナノテクノロジー・材料、先端計測技術、ライフサイエンス、環 境技術及び臨床医学の六分野の研究水準、技 術開発水準、産業技術力について比較しました。先端技術でみると、中 国の科学技術力はまだ途上にあることがうかがえますが、部分的に突出してくるテーマが出てくる気配はあります。ま た研究開発につぎ込む国の予算も、年々増加しており、海 外で実績をあげた研究者の帰国も相次いでおり、中国の上昇機運はまだ当分、続くでしょうと大変興味深い結果となっています。
講演後の質疑応答では活発なご議論をいただき、非常に有意義な研究会となりました。最後に中国総合研究センター・細川参事役の挨拶により閉会いたしました。
今回の研究会は、多くの官公庁および、企業、大学、研究機関、報道機関、JST関係者のご参加をいただきました。この場を借りて、謝意を述べさせていただきたく存じます。今 後も皆様のお役に立てるよう各種研究会を企画、開催してまいりたいと存じます。引き続き皆様の温かいご支援、ご協力をお願い申し上げます。
- 「 第一部エグゼクティブサマリー」 ( 93KB )
- 「 第二部科学技術のリソース」 ( 262KB )
- 「 第三部中国の科学技術力について」 ( 3248KB )
- 「 第四部科学技術力のベンチマーク」 ( 160KB )