その他イベント関連報告&資料
トップ  > イベント情報>  その他イベント関連報告&資料 >  研究会「中国研究を支える学術情報データベースのあり方」(2016年1月21,22日)開催報告

研究会「中国研究を支える学術情報データベースのあり方」(2016年1月21,22日)開催報告

テーマ: 中国研究を支える学術情報データベースのあり方」

主 催:
国立研究開発法人科学技術振興機構(JST) 中国総合研究交流センター
同方知網(北京)技術有限公司

後 援: 中国駐日大使館文化処・株式会社東方書店

言 語: 日本語・中国語逐次通訳

東京会場

日 時: 2016年1月21日(木)14:00時~18:00時(13:30受付開始)

会 場: 国立研究開発法人科学技術振興機構 東京本部本館 B1大会議室

プログラム:

14:00-14:10  主催者あいさつ

沖村 憲樹 科学技術振興機構特別顧問

14:10-14:30  基調講演

毛里 和子 早稲田大学名誉教授
「高度・急速情報に研究は追いつけるのか」

14:30-15:10  基調講演

関  暁嵐 同方知網(北京)技術有限公司、海外知識服務公司 副総経理
「グローバルにおけるCNKI学術情報データベースの影響力と展望」

15:10-15:20  休憩

15:20-16:30  パネルディスカッション

【モデレータ】

倉澤 治雄 科学技術振興機構 中国総合研究交流センター 上席フェロー

【パネリスト】

川島 真  東京大学大学院総合文化研究科教授
御手洗 大輔 早稲田大学法学学術院招聘研究員
石川 晶   科学技術振興機構 中国総合研究交流センター フェロー
関  暁嵐  同方知網(北京)技術有限公司、海外知識服務公司 副総経理

16:30-16:55  質疑・応答

17:00-18:00  懇親会(同会場)

京都会場

日 時: 2016年1月22日(金)13:30時~16:00時(13:00受付開始)

会 場: キャンパスプラザ京都 2階第一会議室

プログラム:

13:30-13:40  開会あいさつ

欧陽 安  中国駐日本大使館文化処一等書記官

13:40-14:20  基調講演

関  暁嵐 同方知網(北京)技術有限公司、海外知識服務公司 副総経理
「グローバルにおけるCNKI学術情報データベースの影響力と展望」

14:20-14:50  講演1

厳  善平 同志社大学グローバル・スタディーズ研究科教授
「グローバル時代における中国知網の役割とあるべき姿」

14:50-15:00  休憩

15:00-15:30  講演2

石川 晶  科学技術振興機構 中国総合研究交流センター フェロー
「中国・アジア研究論文データベースについて」

15:30-16:00  質疑・応答

データベースを活用した中国研究の現状と未来への問題提起
―「中国研究を支える学術情報データベースのあり方」研究会

中国総合研究交流センター

 国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)中国総合研究交流センター(CRCC)は中国研究関連のデータベースをテーマに「中国研究を支える学術情報データベースのあり方」研 究会を東京と京都で2日間にわたり行った。

 1月21日、東京千代田区のJST東京本部本館B1大会議室で1日目の研究会が開催された。

 沖村憲樹・JST特別顧問は開会あいさつで、日本の中国研究を発展させるためにはデータベースの充実が不可欠であると強調した。

 基調講演では毛里和子・早稲田大学名誉教授が自身の卒業論文・博士論文を執筆した時代を回顧し、現代ではデータベースが発達したが、それでもアナログな資料もその重要性は全く失われていない点を指摘し、ま た無料もしくは低額のデータベースサービスの充実が特に学生・若手研究者には必要である点などを論じた。

 続いて本研究会を共催する同方知網(北京)技術有限公司から関暁嵐・海外知識服務公司副総経理が登壇し基調講演を行った。関副総経理は、C NKIのこれまでの実績や今後の海外展開などの将来的なビジョンを明らかにした。

 パネルディスカッションでは倉澤治雄・CRCC上席フェローがモデレータを務め、川島真・東京大学大学院総合文化研究科教授、御手洗大輔・早稲田大学法学学術院招聘研究員、関副総経理および石川晶・C RCCフェローがパネリストとして登壇し、CNKIをはじめとした中国研究関連のデータベースを中心に議論を進めた。

 川島教授は、現代では膨大なデータベース化された資料へのアクセスが可能かどうかによって研究環境が大きく変わってしまう点、例 えば研究費の比較的潤沢な東京の大学と厳しい状況にある地方の大学でデータベースサービスへの「アクセス権」に格差が出てくる可能性に危機感を抱いていると述べた。また昨今、日 本の研究成果を英語化することが叫ばれているが、日本語の研究成果さえ満足な電子化が出来おらず、そのために日本の研究が海外で「消費」されないという大きな問題があると訴えた。

 御手洗研究員はCNKIのサービスは、「知のインフラ化」「知の構造化」の手段であり、サービスの応用によって論理構造を議論していくことができる新しい研究・学 術交流の仕方を提供してくれるのはないかと示唆した。

 石川フェローからはCRCCが新たに始める中国研究論文のプラットホームである「中国・アジア研究論文データベース」の説明があり、こ のサービスの開始によって日本の中国研究の成果を世界中からアクセスが可能になり、日本の中国研究に関する情報発信力が他国のそれとの差を埋めるきっかけになると期待を込めた。

写真1

写真1 東京会場の様子

 翌22日、場所を京都(会場:キャンパスプラザ京都2階第一会議室)に移し、2日目が開催された。

 開会あいさつでは中国大使館の欧陽安・一等書記官がスピーチを行い、日中両国のデータベース事業に対する取り組みを評価するとともに、更なる発展の必要性を説いた。

 同方知網の関副総経理らによる基調講演の後、同志社大学グローバル・スタディーズ研究科の厳善平教授が「グローバル時代における中国知網の役割とあるべき姿」講演を行った。厳 教授はCNKIのサービスの優れた点を幾つも指摘する一方、その便利さゆえに学生が書くレポートや論文が均質化してきている点を問題視した。また中国研究で活用できる様々なデータベースを紹介し、多 くの参加者から「参考になった」との声が相次いだ。

 講演者と参加者が一体化しやすい雰囲気を持つ円卓形式の本会場では、講演終了後の質疑応答が非常に盛り上がり、大学などの研究者、図書館関係者、またデータベースを利用する企業関係者などから、今 後の日中のデータベース事業のあり方などの議論が活発に行われた。

写真2

写真2 京都会場の様子