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資料2 JICA派遣の専門家が語った現地の活動状況

 日中技術協力プロジェクトである「中国持続的農業技術研究開発計画」でJICAから派遣された5人の専門家は、濯院長とインタビューした建物から5分とかからない研究棟で研究に取り組んでいる最中だった。これまで日本から来た研究者は、作物育種、土壌肥料・節水、病害虫防除、情報技術、総合研究などの分野で研究開発、指導調査にあたってきた。いずれも中国側から高い評価を受けている。

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 研究の一端を語ってもらった。たとえば小麦、大豆、トウモロコシを対象にした環境ストレスの耐性、利用特性に関する品種の評価、選抜技術の研究開発だった。また肥料を減量させるために各種の肥料の試験も行った。肥料が過剰に使われると河川の汚染につながる。収穫を期待してどうしても肥料を使いすぎるケースが多かった。

 黒龍江省では大豆の連作の障害について研究してきた。連作によって害虫の寄生が増えたり土壌の病害が多発していた。こうした実態調査を通じて栽培の改良に取り組んだ。アブラムシの発生抑制では、天敵のテントウムシを利用したり、イネの葉を食い荒らすイネミズゾウムシの退治には、特殊な菌を感染させて退治した。

 また遠隔地から農業現場を監視するモニタリングシステムでも大きな効果をあげた。黒龍江省のハルビン市の総合研究基地にフィールドサーバを設置し、北京のセンターでリアルタイムで研究基地の農業環境をモニタリングできるシステムを構築した。

 取材に応じたJICA派遣の専門家は「中国に農業技術を移転したり、こちらの研究者らと一緒になって研究開発した成果は、高く評価された」と満足した表情だった。