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【13-13】尖閣問題で中国が受け入れる方法を ヴォーゲル氏提言

2013年 9月 9日 小岩井 忠道(中国総合研究交流センター)

 日本と中国の研究で知られるエズラ・ヴォーゲル米ハーバード大学名誉教授が9月2日日本記者クラブで記者会見し、尖閣問題で日中間が非常に危険な状態にあるとの懸念を示した上で、両 国指導者のメンツを守る新しい方法を見つける工夫が求められている、と語った。

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 ヴォーゲル氏は、日中首脳が話し合う必要を強調する一方で、「条件なしに話し合いたい」という安倍首相の姿勢にも理解を示し、「あせって会談を急いでも中国側のよい反応は期待できない」と 問題打開の困難さも指摘した。この理由として尖閣問題に対する中国側の考えが変わっていることを挙げ、鄧小平氏が言った「棚上げ」(注:1978年10月、日中平和友好条約批准書交換のため来日した鄧小平・当 時中国副首相が日本記者クラブの記者会見で発言)という状態に戻ろうと仮に日本側が望んでも、現時点では中国側は認めないだろうとの見方も示している。

 氏は「ニュアンス」という言葉を用い、微妙な差異のある何らかの方法を見つける必要を繰り返し強調した。それが、結局は「棚上げ」と同じことを意味したとしても、ということだ。尖 閣諸島の所有権に「 問題がある」ことを認めてほしいというのが中国の要求だから、現状のままでは中国は「棚上げ」も認めない。従って「大事なことは中国が受け入れることだ」と、話し合いでは「全く問題はない」と いう立場から日本が踏み出すことを促した。

 「行政は日本が担当しているが、所有権は決まっていない。しかし、日本は同盟国なので、もし戦いなど問題が起きれば日本を支持する」。こうした米国の立場について、氏自身も「合理的」と 考えていることも明らかにしている。

 歴史認識問題については、欧米との関係改善を望む中国が、日本の立場を悪くしたいとの狙いから、第二次世界大戦で日本が悪いことをしたと強調している、との見方を示した。同時に、米 国の特に中国の専門家たちは、氏の友人も含め「同盟国である日本に協力したいのに、どうして日本はもう少し第二次世界大戦でしたことを認められないのか、と考えている」と日本に注文もつけている。「 第二次世界大戦で間違った行為をしたことを中国人が納得するよう十分に認めてこなかった」と苦言を呈する一方、「戦後、日本人が平和を重んじてきたことももっと説明すべきだった」とも語った。

 「最近20年間、日本の首相がめまぐるしく変わったことなどもあって、日中間のパイプが少なくなっている」。日中間のコミュニケーションが悪くなった理由を挙げ、あ らゆるパイプを使って中国とのコミュニケーションを改善することを提言した。自衛隊OB将官と中国人民解放軍軍人との間で長年交流が続いている例を示し「こうしたパイプが非常に大事だ」と評価している。

 ヴォーゲル氏は、日本でも評判になった『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著者として有名。「『中国・アズ・ナンバーワン』という本を書けと勧める人がいるが、その気はない。『ジャパン・アズ・ナ ンバーワン』を書いたとき、日本はたいした国ではない、と多くの米国人は思っていた。しかし、中国がどんどん強くなることは皆知っている。驚かすようなタイトルは必要ない」とも語った。

日本記者クラブウェブサイト: エズラ・ヴ ォーゲル氏記者会見