【13-32】中国をアジアで最重要パートナー視 外務省の米国対日世論調査で判明
2013年12月20日
一般の米国人、指導的立場にある米国人のどちらも日本より中国をアジアにおける重要なパートナーと見なしていることが、19日外務省が発表した 「 米国における対日世論調査」で明らかになった。一般の米国人が、日本より中国を重要なパートナーと見なす結果は2011年の調査結果でも現れていた。昨2012年には、い ったん日本が中国より上回ったものの、再び中国が逆転した形。「有識者」のみを対象にした同じ設問に対する答えでは、2010年に中国が日本を上回って以来、4 年連続で日本より中国を重要なパートナーと見る人が多いという結果となった。
図1 アジアにおける米国のパートナー(一般の部)
(出典: http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000022804.pdf)
この調査は、外務省が米国の市場調査会社「ハリス・インタラクティブ」に委託して、1960年以来、ほぼ毎年実施している。18歳以上の1,000人を対象にした「一般の部」と、政官財界、学術、マ スコミ、宗教、労働関係など各界で指導的立場にある201名を対象とした「有識者の部」に分けて、電話調査の結果を示している。
アジアにおける米国の最も重要なパートナーを聞いた設問に対する答えでは、一般の米国人は1970年代半ばから2009年まで日本を1位に挙げていた。た だし90年代後半の50%台から2000年代には40%台に数字を下げ、代わりに中国が10%台から20%台、さらには30%台にじわじわ上昇している。2010年に44%と日中両国が肩を並べ、翌 2011年には、中国39%、日本31%と逆転、しかし2012年には日本50%、中国39%と再逆転し、そして今年(7-8月に調査実施)は、中国39%、日本35%と再々逆転という結果となった。
図2 アジアにおける米国のパートナー(有識者の部)
(出典: http://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000022804.pdf)
一方、有識者の目は、一般の米国人に比べ、日中両国に対する評価のぶれが大きい。1990年代半ばには日本を最重要パートナーと見る人が79%にまで上ったが、その後は中国との差が徐々に詰まり、2 010年ついに中国が56%と日本(36%)を追い抜いた。以来、2011年中国46%、日本28%、2012年中国54%、日本40%そして今年の中国43%、日 本39%と4年連続で中国が首位の座を保ち続けている。
韓国を最重要パートナーと見る米国人は、昨年まで一般、有識者とも1、2%がほとんどで、まれに7、8%だった年もあるというのが実態だった。しかし、今年は一般7%、有 識者14%と特に有識者の評価が急上昇しているのが目立つ。
外務省プレスリリース「 米国における対日世論調査( 結果概要)」
関連記事:
- 2013年12月19日 中国研究サロン「人類の歴史の本流と日中関係」
(講師:西原 春夫:アジア平和貢献センター理事長)
レポート「歴史の本流見つめて 西原春夫氏中国に苦言」 - 2013年10月23日 取材リポート「 平和友好条約の精神に立ち戻れ 中国研究者156人訴え」
- 2013年10月 9日 中国研究サロン「習近平政権下の政治情勢」(講師:宮本 雄二)
レポート「 習政権に戦争の選択肢はない 宮本雄二元大使が分析」 - 2013年10月 3日 取材リポート「 東アジアが団結し世界平和貢献を 野中広務氏が心情吐露」
- 2013年 9月30日 取材リポート「 事態の沈静化と交流回復急げ 宮本雄二・元駐中国大使が提言」
- 2013年 9月19日 取材リポート「 双方とも原点に立ち戻れ 中国中日関係史学会副会長が提言」
- 2013年 9月 9日 取材リポート「 尖閣問題で中国が受け入れる方法を ヴォーゲル氏提言」
- 2013年 6月 7日 取材リポート「 日中首脳会談と青年交流の義務化を―瀬野清水・前重慶総領事が提案」
- 2013年 6月 7日 川島真の歴史と現在
「 米中関係の新局面―「日米同盟強化」と「米中協力」に矛盾なし?―」
(川島 真 東京大学大学院総合文化研究科 准教授)