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【15-11】日本ブースに人だかり 日中大学フェア&フォーラム開幕

2015年 3月23日 小岩井 忠道(中国総合研究交流センター)

 日中の大学交流、留学促進、産学連携を目的とする「日中大学フェア&フォーラムin CHINA 2015」(科学技術振興機構主催)が、3月21日、北京の全国農業展覧館で開幕した。

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 日中大学フェア&フォーラムは2010年に東京で第1回が開かれて以来、今回が6度目の開催。第4回以来、3年続けての中国開催となる。今 回も世界各国の大学が中国人留学生呼び込みを狙ってブースを設ける中国国際教育巡回展中国教育部留学服務中心主催)に相乗りする形で開かれた。午前10時の開場とともに大勢の中国人大学生や高校生、さ らにその父母たちが入場し、各ブースの前にはたちまち人だかりができた。

 33大学と日本学生支援機構のブースが並ぶ日本・大学展区は、会場入り口近くの目立つ場所に設けられ、出展ブース数も米国、カナダ、英国に次ぐ多さ。フランス、オーストラリアなども含め、出 展数の多い他の国々が必ずしもその国を代表するような大学をそろえているわけではないのに対し、日本は代表的な大学がほとんどブースを構えているのが目を引く。開場早々、宮崎大学のブースには中国のメディア、華 夏文広伝媒集団の取材チームが訪れ、大学の特徴など細かな質問をしていた。「多くの大学を取材して番組を地方のテレビ局に配信したい」。取材チームの郭静さんは語り、次の目当てのブースに移動していった。瀬 戸山泰彦宮崎大学研究国際部長ら取材に応じた同大学のスタッフは「150人いる外国人留学生のうち中国人は50人を占める。しかし、ピーク時よりは少ないので今後、増やしたい」と語り、テ レビ放映の効果に期待していた。

 国際交流に熱心なことで知られる立命館大学のブースにも若い中国人が次々に訪れ「留学試験を中国本土でやってほしい」「英語の授業はどのくらいあるのか」など具体的な要望や質問を担当者にぶつけていた。「 中国本土でも試験ができたらよいのだが、学部によっていろいろ意見があり」と、近清雅彦・立命館大学入学センター次長はやや複雑な表情。

 中国国際教育巡回展は、世界各国の大学がブースを設けるほか、米国、英国など熱心な国々はそれぞれの国の留学生奨学金などを紹介するコーナーを設けるなど、入場者を引き寄せるための工夫を凝らしている。「 フランスの展示区画に行ったらワインを振る舞われた。サービス精神がちょっと違う」。日本のある出展大学の教授が感心していたように、展示の見栄えではやや日本の大学ブースは地味な印象を与える。そ の代わり展示区画の一角に独自のセミナー室を設け、日本学生支援機構や特に留学生受け入れに熱心な7大学が大学の魅力をアピールする説明会を順に開いた。

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 日本の主な大学は留学生受け入れに当たり日本学生支援機構の日本留学試験を課している。試験はアジア14カ国・地域で実施されているが、中国本土ではまだ行われていない。「 中国の学生を対象に大学独自の留学生試験を4月に上海で初めて実施する」。説明会でアピールした芝浦工業大学国際部国際プログラム推進課の村田雄一氏は、「ブースを訪ねてくれた人たちの関心が高かったので、急 きょ説明会でも紹介した」と上海での試験実施の結果に対する期待を語っていた。

 二日目の22日は、今年度から始まったアジア各国の青少年を日本に招待し、科学技術を中心に日本の現状を直に見てもらう「日本・アジア青少年サイエンス交流事業」(さくらサイエンスプラン)に ついての説明会もセミナー室で開かれた。高校生の子供がいるという母親や、大学関係者たちから、どうしたら応募できるかなど具体的な質問が相次ぎ、同プランに対する関心の高さを裏付けていた。

 日中大学フェア&フォーラムは、22日夕方から北京珀麗酒店で行われた交流会に続き、23日には会場を北京の首都大酒店に移し、日中双方の大学人が、日中の科学技術・学術交流について意見を交わす「 フォーラム」を開催、さらに24日に上海の上海東亜展覧館でフェアを開く。


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