【16-16】日中学生が一緒に日本企業訪問 『リードアジア』参加者発表会
2016年 9月 2日 小岩井 忠道(中国総合研究交流センター)
9日間、日中の大学生が合宿し、企業研修やワークショップなどを行うユニークなプログラムに参加した学生たちの発表会が、8月26日、東京大学駒場キャンパス内で開かれた。
写真1 合宿の成果を発表する「リードアジア」プログラム参加者たち
将来のアジアを担う人材育成を目的とするこのプログラムは、アジアを学び、よく知ることを表す「Read」と、将来、アジアを導くことを表す「Lead」の両方の意味をこめ、「リードアジア」と名付けられている。日中学生交流連盟と国際交流基金日中交流センターの共催で2013年から毎年、8月に開かれている。4回目の今年は、中国本土からの13人と日本に留学中の7人を合わせた中国人大学生20人と、日本人大学生23人が、8月20日から9日間、都内で共同生活を送った。この間、グループで訪問し、研修を受けた日本企業は13社に上る。
発表会では、参加者の中から選ばれた三つのグループが、それぞれ成果や感想を述べ、さらにこれからの交流活動についての提案も行った。それぞれのグループが一様に強調したのは、お互いの国に対する先入観を排して、理解を深めることの重要性と、今回それが得られた満足感。最初のグループからは、自分たちを樹木の種にたとえ、今回の経験に基づいた今後の活動プランが短期、中期、長期に分けて提案された。
「日中友好を進めるには、日中の若者が交際し、できれば家族になるのが一番。『お見合い』を開催し、日中の若者にそうした機会を提供する会社を起業したい」。日本人学生からこうしたユニークな提案が出された。中国人学生からは、「前人栽樹、後人乗涼」という言葉を引いて、「前代の人が苦労して創り上げたものが、後代の人に幸福をもたらす」活動を続ける意欲が表明された。
三つのグループが一様に指摘した中に、新聞などのメディアを通して得た偏った先入観を排して、直接知り合うことの大切さがある。最後に発表したグループからは、お互いをよく知ることができる情報を発信する新しいメディアを自分たちでつくっていこう、という提案も出された。