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【16-19】中日友好協会が中国で25年植林を続けた高見邦雄氏に中日友好使者を授与

2016年 9月20日 大野木昇司(日中環境協力支援センター有限会社 取締役)

 中国日本友好協会は2016年8月31日、北京の中国人民対外友好協会の和平ホールにて「高見邦雄氏中日友好使者授与式」及び「緑の地球ネットワーク大同黄土高原緑化25周年記念会」を開催した。式 典では、中日友好協会や日本大使館などの来賓挨拶・記念スピーチの後、緑の地球ネットワーク高見邦雄氏への「中日友好使者」授与式を行った。その後、認定特定非営利活動法人「緑の地球ネットワーク」副 代表の高見氏(68)が大同黄土高原緑化活動25年を振り返る記念会講演を行った。

 中日友好協会の許金平副会長は授与式で挨拶し、「中日両国は一衣帯水の隣国であり、2千年以上の友好交流の歴史がある。両国国民は中日友好事業に積極的に取り組み、相 互理解と友好感情を増進するために多大な努力を払ってきた。同時に、農業、環境保全、教育、文化などの分野で、日本の先進的技術、理念と知識を生かして、中国経済と社会の発展に大きく寄与した」と高く評価した。& amp; amp; lt; /p>

 さらに「高見先生はまさにその中の傑出した代表の1人である。1991年から25年にわたって、黄土高原に根ざし、中国植林緑化事業に身を投じて、山西省大同市で大規模な植林活動を行った。現在、大 同市周辺の中日友好環境林はすでに200ヵ所に上り、植林面積は1万haを超えた。また植えた木は1900万本以上となった。地元の自然環境が大きく改善され、農民の収入も大幅に増えた」と述べた。

 その後、許副会長らは「中日友好使者」と書かれたたすき、表彰楯、花束を高見氏に授与した。ほかに中共中央対外連絡部の劉洪才副部長、中華全国総工会の白立文元国際部長が祝辞を述べた。

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写真1 高見氏を中心に記念撮影

 高見氏は記念講演の中で、25年の大同黄土高原緑化活動を振り返り、多くのスライドを示しながら紹介した。代表的なものとして、各地の中日友好環境林の様子、日 本の労働組合や企業CSR活動を含むボランティア植林作業の様子、貧困対策も兼ねた現地村の小学校付属果樹園(アンズ)の整備、自然林の発見と自然植物園の建設、日本大使や中国大使など著名人の現場視察、植 林による環境改善の成果などである。特に活動を始めた頃、土壌流失と砂漠化が深刻な黄土高原に防護林を建設し、土壌の育成、風砂の防止、用材林としての経済効果が見込めた。日中の植林・植物分野の技術者・研 究者にも関わってもらい、効果的な植林技術・手法を導入して成果を上げるようになった。今後は、これまで行ってきた山西省大同市の植林事業を見守りつつ、大 同市に隣接する河北省張家口市蔚県に植林活動の場を移す方針だと述べた。これには、大同市では近年の開発で高速道路や高層ビルの整備も進み、植える場所を探すのが難しくなってきたこともあるという。

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写真2 記念講演を行う高見氏

 授与式にはほかに、中国人民対外友好協会の宋敬武副会長、文化部(省)の劉徳有元副部長(副大臣級)、在中国日本国大使館の山本恭司公使、中国国際交流協会、「緑の地球ネットワーク」事務局の代表や、日 中の報道陣、日中友好団体、環境保全企業・団体の関係者など約130人が参加した。

 中日友好協会によると、これまで同協会は日中友好で多大な貢献をした人に「中日友好使者」の称号を授与しており、高見氏で73人目になるという。

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写真3 表彰楯や花束を披露する高見氏