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【17-10】日本の科学技術に最大の関心 海外6カ国世論調査で判明

2017年 4月26日  小岩井忠道(中国総合研究交流センター)

 メディアを通じて日本に対する関心が最も高いのは科学技術であることが、中国を含むアジア、欧米6カ国で行った世論調査で分かった。調査を行ったのは、公益財団法人新聞通信調査会。今年2月、中国、タイ、英国で面接調査、韓国、米国、フランスで電話調査を実施、それぞれ約1,000人から回答を得た。

 「日本のことが報道されると関心を持って見聞きするか」との問いに対し、「とても関心がある」か「やや関心がある」を合わせた回答が最も多かったのは、タイの79.9%。次いで韓国が71.4%、中国が64.6%だった。フランス61.4%、米国60.5%、英国43.7%と、欧米3カ国はいずれもアジア3国より少ない。「政治、経済、外交政策」、「国際協力や平和維持活動」、「科学技術」、「歴史と文化」、「生活様式や食文化」、「ファッション、アニメ、音楽」、「観光資源」の7項目を挙げて、それぞれ自国のメディアに報道してもらいたい日本のことがらについて聞いた問いに対し、最も多かったのは「科学技術」だった。

 6カ国中、「科学技術」が2番目だったのは、タイだけ。一位は「観光資源」だった。残る5カ国は全て「科学技術」が1位。「科学技術」が1位だった国のうち「積極的に報道してほしい」と「報道してほしい」を合わせた回答が最も多かったのは韓国で、88.7%。次いで米国84.0%、中国74.1%、フランス56.2%、英国55.6%となっている。「観光資源」が一位だったタイも、「科学技術」を「積極的に報道してほしい」ないし「報道してほしい」を合わせた回答は82.3%に上る。

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自国メディアに期待する日本についての報道内容 (「積極的に報道してほしい」「報道してほしい」と回答した割合の合計)
(新聞通信調査会「第3回 諸外国における対日メディア世論調査結果」から)

 日本からは、このところ自然科学関係のノーベル賞受賞者が相次いでいる。一方、被引用数が多く価値が高いとみなされる論文数などの国別比較から、近年の研究力低下に対する危機意識は、国内の科学技術関係者の間で急激に高まっている。今回の調査結果は、海外諸国の多くの人々にまだ日本の科学技術が高く評価されている現実があることを示している。

 「科学技術」以外についてみると、それぞれの国による関心の違いが分かる。日本政府が力を入れている「国際協力、平和維持活動」については、米国、英国、フランスがそろって「科学技術」に次ぐ関心の高さを示す結果となっている。他方、中国は最下位で「積極的に報道してほしい」、「報道してほしい」を合わせて25.8%しかない。タイも75.1%と数字は大きいものの、関心の順位は「生活様式、食文化」や「歴史と文化」などより低い6番目となっている。

 ニュースを視聴するのに利用する媒体は、「テレビ」、「インターネットのニュースサイト」、「新聞」の順になっている国が多い。中国だけ1位が「インターネットのニュースサイト」で、テレビが2位となっている。中国は、「SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)」が新聞より上の3位に入っているのも目を引く。「新聞」より「SNS」が上位にあるのは、中国以外ではタイだけだ。

 新聞通信調査会はこの調査を一昨年から毎年実施している。「日本を信頼できる国と思うか」という問いに対し、「とても信頼できる」と「やや信頼できる」を合わせた答えの割合は、韓国と中国が特に低い。韓国は、昨年の調査結果17.2%から13.8%に、中国は同じく17.6%から16.9%にと、さらに数字を下げているのも目立つ。韓国、中国以外では、タイが89.0%(昨年92.5%)、フランスが80.4%(同74.3%)、米国が76.7%(同72.9%)、英国が65.4%(同76.9%)と、それぞれ昨年から変化はあるものの、韓国、中国との数字の開きは大きい。

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