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【17-18】日中ワークショップ「新エネルギーによる自動車の課題と展望」を開催

2017年 7月10日  中国総合研究交流センター編集部

 7月6日、日中国交正常化45周年を記念する関連事業として、日中両国の新エネルギーによる自動車開発の課題と展望及び今後の協力について、科学技術振興機構(JST)と中国自動車工程学会は日中ワークショップ「新エネルギーによる自動車の課題と展望」をJST東京別館で開催し、未来志向の意見交換を行った。

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写真1 ワークショップの様子

 本ワークショップには、日中双方からそれぞれの自動車関連政策の決定に重要な役割を果たし、また自動車産業界を牽引するメンバーが一堂に介した。中国からは、来日中の万鋼科学技術部部長をはじめ、程永華中国駐日本特命全権大使や張進華中国自動車工程学会常務副理事長兼秘書長、また関連企業幹部、関連研究に従事する大学関係者らが出席した。一方日本側は、JSTの濵口道成理事長、沖村憲樹特別顧問が出席し、また新エネルギー自動車政策関係の政府機関や自動車メーカー、関連設備を開発する企業、大学・研究機関の多くの関係者も参加した。

 本ワークショップでは、まず日中双方の政府機関、メーカー、大学の担当者・専門家からそれぞれの現状と今後の新エネルギー自動車の発展のビジョンが提起され、そこで浮かび上がった幾つかの課題についていかに克服するか討論が展開された。参加者からの忌憚のない意見が交換され、終始活発な議論が繰り広げられ、結果的に日中双方が問題を共有することができ、大変有意義なワークショップとなった。

 万部長は「今後のエネルギー利用は低エミッションからゼロエミッションへとクリーンな方向に進むことが見込まれ、新エネルギー自動車は動力電池、燃料電池の両者の並存しそれぞれの欠点を補い合うことができるだろう。気候変動やCO2削減を達成するため、新エネルギー自動車の開発、社会実装をすすめなければならないが、そのためには政府の役割が重要となってくる。例えば車両購入時の減税などによって普及が進むだろう。また政府から権限を委譲し、水素ステーション設置などの許認可を簡略化し、技術的基準を策定することも重要である。これは世界的にも統一的に進めていくべきだ。中国にも日本にも『人』という字があるが、枠の中に入れると「囚」となる。自分を枠の中に閉じ込めてはいけない。新エネルギー自動車を開発していくには、やはりオープンな態度で模索していかなければならない。この問題については日中双方の若手研究者に期待しており、是非ともお互いに『さくらサイエンスプラン』などの国際交流プログラムを活用し両国を行き来し交流を深め、共同で研究を進めてもらいたい。今回のような議論の場は日中双方にとって非常に有益であったので、是非とも継続して開催してもらいたい」と本ワークショップを総括した。

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写真2 万鋼科学技術部部長

 一方、濵口道成理事長は「挑戦に限界をつくるのではなく、限界に挑戦していくべきで、日中で協力すれば難問を突破できるのではないか。またハイブリッド車の普及のように消費者は地球環境や社会にとって必要なものを選択できる力があるので、消費者目線も大切であることを心に留めて欲しい。」と閉会のあいさつで述べた。

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写真3 濵口道成JST理事長