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【18-14】JR九州、アリババと提携し100万人招客計画

2018年7月24日 小岩井 忠道(中国総合研究・さくらサイエンスセンター)

 JR九州は、電子商取引の巨大企業、アリババグループ(阿里巴巴集団)と提携し、2023年度に中国から100万人の旅行客を九州に呼び寄せるプロジェクトをスタートさせる、と23日発表した。今 年度は10月から来年3月までアリババグループの旅行サイト経由で5万人の訪日客を見込んでいる。

 アリババグループは、中国だけでなく世界を相手に電子商取引を展開している。電子商取引のウェブサイト淘宝網 (taobao)は、2億人以上の会員を有し、中 国国内の消費者向けサイトとして80%のシェアを誇る。「Fliggy(フリギー)」という旅行サイトも運用しており、こちらは1日平均1,000万人以上が訪問する人気サイト。新プロジェクトは、こ のサイトで九州の魅力的な観光地、温泉、食、文化を集中的に紹介し、誘客を図る。

 JR九州は、観光客増を図る企画として現在「スイートトレイン『或る列車』おもてなしプロジェクト」を実施している。『或る列車』は、JR九州の誕生時の会社だった「九州鉄道」が 1906年に米国の企業に発注したものの諸事情で活躍の機会がなかったまぼろしの豪華客車が原型。残されていた模型を基に復元され、九 州産の食材を使った豪華料理も提供する特別列車を長崎県と大分県の2コースで運行している。

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「或る列車」(JR九州ホームページから)

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「或る列車」車内(JR九州ホームページから)

 アリババグループとの提携を記念する商品としてJR九州は、ツアー「いつもと違う九州 『或る列車』で行く」を用意している。「或る列車」をはじめとする観光列車で九州北部地域をまわり、 温泉ホテルや特別ディナーで九州の魅力をゆったりと楽しんでもらう、とJR九州は言っている。

 フリギー(Fliggy)は、中国人向け旅行商品専門の販売プラットフォームで、中国国内外の航空券予約、ホテル予約、パッケージツアー販売、チケット販売、オプションツアー予約、 ビザ取得代行サービス販売、WiFi レンタル予約、レンタカー予約などがオンライン上で販売されている。JR九州は、2 023年の中国人訪日客目標数100万人のうち50万人をフリギー(Fliggy)による集客力に期待している。

 また、アリババグループのモバイル・オンライン決済プラットフォーム「アリペイ(Alipay)」は、中国国内の活発なユーザーだけで月間6億人を超える。日本でも 5 万店以上が導入しているが、J R九州は「アリペイ(Alipay)」の利用環境も整備することで、中国人訪日観光客の消費の拡大を図りたいとしている。