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【18-15】ネット広告配信サービスで提携 ネットイース (网易公司)と博報堂

2018年8月8日 小岩井 忠道(中国総合研究・さくらサイエンスセンター)

 ゲーム、電子商取引(EC)など幅広いネット事業で急成長している中国企業「ネットイース (网易公司)」と広告代理店「博報堂」が、個 々のユーザーが求めていると思われる広告をネット配信する新しい手法を共同で開発した。既に中国国内で実証実験を済ませており、9月1日からサービス提供を始める。

 ネット広告の普及が進む中国では、ネットメディアのユーザー情報をネット企業が大量に保有するようになっている。しかし、ユーザーの商品嗜好など生活者情報データは別々に管理されているため、ユ ーザーに最適な広告配信をすることは難しかった。博報堂は、アジアを中心に世界の主要都市で毎年実施している独自の生活者調査に基づくデータベース「Global HABIT」を持つ。中 国の生活者調査では今年からユーザーのオンライン行動情報やスマートフォンアプリの利用情報、テレビの視聴傾向も把握可能な内容にさらに充実が図られている。

 こうした生活者情報データを博報堂から提供されたネットイースは、機械学習を活用して、リアルタイムに配信制御ができ高い広告効果を生み出す新しいネット広告配信手法「Hakuhodo × NetEase 広告配信最適化ソリューション」を開発した。利用されるデータは、個人情報保護に配慮し暗号化されている。

 両社の持つデータに顧客の求めに合った情報を付加、さらに機械学習で最適化を図ったシームレスなマーケティングプロセスを広告主に提供し、企業活動に貢献したい、と博報堂は言っている。一方、ネ ットユースの媒体やアプリを利用しているユーザー側には、今後、自分に関心のある広告のみの配信を受けられるメリットがある、としている。

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 博報堂がホームページで公表している「Global Habit 2016年版」によると、生活者調査を実施した世界37都市のうち、北京、上海、広州、香港など中国の都市が12を占める。「 スマートフォンは香港、上海、北京、広州でほぼ全員に普及」、「パソコンの世帯保有率は、香港、上海、北京、広州で9割」など、マスメディア・広告メディアとしてインターネットが大きな位置を占めている実情が、こ の調査で判明済みだ。

 今回の提携相手であるネットユースについて博報堂は、ニュースサイト、メールサービス、ゲームや音楽アプリなど幅広くサービスを提供しており、中国のネットユーザーの特質をよく理解しているうえに、高 い技術とユーザーとの様々な接点で有効なコミュニケーションが取れる点に期待している、と言っている。

 博報堂は5月にも、中国最大の検索サービス企業「百度」の日本法人「バイドゥ」と、中国市場をターゲットとする企業・団 体に最適な広告配信方策を提供することを目指す戦略的パートナーシップを締結したことを公表している。

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