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【18-21】中国で楽曲配信開始 ソニー、テンセント傘下企業が提携

2018年10月4日 小岩井忠道(中国総合研究・さくらサイエンスセンター)

 ソニー・ミュージックレーベルズは、所属する人気アーティストの楽曲配信と権利保護について中国のテンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループ(騰訊音楽娯楽集団)と提携することで合意した。合意に基づき9月28日からアニメ音楽を中心としたコンテンツの中国での配信を開始した。海外市場の開拓を狙うソニー・ミュージックレーベルズとして中国で初めての包括的コンテンツ配信となる。テンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループは、中国でのコンテンツ配信管理、セールス、サブライセンス、権利保護などの業務を担う。

 配信が始まったのは、ソニー・ミュージックレーベルズの事業部門であるSACRA MUSICに所属するSawanoHiroyuki[nZk](澤野弘之)や、LiSA、EGOIST、佐香智久、ELISA、藍井エイル、ASCA、綾野ましろなどの楽曲。すでにSACRA MUSIC所属の人気アーティストコンビであるGARNiDELiAが昨年度に中国で年間5回の公演を行い、動画の合計再生回数が中国を中心とした中華圏で1億回を超えるというヒットを記録している。

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(「ソニー・ミュージックレーベルズ」プレスリリースから)

 ソニー・ミュージックレーベルズは、ソニーグループの音楽系事業統括会社「ソニー・ミュージックエンタテインメント」が、2014年に八つの傘下レコード会社を統合してつくった。SACRA MUSICは、現在九つある「ソニー・ミュージックエンタテインメント」事業部門の一つとして2017年4月に設立された。国内だけでなく海外へも活動の場を広げるアーティストを数多く抱える。

 テンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループは、中国を代表するIT企業の一つであるテンセント(騰訊控股)の音楽部門子会社で、中国のデジタル音楽業界全体を牽引している企業。三つの音楽サービスプロバイダを運営し、リスナーのさまざまなニーズに対応した高品質のデジタル音楽サービスをはじめ、デジタル音楽プレイヤー、モバイルカラオケ、音楽ライブショー、著作権管理、広告、その他の音楽関連デリバティブサービスを提供している。

 共同通信が伝えるところによると、テンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループは10月2日、米証券取引委員会(SEC)に株式の上場を申請した。企業価値は250億ドル(約2兆8千億円)程度と試算され、スウェーデンの音楽配信大手、スポティファイと並ぶ大型上場になる見通し。テンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループの音楽配信などの月間利用者数は計8億人以上で、2018年1~6月期の売上高は前年同期比92%増の約86億元(約1,400億円)という。

関連サイト: ソニー・ミュージックレーベルズプレスリリース
「SACRA MUSICがテンセント・ミュージック・エンターテインメント・グループと戦略的提携に合意 中国エリアにてアニソンを配信!」