【18-24】英語技能検定協会が中国・科大訊飛のAI自動採点機能を採用
2018年11月05日 余錦沢(東京大学 博士)/JST客観日本編集部(編集)
2018年10月17日、公益財団法人日本英語検定協会(英検)は、中国科大訊飛(iFlytek)と資本業務提携を結ぶ日本のサインウェーブと共に、東京大学本郷キャンパス工学部2号館で自動採点検証結果報告会見を行った。会見では、英検と人工知能(AI)サービス事業者との提携状況やライティングテストの成果が発表され、iFlytekとの共同研究の成果も含まれている。
英検の研究で、iFlytekが提供するAI自動採点は、人の手を介した通常採点と遜色ない成果が出た。そのため、2019年度から、英検CBTにおいて、通常採点と並行して、AIによる自動採点が導入されることになった。後者は前者の補助として、採点の正確性と効率向上に役立てる。
自動採点システムの共同研究結果報告会見の会場
会見を多くのメディアが取材した
iFlytekとの共同研究で、英検の採点システムは、スピーキングの音声認識と採点精度が向上した。英検は、iFlytekの評価エンジンに個人情報を除去した英検の回答データを投入して機械学習をさせ、英検の一部採点業務で同技術の実証実験を行った結果、スピーキング採点システムの精度と効率に一定の成果が見られたという。
英検におけるAIによる自動採点の主な特徴は以下のとおり。
- 品質を保持したままでの24 時間稼働の実現
- 人間による通常採点を補完する採点精度の向上
- 採点時間の短縮→採点期間短縮の実現
- 無回答や白紙答案仕分けによる採点者の負担軽減
2019年度より、自動採点導入の対象テスト
日本の英語教育は4技能(聞く・話す・読む・書く)のバランスのよい習得が重視され、大学や高校入試に英検などの外部の資格・検定試験の活用が推進されている。そのため、英検の受験者数は増加が予想され、英検は、その対応策を打ち出す必要があった。人による通常採点と比べると、AIによる自動採点を導入することで、英検のコスト削減と採点スピードの向上につながる。それらを検討して、英検とiFlytekは、自動採点システムの共同検証を行い、世界最新鋭の言語処理技術を活用して日本の英語教育事業に貢献したいということだ。
英検は2018年初めから検証実験を実施した。iFlytekの日本業務の責任者・王寧氏によると、iFlytekの音声認識エンジン導入後、自動採点システムの立ち上げに時間はかからなかったものの、その有効性を検証するのに一定の時間を費やし、検証実験は約半年かかった。英検は、4級と5級のスピーキングテストにおいて、人による通常採点と機械採点の一致性を検証したところ、一致率が95%に達した。システムが一層自由、かつスムーズに採点者と連動し、それを補完できるように、英検とiFlytekは今後、AIシステムの訓練データを収集して、それを増加させることでシステムの性能をさらに向上させたい考えだ。
人による採点と機械採点の一致率一覧
今回の共同研究の技術を提供する科大訊飛(iFlytek)は、サインウェーブに資本注入する形で日本の市場に進出した。AI音声の分野の優位性を武器に日本市場を開拓するのがその狙いだ。科大訊飛(iFlytek)の評価エンジンは10年前から、中国の大学入試の英語スピーキング試験に採用されている。英検と提携することで、AIシステムの経験と技術の蓄積が新ためて示された形だ。科大訊飛(iFlytek)の責任者は、「自動採点業務を引き続き推進すると同時に、外国語の面接や外国語会話ソフトなどの各分野で、潜在市場を開拓したい」としている。
関連リンク:
公益財団法人日本英語検定協会プレスリリース「AI による自動採点実証研究で有意な成果―2019 年度から英検に順次本格導入予定―」
http://www.eiken.or.jp/eiken/info/2018/pdf/20181017_pressrelease_aisaiten.pdf
2018年10月31日 客观日本《日本英语检定协会导入科大讯飞AI自动打分功能,辅助人工打分》
http://www.keguanjp.com/kgjp_qiye/kgjp_qy_zhrq/pt20181031060002.html