【19-05】IoT製品日米中が先導 総務省の国際競争力分析で判明
2019年2月20日 小岩井忠道(中国総合研究・さくらサイエンスセンター)
急速に普及が進むIoT(モノのインターネット)に関わる製品・サービスの競争力で日本と米国、中国が激しく競っている状況が、総務省の調査で明らかになった。IoT製品・サービス全体の国・地域別シェアは日本が24.0%と最も大きいものの、中国や米国も20%超と高い水準にある。一方、研究開発拠点数や研究開発費では米国が1位で日本は2位、中国はドイツやフランスよりも少ない。ただし、M&A(企業の合併・買収)の金額や件数では中国は米国に次いで2位。特に前年、2016年に比べ件数が大幅に伸びているのが目立つ。日本のM&A件数は前年に比べわずかの伸びにとどまり、米国は減っている。
19日に総務省が公表した「IoT国際競争力指標(2017年実績)」は、主要10カ国・地域の企業約1,500社の製品・サービス5分野について、2017年の世界市場における売上高シェアなどを比較し、各国・地域産業のIoT製品・サービス競争力を評価している。
(総務省「IoT国際競争力指標(2017年実績)」から)
対象となった5分野は、スマートシティ、ヘルスケア、スマート工場、コネクテッドカー、スマートエネルギー。5分野全体では世界の市場シェアの24.0%を日本が占め、米国は21.9%、中国は21.2%。分野ごとで見ると、日本の優位が最もはっきりしているのは、スマート工場分野で世界の市場シェアは37.0%に上る。2位はドイツで12.5%。次いで中国10.2%、米国9.5%と続く。
一方、米国はヘルスケア分野で強く、34.0%と、2位の日本(26.2%)、3位の中国(11.1%)に水をあけている。スマートエネルギー分野でも27.2%とトップのシェアを保持し、2位の中国(26.0%)、3位の日本(13.2%)をしのぐ。
これに対し、中国はスマートシティ分野でシェア29.7%と1位。米国(22.0%)2位、日本(19.6%)3位をしのぐ。カナダ、イタリアが大きな市場シェアを占め、日本、米国が大きく立ち後れているコネクテッドカー分野でも、25.0%と調査対象となった10カ国・地域の中では最も大きなシェアを占めた。
「IoT国際競争力指標(2017年実績)」は、IoT製品・サービスだけでなく、クラウド・データセンター、ネットワーク機器、半導体、情報端末などICT(情報通信技術)分野についても競争力を調べている。「IoT製品・サービスの市場はICT製品・サービス市場に比較して小規模なものが多いものの、一部を除きプラス成長」、「日本企業の市場シェアは、ICT製品・サービスに比較してIoT製品・サービスの方が高いものが多い」、「日本企業の市場シェアが高いIoT製品・サービス、ICT製品・サービスは、市場規模が比較的小さい」といった結果も、今回の報告から明らかになった。
関連リンク
- 総務省プレスリリース「IoT国際競争力指標(2017年実績)」を公表」
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01tsushin02_02000137.html