【25-29】中国財政部「2025年上半期財政政策執行状況報告」、科学技術が重点分野に
劉 垠(科技日報記者) 2025年12月17日
中国財政部(省)がこのほど発表した「2025年上半期中国財政政策執行状況報告」によると、中国はより積極的なマクロ政策を実施し、景気変動に対応するカウンターシクリカルな調整を強化した。報告は、その結果として経済が強い活力とレジリエンスを示し、質の高い発展で新たな進展があったとしている。
報告では、科学技術分野に関連する内容が多数盛り込まれた。例えば、国家の重要戦略の実施や新たな質の生産力の育成を目的として、2025年中央政府予算の科学技術経費支出を前年比10%増の3981億1900万元(1元=約22円)とした。基礎研究、応用基礎研究、国家戦略上の科学技術課題への重点配分が行われたほか、製造業の重点産業チェーンを対象とする関連施策を通じて、産業構造の高度化が図られたとしている。
報告ではまた、「科学技術イノベーションと産業イノベーションの深い融合を支援し、新たな質の生産力の育成・強化を促進する」方針が示された。さらに、「科学技術を重点分野として優先的に保障し、各種政策手段を総合的に活用することで、科学技術の自立自強を推進した」としている。
科学技術イノベーション能力の強化においては、次のような内容が記された。独創的なイノベーション能力の向上を重要な位置に据え、2025年の中央政府の基礎研究予算を前年比12.1%増とし、研究機関および研究人材への安定的支援を強化した。また、重要コア技術の研究開発を支援し、国家科学技術重要プロジェクトが推進されたほか、国家実験室の建設や全国重点実験室の再編も行われた。
科学技術成果の実用化や地方における科学技術活動への支援も盛り込まれた。研究者が成果の所有権または長期使用権を享受できるよう支援し、2025年には中央政府から地方の科学技術発展を支援する資金として60億元が計上され、各地域における科学技術イノベーション能力の向上を支援した。さらに、協力・イノベーション型の調達方式を活用し、製品イノベーションと応用推進を支援することで、新技術・新製品の市場導入を後押ししたとしている。
産業構造の高度化に関しては、特定分野における技術的制約(ボトルネック)への対応として次の内容が示された。製造業重点研究開発計画・重要特別プロジェクトなどへの財政支援を強化し、産業チェーン・サプライチェーンの安定性向上が図られた。中小企業の質の高い発展を推進し、新たに認定された1200社以上の「小巨人企業」(高い成長性または大きい発展のポテンシャルを持つテクノロジーイノベーション中小企業)に対して奨励・補助措置を実施した。また、産業系政府投資基金を通じ、重点分野や鍵となるプロセスにおける科学技術イノベーションと産業イノベーションの深い融合を支援したとしている。
企業支援策では、税制優遇などを通じた研究開発支援が挙げられた。報告によると、重要分野に焦点を当て、ハイテク企業の所得税優遇政策を実施し、企業の研究開発イノベーション能力を高めたほか、鍵となるプロセスに焦点を当て、企業の研究開発費の加算控除政策を実施し、研究開発投資の拡大を奨励した。成果実用化にも焦点を当て、超長期特別国債資金1734億元を支出するとともに、設備更新向け融資に対する財政的利子補給政策の実施期限を延長することで、企業の新設備購入や新技術応用などを促す措置を講じたとしている。
金融面では、科学技術イノベーション企業の融資支援が強化された。上半期には、科学技術イノベーション特別保証プログラムが2万2000社の科学技術系中小企業に対し、約900億元の融資獲得を支援した。
報告では今後の財政政策の方向性として、新たな成長分野の育成を進める方針が示された。産業イノベーションを支える科学技術面の供給を強化し、重要コア技術の研究開発を推進するほか、新興産業と未来産業の育成を図っていくとしている。また、科学技術関連経費の配分や管理・運用の仕組みを見直し、科学技術投資の効率向上を目指すことが掲げられた。
※本稿は、科技日報「财政部公布的《2025年上半年中国财政政策执行情况报告》显示:科技作为重点领域予以优先保障」(2025年11月11日付)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。