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【18-06】2017年度全国教育事業発展統計公報―当事者に聴く中国教育事情

2018年10月15日 王璨(JTB日中教育交流中心)

はじめに

 今年7月下旬に「2017年度全国教育事業発展統計公報」が中国教育部から発表されました。

 今回はこの統計公報について解説していきたいと思います。

一、全体データ

 全国に各類別学校は51.38万校あり、前年度より2,105校(0.41%増)増加し、在籍学生(学歴教育のみ)は2.7億人で、2016年度より545.54万人(2.06%増)が増加、専任教員は1626.89万人で、2016年度より48.72万人(3.09%増)の増加となります。

二、学齢前教育

 全国に幼稚園は25.50万校あり、2016年度より1.51万校(6.31%増)増加、年間入園児童[2]は1937.95万人で、2016年度より15.87万人(0.83%増)増加、在園児童[3]は合計4600.14万人、前年度と比べて186.28万人(4.22%増)増加。幼稚園教員は419.29万人で前年度より37.50万人(9.82%増)増加、このうち専任教員は、計243.21万人、前年度より20.01万人(8.96%増)増加。また、学齢前教育の粗入園率[4]が79.6%に達し、2016年度より2.2%増加しました。

図1

三、義務教育(小学校から中学校までの九年間)

 全国に義務教育段階の学校は21.89万校あり、年間入学者が3313.78万人で、在学者は合計1.45億人います。専任教員は946.36万人、9年間義務教育強固率[5]は93.8%になります。

①小学校

 全国に小学校は16.70万校あり、前年度より1.06万校(5.98%減)の減少、また小学教育センターは10.30万校あり、前年度より4561校(4.63%増)の増加。年間入学者は1766.55万人で、前年度より14.09万人(0.80%増)増加、合計の在学者は10093.70万人で、前年度より180.69万人(1.82%増)増加。年間卒業者は1565.90万人で、前年度より58.45万人(3.88%増)増えました。また、小学校学齢児童の純入学率[6]が99.91%に達しました。

図2

 小学校教職員[7]は564.53万人で、前年度より10.80万人(1.95%増)増加、専任教員[8]は594.49万人で、前年度より15.58万人(2.69%増)増加。また、専任教員の学歴合格率[9]は99.96%で、前年度より0.02%増え、生徒数に対する教員数の比率は16.98:1となります。

表1 小学校数、教職員、専任教員数
  学校数(校) 教職員数(人) 専任教員数(人)
普通小学校 167,009 5,645,319 5,944,910
   うち:小学校 167,009 5,645,319 5,282,512
9年一貫制学校 596,348
12年一貫制学校 66,050

 普通小学校(教育センター含む)の校舎建築面積は計75088.46万㎡で、前年度より4123.98万㎡増加。校舎内施設・設備配置の基準[10]に達する学校の比率状況は「体育場(館)面積:84.77%、体育運動用設備配置:89.99%、音楽教育用設備配置:89.60%、美術教育用設備配置:89.41%、数学・自然系実験用設備配置:89.57%」となります。

②中学校

 全国に中学校は5.19万校(15校の職業中学校を含む)あり、前年度より224校(0.43%減)減少、年間入学者は1547.22万人、前年度より60.05万人(4.04%増)増加、合計在学者は4442.06万人で、前年度より112.69万人(2.60%増)増加、年間卒業者は1397.47万人で、前年度より26.40万人(1.85%減)の減少。また、中学校教育段階の粗入学率は103.5%です。

図3

 中学校教職員は407.81万人で、前年度より8.06万人(2.02%増)増加、そのうち専任教員[11]は354.87万人で、前年度より6.09万人(1.75%増)増えました。また、中学校専任教員学歴合格率は99.83%で、前年度と比べて0.07%の増加がみられ、生徒数に対する教員数の比率は12.52:1となります。

表2 中学校数、教職員、専任教員数
※完全中学校・・・中高一貫校(編集部注)
  学校数(校) 教職員数(人) 専任教員数(人)
中学校 51,894 4,078,076 3,548,688
   うち:中学校 35,696 2,763,493 2,519,334
9年一貫制学校 16,183 1,314,104 551,604
12年一貫制学校 73,131
完全中学校 404,179

 中学校の校舎建築面積は計61006.74万㎡で、前年度より3179.54万㎡増加。校舎内施設・設備配置の基準に達する学校の比率状況は「体育場(館)面積:90.35%、体育運動用設備配置:93.97%、音楽教育用設備配置:93.44%、美術教育用設備配置:93.17%、理工系実験用設備配置:94.11%」となります。

③地方から都市に転入する労働者子女

 中国の9年間義務教育段階(小学校・中学校)の在学生の中、地方から都市に転入する労働者子女[12]は合計1406.63万人います。そのうち、小学校に1042.18万人、中学校に364.45万人が就学しています。

四、特殊教育

 中国の特殊教育学校は2,107校あり、前年度より27校(1.30%増)増加。また特殊教育学校には専任教員5.60万人が在籍し、前年度より0.28万人(5.20%増)増加。2017年度に特殊教育入学者は11.08万人に達し、2016年度より1.93万人(21.11%増)増加、合計在学者が57.88万人で、前年度より8.71万人(17.71%増)増加、年間卒業者が6.94万人で、前年度より1.02万人(17.30%増)増えました。

五、高校教育

 中国全土に高校教育[13]を行う学校が2.46万校あり、前年度より93校(0.38%減)減少、年間入学者が1382.49万人で、前年度より13.78万人(0.99%減)減少、合計在学者は3970.99万人で、前年度より0.93万人の増加(0.02%増)となります。高校教育段階の粗入学率は88.3%で、去年と比べて、0.8%増えました。

図4

①普通高校

 中国の普通高校は1.36万校あり、前年度より172校(1.29%増)増え、年間入学者が800.05万人で、前年度より2.87万人(0.36%減)減少、合計在学者は2374.55万人で、前年度より7.90万人(0.33%増)の増加。年間卒業者は775.73万人で、前年度より16.62万人(2.10%減)減少。

 普通高校には266.51万人の教職員が在籍。前年度と比べて、7.31万人(2.82%増)増加、そのうち専任教員は177.40万人で、前年度より4.05万人(2.34%)増加、生徒数に対する教員数の比率は13.39:1となります。また、専任教員の学歴合格率は98.15%で、前年度と比べて、0.24%の増加がみられます。

表3 普通高校学校数、教職員、専任教員数
  学校数(校) 教職員数(人) 専任教員数(人)
普通高校 13,555 2,665,073 1,773,953
   うち:完全中学校 5,460 1,056,242 531,255
      高校 6,780 1,331,610 1,176,082
12年一貫制学校 1,315 277,221 66,616

 普通高校の校舎建築面積は計51511.74万㎡で、前年度より2369.43万㎡増加。校舎内施設・設備配置の基準に達する学校の比率状況は「体育場(館)面積:91.14%、体育運動用設備配置:92.97%、音楽教育用設備配置:91.82%、美術教育用設備配置:91.94%、理工系実験用設備配置:93.15%」となります。

②成人高校

 中国には成人高校が392校あり、前年度より43校減少。合計在学者は3.94万人、年間卒業者は3.90万人、教職員は3,174人、専任教員は2,421人となります。

③中等職業教育

 中等職業教育を行う学校[14]は1.07万校あり、前年度と比べて、222校(2.04%減)減少しました。そのうち、普通中等専業学校は3,346校(52校減少)、職業高校は3,617校(109校減少)、技術学校2,490校(36校減少)、成人中等専業学校は1,218校(25校減少)となります。

 中等職業教育段階の年間入学者が582.43万人で、前年度より10.91万人(1.84%減) 減少、高校教育段階の年間入学総人数の42.13%を占めています。そのうち、普通中等専業の入学者が246.25万人(8.94万人減少)で、職業高校の入学者が148.40万人(3.04万人減少)、技術学校の入学者が130.91万人(3.71万人増加)で、成人中等専業学校の入学者が56.88万人(2.65万人減少)となります。

 2017年度、中等職業教育の年間卒業者は496.88万人で、前年度より36.75万人(6.89%減)の減少。内訳は「普通中等専業卒業者が216.99万人(12.03 万人減少)、職業高校卒業者が128.99万人(12.88万人減少)、技術学校卒業者が90.48万人(2.59万人減少)、成人中等専業卒業者が60.41万人(9.25万人減少)」となります。

表4 中等職業教育を受ける学生状況
  卒業者数(校) 入学者数(人) 在学者数(人)
中等職業教育 4,968,770 5,824,303 15,924,968
   うち:普通中等専業学校 2,169,933 2,462,485 7,129,894
      成人中等専業学校 604,125 568,771 1,272,446
      職業高校 1,289,923 1,483,978 4,140,553
      技術学校 904,789 1,309,068 3,382,075

 中等職業教育学校には107.97万人教職員が在籍し、前年度より0.64万人(0.59%減) 減少。内訳は「普通中等専業学校教職員が39.68万人(4,581人減少)、職業高校教職員が34.38万人(880人減少)、技術学校教職員が26.86万人(3,512人増加)、成人中等専業学校教職員が5.97万人(3,939人減少)」となります。

 専任教員は、合計83.92万人が在籍し、前年度より393人(0.05%減)減少しました。内訳は「普通中等専業学校専任教員が30.16万人(1,120人減少)、職業高校専任教員が28.61万人(979人増加)、技術学校専任教員が19.88万人(2,352人増加)、成人中等専業学校専任教員が4.48万人(2,437人減少)」となります。生徒:教員は19.59:1[15]となります。

六、高等教育

 中国全土の各類別高等教育在学者総人数[16]は3779万人に達し、粗入学率は45.7%となります。高等教育学校(265校の独立学院を含む)は計2,631校あり、前年度より35校(1.35%増)増加。その内、本科学校1,243校(6校増加)、高等職業教育(専科)学校1,388校(29校増加)、成人高等学校282校(2校減少)となります。また、研究生(大学院生)育成機構は815ヵ所あります。そのうち、普通高等教育学校が578校、研究機構237ヵ所になります。

図5

 2017年度研究生(大学院生)の入学者は80.91万人で、その内全日制が69.19万人、博士課程の年間入学者は8.39万人、修士課程の年間入学者は72.22万人となります。大学院に在学している263.96万人の中、博士課程が36.2万人、修士課程は227.76万人。年間卒業者は57.80万人で、内訳は「博士5.8万人、修士52.0万人」となります。

 2017年度普通本科・専科の入学者は761.49万人で、前年度より12.88万人(1.72%増)増加。本科・専科学校の在学者は2753.59万人で、前年度より57.74万人(2.14%増)の増加。年間卒業者は735.83万人で、前年度より31.65万人(4.49%増)増えました。

表5 普通本科・専科教育を受ける学生状況
  卒業者数(校) 入学者数(人) 在学者数(人)
普通本科・専科教育 7,358,287 7,614,893 27,535,869
   うち:本科学校 3,841,839 4,107,534 16,486,320
      専科学校 3,516,448 3,507,359 11,049,549

 2017年度、成人本科・専科の入学者は217.53万人で、前年度より6.30万人(2.98%増) 増加、合計在学者が544.14万人で、前年度より40.25万人(6.89%減少)減少。また、2017年度の成人本科・専科卒業者は247.04万人で、前年度と比べて、2.57万人(1.05%増)の増加がありました。

 全国高等教育自学試験(学歴教育)の出願者は470.94万人で、卒業証書の発行枚数は55.27万となります。

 普通高等教育学校教職員は244.30万人で、前年度より3.82万人(1.59%増)増加、専任教員が163.32万人で、前年度より3.13万人(1.95%増)の増加となり、学生:教員は17.52:1となります。

 学校校舎総建築面積は95400.32万㎡で、前年度より2729.28万㎡増加、教学・研究設備の総額が4995.29億元で、前年度より479.87億元増加しました。

七、成人訓練と「文盲をなくす」教育

 中国全国において、非学歴高等教育を受けている学生はのべ927.37万人で、当年卒業/修了者数はのべ4744.07万人となります。

 全国職業技術訓練機構は8.92万ヵ所あり、教職員が51.50万人で、そのうち専任教員は28.96 万人です。

 全国には、成人小学校が0.97万校あり、在学者は75.42万人で、教職員は1.93万人、専任教員は1.08万人います。成人中学校は、506校あり、在学者は12.70万人、教職員は1,772人、専任教員は1,367人います。

 2017年度、28.27万人の文盲をなくし、30.40万人が「文盲をなくす」教育を受けています。「文盲をなくす」教育の教職員は1.44万人、専任教員は7,546人います。

八、民弁教育(私立教育)

 中国全土には各類別私立学校が17.76万校あり、前年度より6,668校増え、全国学校数の34.57%を占めています。2017年度の年間入学者は1721.86万人で、前年度より81.63万人(4.98%増)増加。合計在学は5120.47万人で、前年度より295.10万人(6.12%増)の増加がみられました。

図6

 私立幼稚園は16.04万ヵ所あり、前年度より6,169ヵ所(4.00%増)増加、入園児童は999.32万人で、前年度より34.24万人(3.55%増)増加。合計在園児童は2572.34万人で、前年度と比べて、134.68万人(5.53%)増加。

 私立普通小学校は6,107校あり、前年度より132校(2.21%増)増加、年間入学者が137.70万で、前年度より9.94万人(7.78%増)が増加。合計在学者は814.17万人で、前年度より57.84万人(7.65%)増加。

 私立中学校は5,277校あり、前年度より192校(3.78%増)増加、年間入学者が209.09万人で、前年度より20.36万人(10.79%増)増加。合計在学者は577.68万人で、前年度より44.87万人(8.42%増)増加。

 私立高校は3,002 校あり、前年度より215校(7.71%増)増加、年間入学者が111.41万人で、前年度より8.52万人(8.28%増)増加。合計在学者は306.26万人で、前年度より27.18万人(9.74%増)増加。

 私立中等職業学校は2,069校あり、前年度より46校(2.17%減)減少し、年間入学者は78.68万人で、前年度より5.04万人(6.84%増)増加。合計在学者は197.33万人で、前年度より13.19万人(7.16%増)の増加がありました。

 私立高等教育学校は747校(独立学院265校、成人高等教育学校1校を含む)あり、前年度より5校増加。普通本科・専科の年間入学者は175.37万人で、前年度より1.51万人(0.87%増)増加、合計在学者が628.46万人で、前年度より12.25万人(1.99%増)の増加。修士課程入学者は747人で、合計在学者が1,223人います。また、その他私立高等教育機構は800ヵ所があり、在籍者が74.47万人います。


1)当公報は香港特別行政区、マカオ特別行政区、台湾省のデータは含まれておりません。また、四捨五入のため、各項目の合計が総数と一致しない場合もあります。

2)、3)独立設置された幼稚園と付設幼稚園の幼児が含まれます。

4)粗入園(学)率はある教育レベルで、在学者総数(年齢問わず)が該当教育レベルの国家指定年齢層人数に占めたパーセンテージとなります。実際の状況では、非正規年齢層(指定年齢層以下もしくは、それ以上の年齢)の学生も含まれているので、粗入園(学)率は100%を超える場合もあります。

5)9年間義務教育強固率は中学校三年生の人数が該当学年の小学校一年生当時の人数で占める割合となります。

6)小学校学齢児童の純入学率は小学校に在学している学齢児童数が国家規定年齢層人口数で占める割合となります。各地区の入学学齢と学制により、それぞれ計算した結果です。

7)9年一貫制学校教職員の数を中学校教育レベルに、完全中学校、12年一貫制学校教職員の数を高校教育レベルに、専任教員はそれぞれの教育レベルにカウントされるので、小学校教職員の数が専任教員の数より少ない場合もあります。

8)9年一貫制学校と12年一貫制学校の専任教員も含まれています。

9)専任教員学歴合格率は、国家規定の各教育レベル最低学歴基準に達した専任教員数の該当教育レベル専任教員総数で占めた割合となります。各教育レベルの最低学歴基準については、『中華人民共和国教師法』の条目によりますと、小学校教員資格を取得するには中等師範学校卒業、もしくはそれ以上の学歴を有するもの。中学校教員・初級職業学校文化・専門科目教員資格を取得するには、高等師範専科学校もしくは大学専科卒業またはそれ以上の学歴を有するもの。高校教員資格や中等専業学校、技術学校、職業高校の文化科目・専門科目教員資格を取得するには、高等師範本科学校もしくは大学本科卒業またはそれ以上の学歴を有するものとなります。

10)施設・設備配置の基準に達した学校とは、体育場(館)の面積、体育運動用設備配置が『教育部衛生部財政部関于印発国家学校体育衛生条件試行基本標準通知』に記載された標準に達する学校となります。また、音楽教育用設備、美術教育用設備、数学・自然系実験用設備、理工系実験用設備に関する標準は各省、自治区、直轄市の規定によります。普通小学校、中学校、普通中学校に適用されます。

11)9年一貫制学校、12年一貫制学校と完全中学校中学段階の専任教員が含まれています。

12)地方から都市に転入する労働者子女とは、戸籍は地方(農村)に所属し、都市で働いている両親について都市内の学校で義務教育を受ける児童を指します。

13)高校教育レベルは普通高校、成人高校、中等職業学校を含みます。

14)中等職業教育は普通中等専業学校、職業高校、技術学校、成人中等専業学校を含みます。

15)技術学校のデータは中等職業教育の生徒対教員比率に含まれておりません。

16)研究生(大学院生)、普通本科・専科、成人本科・専科、通信本科・専科、高等教育自学試験本科・専科などあらゆる高等教育学校在学者数となります。


※本稿は、日本留学信息中心が発行しているメールマガジン「当事者に聴く中国教育事情」2018年・第67号を、日本留学信息中心の許可を得て編集し転載したものである。

筆者より

 「当事者に聴く中国教育事情」は2010年に中国現地にいる日本留学志望者に資するために設立した大学連合事務所の定期情報として発刊しました。2015年4月に現在の名称・体裁に変更しました。私たちは中国の学生向けに日本の大学について定期的に情報を提供しておりますので、より多くの日本の大学と情報交換したいと思います。ぜひお気軽にご連絡ください。

 E-mail: image(金国峰)(王璨)