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【09-012】上海交通大学馬德秀党書記・呉旦副総長ら一行JST訪問

米山春子(中国総合研究センター フェロー)   2009年10月15日

 2009年10月8日の午後、上海交通大学馬德秀党書記・呉旦副総長ら一行9名は科学技術振興機構(JST)を訪問し、JST北澤宏一理事長をはじめ、中国総合研究センター・藤嶋昭センター長、沖村憲樹顧問ほかと親しく会談しました。

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 上海交通大学中国教育部直属の国家重点国立総合大学で、1896年上海に創設された南洋公学を起源としており、北洋大学堂とともに中国人によって設立された最古の大学です。

 理工系の分野が伝統的に強く、清華大学北京大学に次ぐ難関校です。近年、国際交流、研究開発などの多方面にわたって中国では最も急速に発展してきた大学の一つで、教育・研究の中心となっている閔行新キャンパスは中国の大学の中で最大の面積です。

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 馬書記によれば一行の来日の主な目的は、日本の研究機関および企業との実質的な交流を深めることと、金融危機後の日本の研究支援の施策などについてJSTから学ぶこととのことでした。上 海交通大学の国際化は重要であり、大学の発展にとって日本との交流は不可欠であるとのことです。また、金融危機の影響を受け中国国内でも基軸研究および産業構造の調整を急いでいるときであり日本の状況を学びたいとのことでした。日本の大学や研究機関、企 業に熟知しているJSTに期待されているように見受けられました。

 JSTでは、国際科学技術部小林治調査役よりJSTの概要について説明するとともに、中国総合研究センターの細川洋治参事役よりセンターの主な活動について紹介しました。また、藤 嶋センター長よりセンター主催の来年1月29日、30日の二日間に渡って開催する日中大学フェア&フォーラムについて紹介し、上海交通大学の参加を要請しました。馬書記は、急速な発展を遂げてきた中国の大学では現在解決しなければならない課題が山積していて、その解決の一助として積極的に参加したいと、フォーラムへの参加を快諾されました。

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 馬書記から、日本の基礎研究を支援する方法や実績、その内訳などについて質問があり、北澤理事長より日本の研究支援機構であるJST,JSPS,NEDOの役割分担や重点支援項目などについて細かく説明しました。また、馬書記からは、中国の基礎研究支援システムについて簡単に説明を受けました。中国政府の基礎研究支援機構は中国国家自然基金会(NSFC)と科学技術部(MOST)の二つとのことです。中国の基礎研究支援はプロジェックト支援と研究基地建設支援の二つに分けられます。たとえば大学は企業との連携で研究を行う場合はプロジェックト支援に当たりますが、国家重点研究室の建設などは研究基地建設に当たります。

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 短い時間でしたが双方多くの意見交換ができ、非常に有意義な会談になりました。最後に馬書記からJSTに一対の獅子の置物をいただきました。この獅子は1896年創設時、校門の前に置かれた大きい石の獅子のレプリカなのだそうです。

 その後、上海交通大学一行はJSTの日本科学未来館を訪問し、宇宙飛行士だった毛利衛館長、中島副館長と会談後、館内を見学して、帰国されました。