【14-001】第1回日中環境ワークショップを開催(2014年2月21日~22日、中国科学院都市環境研究所(中国厦門市))
2014年 3月11日 粂田 真宏(独立行政法人科学技術振興機構 社会技術研究開発センター(RISTEX) 企画運営室調査役)
2014年2月21日(金)~22日(土)に中国厦門(アモイ)の中国科学院都市環境研究所において、第1回日中環境ワークショップ「First China-Japan(CAS-JST) Workshop on New Environmentally Sustainable Systems for Japan and China」を開催した。日本側の参加者は38名、中国側の参加者は23名の計61名であった。大学、研究所等の研究者を中心に、産業界からは株式会社東芝から2名、日立造船株式会社から3名、旭化成ケミカルズ株式会社から1名、中国華電集団電力科学院から1名が参加された。自治体関係では東京都環境公社東京都環境科学研究所から1名、上海市環境科学研究院から1名が参加された。
メイン会場
本ワークショップは、平成25年3月に独立行政法人科学技術振興機構(JST)の中村道治理事長と有馬朗人中国総合研究交流センター(CRCC)センター長の訪中時に中国科学院白春礼院長との会談において、中村理事長より、広域化している環境分野の課題に対し、日中が連携して、社会科学、システム工学、都市工学等を含む学際的な取組、システムアプローチにより将来の解決に向けた課題と協力の方向性を見出すための日中の共催によるワークショップの開催提案をしたことに対し、先方の賛同を得て開催することとなったものである。
ワークショップ初日のオープニングセッションにおいて、中国側から中国科学院国際合作局の邱華盛副局長からの開会挨拶、日本側からJST外村正一郎理事からの挨拶に続き、ホスト機関である中国科学院都市環境研究所の朱永官所長からの歓迎挨拶と研究所紹介が行われた。その後、中国側から中国科学院生態環境研究センターの呂永竜研究員・院士、日本側から大垣眞一郎公益財団法人水道技術研究センター理事長(東京大学名誉教授・前国立環境研究所長)の基調講演(都市の設計手法と科学技術におけるホリスティックアプローチの重要性を指摘)がそれぞれ行われた。最後に日本側コアメンバー代表の藤江幸一横浜国立大学教授から本ワークショップのねらい(分野横断の方法論を見出すこと、様々な分野の日中の研究者がホリスティックな観点から協力していく方法について議論を期待)と各セッションの概要紹介が行われた。
大垣前国立環境研究所長
初日の午後から2日目の午前にかけて、参加者が3つセッションに分かれてプレゼンと活発なディスカッションが行われた。
セッションA:Methods for environmental policy decision and evaluation together with areal energy system and urban design
環境政策決定と環境評価及びローカルエネルギーシステムと都市設計
セッションB:Water /Material Cycle/Waste Management
水/物質循環/廃棄物管理
セッションC:Environmental Health Risk/Air Quality
環境健康リスク/大気汚染
2日目の午後には、各パラレルセッションのチェアからセッションサマリーについての報告が行われ、呂研究員・院士と藤江教授の両チェアによる参加者全体によるディスカッションと全体総括が行われた。都市・環境問題にかかわる共通関心事項について科学研究を深めるとともに、都市や環境を巡る政策の手段や根拠として求められる科学技術を開発していくという観点、技術と政策の統合などホリスティックな視点が重要であるとの認識を共有した。
閉会前に有馬CRCCセンター長から基調講演(日本における公害災害(福島、水俣)の事例から学んだ教訓、科学者の責任と現場調査、社会的な責任を踏まえた企業の行動、科学的なデータを踏まえた行政の意思決定などの重要性)と今後の展開への期待(第2回を日本で開催等)の挨拶、朱所長の挨拶(連携協力の今後の展開への期待:共同成果の共著論文化、企業との協働と市民への説明、国際協力の新たなモデル構築、JST-CASのスポンサーシップへの期待、持続可能な未来社会へ成果を提供)で閉会した。
有馬CRCCセンター長