【18-003】JST、日中・中日科学技術論文機械翻訳システムの提供を開始
2018年5月9日 中国総合研究・さくらサイエンスセンター編集部
科学技術振興機構(JST)は5月8日、「日中・中日機械翻訳システム」を公開した。
近年、中国から発表される科学技術論文数が米国に次ぐ世界2位となり、中国語で書かれた科学技術文献などを日本語で検索、閲覧したいといった需要が高まってきている。また、人 手による翻訳に比べ迅速かつ安価に処理が可能な機械翻訳の普及が期待される一方、科学技術情報の翻訳ではさまざまな専門用語や最新技術を表す新語が存在するため、技術内容を正しく伝達する必要があり、機 械翻訳の高精度化が望まれていた。
このような状況の中、JST情報企画部は2013年より京都大学大学院情報学研究科や中国科学技術信息研究所(ISTIC)と連携して「日中・中日機械翻訳実用化プロジェクト」に取り組み、機 械翻訳システムを完成させた。
開発した翻訳エンジンはアジア言語を対象とした機械翻訳の国際的な評価ワークショップであるWAT2016(Workshop on Asian Translation 2016)に おいてトップの成績を納め、昨年行われたWAT2017でもトップレベルの翻訳精度を達成した。
本システムでは、機械翻訳の訓練に用いられる教師データで、同じ内容について複数の言語で書かれた文(=対訳文)を集めた大規模で高品質な「対訳コーパス」と、人 間の脳細胞における情報伝達の仕組みを模して考案された計算モデルである「ニューラルネットワーク」による深層学習を組み合わせることにより、高精度の日中・中日機械翻訳を実現している。こ れにより中国科学技術文献データベースの作成をはじめ、科学技術論文や特許の翻訳への活用が期待される。
「日中・中日機械翻訳システム」は以下よりアクセスが可能である。
https://webmt.jst.go.jp/index.html
日中・中日機械翻訳システム
操作方法は非常にシンプルになっており、画面左側の原言語のボックスに翻訳の対象となるテキストを入力し画面中央の三角のボタンを押すと、画面右側の目的言語ボックスに翻訳結果が表示される。ま たファイルからのテキストのインポートおよび翻訳結果のテキストファイル作成の機能も有している。
関連リンク
プレスリリース(科学技術振興機構報 第1316号)「 高精度な日中・中 日機械翻訳システムの提供を開始~科学技術論文において実用に供する翻訳率を達成~」