第21号:地球温暖化への取組みと日中協力
トップ  > 科学技術トピック>  第21号:地球温暖化への取組みと日中協力 >  特集巻頭言:地球温暖化への取組みと日中協力~洞爺湖サミットに寄せて~

特集巻頭言:地球温暖化への取組みと日中協力~洞爺湖サミットに寄せて~

中国科学技術月報2008年6月号(第21号)  2008.6.20発行

 G8サミットは来月7〜9日、豊かな自然が溢れる北海道洞爺湖で開催される。世界経済、環境問題、アフリカの発展などが話し合われる予定である。特 に地球温暖化 は人類にとって待ったなしの緊急課題であり、この問題はサミットの主要テーマになっている。この問題の解決には、温暖化の主因とされる温室効果ガス、なか でも特に影響の大きい二酸化炭素の排出量削減への世界全体での取り組み、とりわけ主要な排出国による積極的かつ大規模な取り組みの強化が求められている。

 中国は現在G8のメンバーではないが、改革開放以来30年間、平均年率10%を超える経済成長を維持し、著しい経済発展を遂げた。2 007年中国の対外貿易総 額は2兆ドル(約14兆2230億元)を突破、世界貿易の8%に達した。JETROの発表によると、2007年日本の対中貿易額は初めて日米貿易額を超 え、中国はアメリカに代わり、日 本最大の貿易相手国となった。しかし、これまでの中国経済の急成長は、安い労働賃金と過度な資源投入に牽引され、環境破壊 を代償にしている、という指摘は中国国内にもある。中 国は一人当たりの二酸化炭素の排出量はまだ世界平均を下回っているが、国全体としてはすでに世界で 1、2位を争う二酸化炭素の大量排出国となっている。

 したがって、我が国が提案した「 2050年半減」と いう全世界に共通する長期目標を実現させ、「 クールアース50」を推進していくには、国 際社会全体の参加が必要不可欠であるが、東アジアに位置する2つの大国・日本と中国が手を携え、共に取り組んでいくことはとりわけ重要だと思われる。

 日本と中国の経済は相互に強く依存する関係にある。省エネ、省資源などの技術を生かし、環 境保全と持続可能な経済発展とを両立させることは日本と中国の共通の 目標である。日本と中国は一衣帯水の隣国であり、中国が直面している環境汚染や生態系の破壊などの環境問題は、その影響が中国のみならず、我 が国にも直接 及んでいる。一方、我が国では、深刻な公害や2度の石油危機を経験し、過去30年にわたり、官民が一体となって取り組んだ結果、エネルギー効率が37%改 善し、GDPが2倍となる中で、石 油消費量は8%減少し、数々の省エネ型製品を開発することによって、高い国際競争力を実現している。我が国のこうした経 験と技術は中国が環境保全と経済発展の両立を図る上での参考となり、中 国における二酸化炭素排出削減への取り組みに役立つものと思われる。

 折しも、地球温暖化問題が北海道洞爺湖サミットの主要テーマになっており、地球環境問題に対する世界的な関心が高まっている。そこで、中 国総合研究センターで は「地球温暖化への取組みと日中協力」をテーマとし、地球環境問題の専門家の方々の特別寄稿により、この度6月号マンスリーレポート特集号を発行すること になった。また、年内には「 地球環境問題への取組み」をテーマとする特集第2号も予定している。本特集が、地球環境問題への解決に向けた今後の日中協力の あり方を考える一助となることを期待している。

特集:地球温暖化への取組みと日中協力

本特集によせて

黒川 清(政策研究大学院大学教授、内閣特別顧問、政策研究大学院大学教授)

地球温暖化問題解決に向けた日中学術交流の勧め

福西 浩(JSPS北京研究連絡センター長、東北大学大学院理学研究科教授)

中国と地球温暖化問題

明日香 壽川(東北大学東北アジア研究センター中国研究分野教授)

気候変動問題に関しての日中協力を考える上でのポイント

渡辺 格(JST北京事務所長)