第35号:生態系保全技術
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特集巻頭言:生態系保全技術

中国科学技術月報2009年9月号(第35号)  2009.9.1発行

はじめに

 生態系は、エコシステム(ecosystem)とも呼ばれ、自然界のある地域に住むすべての生物群集とそれらの生活に関与する環境要因とを一体として見たものです。

 生態系は包括的なシステムとして成立しているため、ある一つの要因―たとえばある種の化学物質、外国から持ち込まれた植物、動物など-が、あ る生態系に深刻な影響を与えてしまうという事例はひろく知られております。とくにグローバル化が進んだ現代において、今回の特集で日中の論者が取り上げている「侵入生物」の 問題は地球規模で深刻な問題となっており、問題解決のための生態系保全に関する研究と技術開発が望まれています。

 ある生態系とそこで発生している問題を特定するためには、そこで包括的システムとして機能しているネットワークを把握することが不可欠となります。この点に関しても、今 回の特集で日中の論者によって最新の研究動向が紹介されています。

 さらに中国独自の自然環境ゆえに発生する問題と生態系保全技術について、今回中国の論者によって詳細に分析・紹介されているところであります。

 以上の日中の論者による論文が、読者の皆様にとって有益であることを編集部一同祈念しております。

中国総合研究センター

記事一覧

植物の侵入が生態系の炭素・窒素循環に対する影響

・・・ 名前李博(復旦大学特別招聘 教授/生物多様性科学研究所 所長)

中国の水土流失及び水土保持の研究と実践

・・・ 雷廷武(中国科学院水利部 水土保持研究所 黄土高原土壤侵食 ・乾燥地農業国家重点実験室 主任)

中国の土砂河川における生態環境水要求の特徴

・・・ 倪晋仁(北京大学環境工学研究所 所長)

窒素沈着が森林生態系の土壌含有炭素に与える影響

・・・ 韩士杰(中国科学院瀋陽生態研究所 教授)

日本における外来植物の実態とそのリスク評価

・・・ 藤井義晴((独)農業環境技術研究所生物多様性研究領域外来生物生態影響リサーチプロジェクトリーダー)

野生生物管理と自然再生

・・・ 松田裕之(横浜国立大学大学院 教授)

生物多様性と生態系サービスに関する研究

・・・ 中静透(東北大学生命科学研究科 教授)

生物多様性を育む生態系ネットワーク~安定同位体分析を用いた評価手法の開発~」

・・・ 奥田昇(京都大学生態学研究センター 准教授)

日中交流最前線

名古屋大学上海事務所の活動について

・・・ 宇田川 幸則(名古屋大学上海事務所長/法政国際教育協力研究センター副所長・准教授)

京都大学経済学研究科付属上海センター

・・・ 劉 徳強(京都大学経済学研究科教授 京都大学上海センター長)